ICMのI-16はたいへん楽しい、良いキットです。ひと月で完成したよー。

ぼくはこのキットを改造して10型にしてみました。

この飛行機はソ連でも人気ないらしく、参考資料とかは少なくて、一番役に立ったのがかば◎さんのサイト(http://www12.ocn.ne.jp/~kabanos/research/I-16ver.html)でした。

ロシア語のサイト行くと「ポリカルポフ イー16」じゃなくてただの「イ−16」なのね・・・

44年まで5型とかが生き残って活躍してるからソ連空軍すげえ・・・

10型は機首上の過給器ダクトがなくて(でもキャブは降流式らしい)、顎のオイルクーラーインテークが「T」の字型で、自作しないといけなくて、コックピットのドアが左舷にしかないらしい。あと主翼の増槽取り付け&点検パネル装備前の型なので、ICMのキットから改造するためには削り取らないといけません。でも10型でも少数装備できる機体はあったようです。

さらにスピナーもキットのより平べったいタイプなので削って平べったくした。

エンジンパネルは取り外しできるように、乗降用のドアは可動にしました。エレベーターと方向舵はテグスでつないだのでフニャふにゃ動きます。

主脚は当然可動に組みました。

排気管は機首下面のは初期だと4つ独立して飛び出てるのですが、後期では多分スキー装備の際に、スキーを引っ込めたときに排気でスキーを焼かないために主翼付け根に2本づつ集合させられてます。

オイルクーラー排気口の両脇のくぼみは、スキーのつま先が収まる部分です。

主脚の関節は横方向は真鍮パイプ(ボークスが素晴らしいイギリス製の安いのを輸入してくれて感謝!)ですが、縦方向はテグスです。さすがにここまで細かい関節無理。

タイヤカバーの関節はサランラップとクレラップです。クレラップのほうが頑丈かも・・

実機ではタイヤカバーの展開は脚柱と連動ですが、このキットではタイヤカバーのレバーをテグスで再現してタイヤにつっぱらせておしまい。結構確実です。(ケーブルと共に黒く塗るの忘れた・・・)

飛行機の脚」ですっごく昔に解説しましたが、この飛行機の脚は、片側三本あって四面体を構成する脚柱の一本の付け根(いちばんうしろの柱)がスライドすることで、四面体の底面が二次元から一次元に近づき、四面体がただの四角形(三次元→二次元)に変形するというシステムなわけで、脚出しの際はこの模型でも件の付け根をスライドさせると勝手に脚が立ち上がって固定されてしまいます。感動的です。ただし、引き込み時はきっちり行かないので、タイヤにあるケーブルで引っ張りあげてるんだなーと思った。ので「飛行機の脚」のそのあたりは修正させていただきました。

ソ連機の醍醐味、エンジンシャッター稼働。プラ板。

で、アップしたあとであまりにも「T」の字インテークがひどいので仕上げ直したよ・・・

ちったあマシになった気がすゆ。

この作例はノモンハンにいた無名の機体という設定なので、10後期型(たぶん・・・)として改造したので、キットに入っているイ−153と共通の防弾板は未装備の状態で作ってます。ところで、この、I-153タイプの防弾板て、こっからあとのミグ3とかのソ連戦闘機共通部品?

あと脚引きこみハンドルとエンジン操作レバー類をオーバースケール気味ですがつけてみました。

明かり取りの窓がメッサー109とかキ-61みたいね。その後ろには手かけ穴が開いてます。

世傑に「我が陸軍の評価に“昇降舵が重い”とあったのは、防弾板のために後重心の機体なのに理解しかねる」とか書いてありますが、トリムタブがないのに後重心の飛行機になっちゃったので飛行中は常に操縦桿を前に押していなければならず、きついけど我慢してたとか故 長谷川一郎さんのエッセイにありましたので、「重い」とはそういう意味でしょう。

また、世傑に「我が陸軍はバカにして防弾板装備など顧みなかった」とか書いてあるのは解説者の大きな認識不足で、キ-44などは防弾板からサイドハッチから大直径エンジン、タイヤカバーまで大いに影響を受けています。(追記:あと、主翼⇔エレベーターの間隔が短いのもね・・)ノモンハンのイ-16のお陰で海軍より大いに防弾装備を充実させていったのです。

もっとも、タイヤカバーは整備員が脚を薙ぎ払われるとかで不評で量産に入ると普通に胴体側に追っ払われますね。

また、言われるほど旋回性能は悪くないようです。ボロジェイキンの回想に、I-153の部隊のパイロットが戦場に来たては「俺達の方がイ-16より新型だし!」って元気だったのに、ひと月後にひどく暗くなってたとか書いてあると同時に、自分のイ-16の運動性は褒めています。また、日本のパイロットは技能はすごいが飛び方がきれいすぎるので簡単に先が読めると書いてあるのは興味深い。

脚とコックピット。ケーブルはこうやって機体側を上向きに固定するだけでテグスの弾性で勝手に機内に入ってくれます。タイヤが入ったか出てったか確認する窓が素敵です。

ところでこのキット、ちょっとタイヤが大きいみたいです。本当は胴体にMe262みたく並んでぴったり収まるんじゃないのかな?キットでははみ出るので削って苦労しました。

ハセガワの262は胴体が狭すぎて正確なサイズのタイヤが入らないんでこれと逆のパターンですね。

このキットのエンジンはすごく楽しいのです。1/32のキットみたい!アズールの1/32はエンジンが無いのですごく残念なキットです!

排気管はエンジンと位置あわせして穴あけてエンジンと細い真鍮線でつなぐと組みやすいよ。

防弾板なしなのでヘッドレスト自作してそのフレームも作りつけました・・見えなくなっちゃったけどいいの!あと操縦桿も真鍮線で作った輪っかでらしくしてみたけど、そんなにはらしくならなかったよ・・・

脚柱はほぼテグスで結合です。一部ハンダ付け。

かっこいいエンジン架。オイルタンクもワクワクします。右側のドアはえぐってから10型では必要ないと知り、プラ板で埋めました。あと、このキット、右舷のベンチュリー管が入ってないようです。自作した。

デカールは割れやすかったです。コート剤必須。

この時期のソ連機は上と横には赤い星が付いてないこともあったかもね。

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