フランスに上陸してはやひと月も経とうという頃だった。
ある伝統ある歩兵連隊の一個大隊が、とある村で行動不能状態のドイツ兵およそ一個中隊を捕虜にした、という連絡の後、消息を絶った。
旅団は歩兵戦車を伴う捜索支隊を編成し、消息を絶ったあたりに派遣した。指揮官は予備役上がりで旅団本部付きのドリンカー中佐。かれはコマンドカーに乗り、のろい戦車を引き連れ、ゆっくりと現地に向かった。
道端に完全軍装の軍曹がいた。「貴官の所属はいずくぞ?」中佐の問に答えて、「あっち。これあげるよ。」と緑の液体の入った瓶を中佐に手渡した。彼はそれとは別の、半分に減った瓶をたびたび口に運んでいた。
「アブサンだな」中佐は酒には詳しい。早速一口味見をした。
「なかなかいいな、軍曹、こんなものどこで手に入れた?」 軍曹は指差すと大声で報告した。「あっちであります!」 軍曹は行方不明の大隊が送り出した伝令で、彼は比較的酒に強かった。
大隊の隊員はすべて村の倉庫の周りにドイツ兵と仲良くひっくり返って人事不省状態であった。
村には巨大なアブサンの物流倉庫があった。しかし大半が彼ら・・・ドイツ兵とイギリス兵によって飲まれてしまっていた。
ドリンカー中佐は直ちに村を占領し、2時間後、彼らの部隊もまた消息を絶った。

上記はフィクションですが、タミヤのチャーチルに付属の戦車兵ヒギャーは非常に使い所に困るポーズをしているので、酒瓶持たせてみました。
タミヤの記念すべきMM第百作目、「チャーチル・クロコダイル」。ぼくが小学生の時に広告とか鳴り物入りで気合が入って出ました。
でも小学生のぼくにはかっこ悪くて、トレーラー引いてるのもなんか気に食わなくて、手を出さなかったのです。
初めて買ったのは30代になってから、忘年会の帰りに恵比寿のミスタークラフトで酔っ払った勢いで買った。
でも当時は完成させられなかった。ハッチの可動とかを割りピンでヒンジの軸を作るってアイデアを初めて思いついたキットでした。
そしてすぐに、割りピンじゃなくてもアルミ缶切った帯曲げればいいでしょと発展するのです。完成しなかったけども。
このところ、イギリス戦車づいたので、ネットで安かったこともあって、二十数年ぶりにこのキットを買ってみました。
後で番号を新しく出た、トレーラーなしのチャーチルのキットも買ったはずなのですが発掘できなかった。
3000円でお釣りが来るって、今の時勢じゃ信じられないお値段です。 1/72の新金型単発プロペラ機が7000円とかするのですよ今。

チャーチルは、歩兵戦車、重装甲で敵陣地の砲火に耐えつつ近接し、その装備した砲で火点を狙撃しつつ蹂躙して歩兵の先陣を切るという発想で開発されています。
しかし、ソ連のようなタンクデサント的用法は意中になく、初期型はフェンダーがありません。走行中車体に乗るのは非常に危険です。敵の歩兵に乗られないためかもしれませんが、乗員が走行中にちょっと車外に出るのも危険になってしまうリスクのほうが大きかったのでしょう。フェンダーが付きます。
この戦車にも歩兵が車長と連絡するための電話機ボックスが車体後部に付いていて、このキットにはそこにつけるデカールもあって素敵。
30代のときやれなかった全ハッチ可動。今は資料もあって生きててよかった。
砲塔の「B中隊」を示す黄色い四角デカールは他キットから持ってきましたが、なんかに似てるって思ったけども、あ!ナショジオだ!
