「完成しないダンジョン」を手探りでひたすら進んでいたぼくたちのまえに、かすかな光が...
「あれは...出口かも...」
ぼくは歩く足をはやめます。
ところが、なぜかトホホ妖精があわてはじめました。
「ね、ねえ、あ、あれ、出口じゃないよ!きっとトラップ!そんなに簡単にでれるワケないじゃん!もう、そそっかしーんだからアハハハハ...」
みょうにうわずった声です。あやしい。ぼくはかまわずにそのまま光の方向へ進みました。
「まって!まってったら!いっちゃだめ!」
「うわ!あかるい...」
目の前に突然開けた別天地。明るい日差し。のどかな景色がぼくの眼をなごませます。そうして、ぼくの手には、いつの間にか完成したキットが!
「やった!完成だ〜〜〜!」
そうです!これでひとつ、ダンジョンのストックが減ったんです!ざまあみろアップル!あ、違った・・・
でも、トホホ妖精は去りませんでした。意地悪な目をして、でもちょっと悔しそうにほほえみながら話しかけてきました。
「よかったね。ダンジョンでれて。でも、あなたの心はまだまだ満たされていないはず。」
図星。せっかく完成させたキットなのに、なにか、ぼくの胸には物足りない気持ちが引っかかっていたんです。目の前が暗くなりました。
「うおおおお!まだまだ作りたい!キットを作りたイイイイ!」
「そう、あなたは永遠に完成しないキットに呪われた男。サ、ダンジョンにもどるのよ。」
トホホ妖精にいわれるままに、ぼくは再び「完成しないダンジョン」へと降りていったのでした...
・・・あ〜あ。
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