高校生の時だったか、専門学校に進んでからだったか、世界の艦船の「第二次大戦のドイツ軍艦」という本と出会って、K級軽巡という異形のフネを知りました。ハートを射抜かれて、当時出てた模型誌の(レプリカだったかな?)図面とか見て、タミヤのシャルンホルストの副砲塔切りついだら三連装になるかな?とか、スチレンボード切って船体作れるかな?とか、いろいろ考えたんだけど、結局手がついていかずに、憧れは夢の彼方へ・・・そして三十年以上の時間が流れたときに、ようやくフライホークがやってくれました!フルハルのケーニヒスベルク!おもらししそうなくらい興奮しました。値段高いけど、三十年前に買って結局捨てたピットのレジンのプリンツ・オイゲンとほぼ同じ値段?いや、たしかあっちのほうが安かったけど、菓子パンの値段で行けば相対的には同じ値段!・・・よく考えたらあのキットはタミヤのシャルンホルストが魚雷発射管取りのために一個ごみになるんだった・・・(でも、今は同社からインジェクションのフルハルが出てて感謝です)
とにかく、フライホークバンザイ!
フルハルじゃないキットもフルハルで出せば全部買うよ俺!
ということで、同じフライホークから念願のフルハルのシャルンホルストも出たことだし、いっちょやってやるか!って一気に作りました。
生きててよかった!
キット的には1940年のヴェーザー演習での沈没時のケーニヒスベルクが作れます。塗装次第でギリギリ開戦前のケーニヒスベルクも作れるかも・・・というか、開戦前の塗装で作りました。
カールスルーエは戦闘マストの形が違うし、ケルンは、ポーランドの本によると、この時期は、甲板が板張りだったらしい・・・ほんとかな?できたてのときに板張りにしてて、トップヘビー対策で板張りやめたんじゃないのかな?
日本駆逐艦みたいな常識的なレイアウト。真横から見ただけではこのフネの変態トホホっぷりはわからないのです。
真横からの姿は、1920年代末期のデザインとしてはモダンで、美しいとさえ言えます。
上から見ても、美しい・・・あれ?なんか後ろの砲塔の配置が変じゃね?デッサン狂ってね?・・・狂ってます!うしろの2つの砲塔は、船体の中心線にはついてなくて、二番砲塔は左に、三番砲塔は右、それぞれ大幅にずれてついてるのです!ああ!素敵!
かわいい!
なんでずれてるかというと、このフネは通商破壊と艦隊の偵察に使うという建前で開発されたので、もっぱら追いかけられながら後方の敵を撃つから砲塔は前一個で後ろ二個にしようって言ったものの、前にもできるだけ撃てるようにしようよってことで、砲塔ずらしたらその分前にある構造物を避けれるからよけいに前向けるんじゃね?というアイデアが出て、深く考えずに採用しちゃったのですな。
たしかに、右舷方向にはかなり前まで九門の主砲を向けることができます。しかし、左舷には、三番砲塔は二番砲塔の構造が邪魔で前向けません・・・
模型作って検討したら普通にまっすぐ砲塔配置したほうが火力発揮エリアが広いってわかると思うのですが、とにかくどうでもいいからやってみたかったんでしょうな。そんでいきなり三隻も作っちゃった・・・やっぱドイツ人て頭悪いと思う。でも好き!
次のライプツィヒからは常識的に中心線に沿った配置に修正されました。
戦闘中、万が一、後部のどちらかの砲塔に被弾して砲塔が吹っ飛んでなくなったときも、そっち舷が軽くなって転覆の危険があったりします。
このフネはそんな事なくてもトップヘビーで、燃料を半分使うとひっくり返るから気をつけて運用しないといけないって・・・好き!大好き!