前部フェンダー内側の黄緑のぞんざいな四角ペイントは、マスタードガス検知塗料です。
側面の脱出ハッチには、内側に引っ張って閉じるためのワイヤと、三号戦車の側面脱出ハッチに付いてるのと似てるロックレバーがついています。
ロックレバーは後発のクロムウエルやコメットの操縦手/車体銃手ハッチにも同じ形のものが付いてるのですが、タミヤのキットには再現されていなくて、この1970年台に出たキットでは立派に再現されてるというところに、MM100番という気負いを感じます。好きです。
キットのは車体側の蝶番の背が低すぎたので自作。
ピントルは例によって可動にしてみた。クロムウエルとおなじく、車内から開放できるタイプのようです。
後部フェンダーには左舷に2ガロン缶が並んでふたつ固定できるラックがあって、でも奥行き不足なので切り離して付け根を延長しました。
固定金具を可動に。
右舷後部には20リッター入りアメリカ式ジェリカンが付くようですが、これも奥行き不足なので左舷のものと同じく延長しました。
「BRITON」号とかはこちらも2ガロン缶用かもしれない。バリエーションがあるようです。
カンを固定する金具はこんな感じ。蝶ネジで締めるっぽい。
排気管は潜水することを考えたらしく、先っぽに上向きの管をボルトドメするためと思われるフランジが付いてますが、排気が工兵ツール直撃です。
予備キャタピラは留め具も再現されてていい感じ。
脱出ハッチ上と側面吸気ダクト下にある牽引ワイヤロープ用金具を再現してみました。
この戦車には砲塔にアンテナが三本も立ちます。
普通のイギリス戦車は二本です。
歩兵戦車は歩兵との連絡用のNo.38無線機セットってのが三本目に付くのです。右舷のがそれです。
砲塔左舷後部の筒は信号旗入れ。
消火器は取り付けが巡航戦車と向きが上下逆ですね。
キットのジェリカンはセンターの取っ手がない。この時代のタミヤのキットにはなべてセンターの取っ手がないんですが、同時代のイタラエレイのにはあるのがすごかったの思い出しました。
キューポラ前にはイギリス戦車標準の非常用直接照準器が付きますが、キットでは無視されてます。
これには大きいのと小さいのがあって、今回は小さいのを自作してみました。
大きいのは砲手ペリスコープを避けるために曲がっててめんどくさいんだもん。
このキット、この時代なのにキューポラは別パーツなのが素晴らしい!
ペリスコープのパーツはないので自作してつけました。 アルミ缶切って抜けドメを作って回転可動に。
この戦車の車体ハッチの取っ手は折り曲げた帯金です。キットのは削り取って真鍮板で自作したものに置き換え。
さしてあるからめったに取れません。
大きな建築現場に巨大なクローラー式自走クレーンが搬入されるのを見たことありますか?
クレーンの車体は中央と左右のキャタピラ部分に三分割されて輸送されてきます。
このキットの構成を見て思い出した。
今回キャタピラはAFVクラブの物を使いました。タイムリーに再販がかかって感謝です。
問題なく使用できます。
車体側の、赤線で囲んだ部分にある突起を削り取って段差をなめらかにしてあげるとスムースに可動します。
チャーチルの車体の特徴を生かしてスポンソンに電池スペースを食い込ませた当時のタミヤ設計者のこだわりは素晴らしい!
こういう戦車こそ動かして遊んだらたのしいと思うのですが、チャーチルはついにモータライズ版は出ず、現行版ではスイッチ用の穴とかも塞がれてしまいました。
なので車体下面はのっぺらぼう。
クロムウエルと並べるとやっぱでかいね。
イギリス戦車ってなんか好きです。
ところで、このキットに付属のヒギャーは意気込みは素晴らしいのですが、戦車兵士官のポーズが汎用性なさすぎ・・・
波止場の兄貴じゃねえんだから・・・
野戦でこんなふうに箱が転がってないだろうって非日常感・・・ なので酒瓶持たせてみました。
歩兵は戦車兵に指図してるくらいだから最低でも下士官、ステンガンを持たせてみました。
鉄兜はなんか深い気がしたんでイタレリの武器セットのに変えた。
ステンガンも同じくイタレリのやつ。
リアリティないけどなんかかっこいいの・・・
従軍カメラマンのフィギュアとかあったら良かったのかも。
歩兵さんはまだいい感じ。
でもスコップの取っ手が何故かアメリカンスタイルだったのでT字型に変えてみた。