一式陸攻はモーターを多用した飛行機ですが、脚も胴体床下の大きなモーターからシャフトを介して引き上げます。ひとつのモーターで左右の脚を同時に駆動するのです。 図中、右端のばねばかりみたいな縦の四角が胴体からの動力を伝えるウォームギアで、水色の円盤が最終歯車です。 この最終歯車は外翼側につきます。 |
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最終歯車に直結されたクランクシャフトに結合された、図中赤で示されたロッドが、脚柱上部のアームを引っ張ることで脚を引き上げます。駆動部にウォームギアをつかっているため、アップ/ダウンロックがいらないかわりに、故障で脚が出ないというときは、ロックを外して重力で出すというわけにはゆかず、九六陸攻の時代にもどって人間がモーターのかわりに必死にハンドルを回すことになります。これは同じようにウォームギアを使っているBf108や雷電なども同じです。 設計者はこれだけのワークをこなすぎりぎりの能力のモーターを選んで軽量化にベストを尽くしたとおもっていたところ、外国の設計では、もっと小さなモーターにもっと大電力を通して、焼切れる前に手早く仕事を終らせちゃえばいいじゃん、定格なんて、無視無視!という素晴らしい発想で作ってある例があったそうで、それには負けてるのでちょっと悔しかったらしい。その素晴らしいアイデアが、なんという飛行機につかわれたのかは書いてありませんでしたが。 電動を選んだ理由は、単にでっかい規格品の油圧ポンプがなかったからだそうです。でも、できるだけ規格品を使おうとする発想は、コストや量産という面で大切な姿勢です。いくら性能がよくても高くて数がそろわなきゃお話にならないもんね。 こういった点から、設計者の本庄さんという人は、バランスのとれた、思いきりのいい、健康な発想のできる、優秀な設計者だとおもいます。 |
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で、二二型以降の型では尾輪も引込式になったそうですが、これも電動で、ウォームギアというか、ネジ式です。 駆動用モーターは主脚のものとは別に用意されています。 これも故障の際は人間が必死になってモーターのかわりをします。 でも、一式陸攻は日本機にしてはすごく合理的に設計されている飛行機で、爆弾倉や脚関係はともかく、その他の部分に見られるさまざまなアイデアは「名機」と呼ぶに値すると思います。設計に当たっての発想法などに学ぶべき部分が多いのです。 単なる哨戒爆撃機としてなら、本当に名作ですね。 |
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