この手のフネでは初めて溶接を多用して軽量化に成功したというエポックメーキングな実績もあるのですが、初というのは実験台的なフネであるということでもあるので、カールスルーエはアメリカまで行ったら途中で嵐にあって溶接が割れちゃって沈みそうになったらしい。好き!大好き
この船の甲板は、木張りじゃなくて、鉄板むき出しらしい。写真を見てもごっついパネルラインで区切られてます。
そこで気にかかってくるのは、はたしてこのパネルラインが、本当に鉄板むき出しの溶接ラインなのか、それともその鉄板天井の上にリノリウムとかを貼った、その接合ラインなのかです。鉄板むき出しのままだと水兵さんが甲板で滑って転んで踏ん張れなくて日常送れません!・・・今回は一応鉄板にゴム塗料という解釈にしたのですが、リノリウムってのもありそうじゃない?まあ、もしそれだと茶色っぽく塗らないとで大失敗なんだけど・・・
でも青い甲板きれいだからいいか。
この角度で見ると、すげえ近代的っす。
キットは恐ろしくシャープかつ細いパーツ再現で心臓に悪い。実際、旗竿は前後ともにいつの間にか喪失です。なんで伸ばしランナーで再建。でも好き。砲塔とか測距儀とか魚雷発射管とか可動にしました。主砲はデフォルトでバラバラに俯仰角取れてグッド!
艦載艇も細かくて素敵。
砲塔ズレてる以外は素晴らしく整った艦様だと思います。
いろいろな時期のを作り比べたいとか思わせてくれます。
今回船体はタミヤのダークシーグレイ、上構はスカイグレイ、船底は調色。
ドイツの大型艦にしては珍しく2軸です。
ドイツの三軸推進て、真ん中のは低速巡航用なのね。
このフネの場合は、巡航用ディーゼルエンジンを積んでて、巡航時は一旦プロペラ軸をメインのタービンから切り離してディーゼルエンジンにつなぎ替えるという愉快なシステムらしい。だから、途中、惰性で進む瞬間がかなりあるという。ここは三軸のほうが萌えるんで残念。
三連装15センチ主砲は、60口径SK C/25というタイプで、45.5kgの砲弾を25700m飛ばすという、ちょっと我が最上型にはかなわないけど、そこそこの威力。射程じゃクリーブランド級やリアンダー級にちょっと勝ってる?戦艦の副砲とは口径長とかが違う大砲のようです。
砲塔のデザインは最高にかっこいいです。
ちなみに、この砲塔は、ヒッパー級重巡の4番艦と5番艦にも四基づつ積む予定があったとか。見たかった!
ドイツ海軍では主砲塔は日本みたいに番号じゃなくて、前からA(アントン)、B(ブルーノ)、C(チェーザー)、D(ドーラ)・・などとアルファベットの名前がつくんですが、このクラスの前二隻では、スカパ・フロー自沈のコンプレックスからか、第一次大戦の戦艦の名前がつけられたようです。
ケーニヒスベルクでは前から、
「SMS フォン・デア・タン」・「SMS リュッツオウ」・「SMS ザイドリッツ」
カールスルーエでは
「SMS モルトケ」・「SMS デアフリンガー」・「SMS ゲーベン」
ケルンでは主力艦の名前が尽きたのかw
「ヘルゴラント」・「ドッガーバンク」・「スカゲラック」と海戦のあった地名が付いてるらしい。
砲塔前にそのパネルが付いてる写真が残ってますが、ほんとに実務でもそう呼んでたのかな・・・???
このフネの写真を見ると、戦前は、どうも煙突は銀色みたい。煙突はアルミ製なのかも。
艦載艇はオレンジで塗るように指定されてて、カラフルで楽しいです。 写真の小さい大砲は、機銃ではなく、機関砲でもなく、37ミリ対空砲です。83口径の3.7cm L/83 SKC/30ていうやつで、初速がすごい。武装商船のコルモランに装備されたやつがオーストラリア軽巡の艦橋を撃ちまくって司令部を全滅させてますが、それはこのフネの手柄じゃない・・・
高射砲は当初は単装のオバQみたいな可愛らしい(笑える形の)防盾の45口径8.8cm SK/L45だったのですが、36年ごろから連装の76口径8.8cmSK C/32に換装されていったみたい。この砲塔はさきの3.7cm高射砲の砲架と同じくジャイロ安定式で、フネの傾きに関係なく水平を保つという素敵高射砲でした。キットは連装砲の方しかパーツ入ってないす。ジャイロ再現とかはしなかったけど砲身は可動にしたですよ。
さらにこのあと、105ミリの10.5cmSKC/33に換装されたっぽいけどホントかな?
ちなみに、このキットやカールスルーエでは砲塔は三基の三角形配置ですが、ケルンでは軸線上二基に減らされてるらしい・・・