ボーイングのジェット爆撃機、B-47のアウトリガーです。

進行方向は左。

これは水色部分の動作がものすごく推定なので、後にひっくり返る恐れがあることをお断りします。

図中赤で示した電動モーターで駆動される「ボールねじジャッキ」が縮むことで水色で示した折り畳みリンクを引っ張ると、折り畳みリンクの上面の頂点(「a」とします)はエンジンナセルのフレームに引っかかってうしろに行けないので前転しようとしますが、ジャッキは首をふらないように固定されているので、「a」は図中黄色のスライドレールを進行方向側に摺動せざるを得ませんので黒で示したバネを圧縮しながら前にスライド、その分脚柱とのリンク(濃い緑)を大きくうしろへ押しやります。で、少ないボールねじジャッキの運動量でアウトリガーが引っ込みます。黒で示したバネは、水色のフレームを確実に動かす補助力となっているようです。

「ボールねじ」(ballscrew)というのは、一種の筒型のスライドカムで、シャフトの外に筒が巻きついていて、両者にはピッタリ重なるように螺旋ミゾが掘られ、そこにびっしりボールベアリングが封入されている構造で、外筒とシャフトいずれかが固定、いずれかが回転するようになっていて、回転させるとねじのように、たとえていえば万力のように作動します(軸回転→直線移動○)。万力のふつうのネジとちがうのは、万力は入力できるのは回転ハンドル側からのみで、直接遊動部(ものをはさむ部分)を押してもネジの摩擦抵抗でびくともしません(直線移動→軸回転×)。が、仮にネジ部がボールねじでできた万力であれば、直接遊動部を押すと、ネジ部の摩擦はボールベアリングですからとても小さく、遊動部は動いて締めつけハンドルが回ってしまうのです(○直線移動⇔軸回転○)。これはおもしろい。ただ、普通のネジなら遊動部は特別なロックがなくてもあまり動かないけれど、ボールねじのばあいは別にロック機構が必要になりますね。また、ボールベアリングは短いほう(多くは外筒のまわりに設けられたチューブ)のネジミゾの終わりに来たらいったん外に導かれてぐるりと循環するものが一般的らしい。

・・・まあ、ぼくもこの飛行機知るまでそんなこと知りませんでした・・・飛行機のフラップの作動や車のステアリングにも使われてるらしいのでけっこうメジャーな機構ではあるようですが・・・メカモグリバレバレ・・・

で、三種類の足をもつB-47はすべての脚柱の折り畳みアクチュエータにボールねじ(ボールスクリュージャッキ}を使っていて、ただのスクリュージャッキなら緊急時の足出しは人力でスクリューを回さなければならないところを重力と風圧で下げることができるわけです。ちなみに、前脚と後ろ脚はアウトリガーに見られるようなへんな方式ではなく、普通の二つ折れストラットをボールねじジャッキで折り曲げるというものです。

他のやり方と比べて、重さ的にはどうなんでしょうね。油圧式に比べて気圧変動に強く、凍りにくいかもしれないですね。

前脚 後ろ脚
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