信じられないかもしれないけど、これは真実だぜ。
その日、俺は、ズベズダ/イタレリのM13/40に履かせるためのフリウルのキャタピラを買いに行ったんだ。
実車の足回りを見てたら可動にしないと気がすまなくなったのさ。
ブツはすぐに見つかった。俺はレジで金を払って家に帰った。
ところがだ。晩酌を一杯やりながら、包みを開けてよく見たら、パッケージには「L6/40」って書いてあるじゃねえか!
イタリア戦車ってのは名前もややこしいし、みんな影が薄い。
愚痴ってもしょうがねえ。高いキャタピラを捨てるわけにもいかねえから、俺は翌日また遥々アキバまで行って買ったよ。 イタレリの「L6/40」ってキットを。
こんな戦車あったんだな?知らなかったぜ。
上の話は本当です。間違って買ったキャタピラのために興味のない戦車キットを買う羽目になりました。
こんなのは早くやっつけちゃうに限ります。
といいつつ、キット内容は資料本とかついてるし、結構気合を感じたので作るの楽しかったかも。
「L6/40」とは、多分、「軽戦車6トン/40年型」という意味です。騎兵の捜索用戦車だそうで、二人乗り、2センチ砲と8ミリ機銃各一門装備、装甲は最大30ミリと、のちのドイツ軍のルクス軽戦車に匹敵するカタログデータです。
ただ、説明書に「T-26には勝てたけどバレンタインやT-34,KVには・・・」みたいなことが書いてあるので、偵察以外のガチ勝負に使ってダメ戦車のイメージになってしまったみたい。
ぱっと見でハリボテみたいでかっこ悪いんだけども、見慣れると愛らしく感じてきます。
後ろから見たとことか特によちよち歩き感が出ててかわいい!
カラーはハンブロールの63番。
レイアウトはM13/40と似通っています。砲塔は、のちのAB41装甲車に流用されたみたい。そっちのほうが使いやすくてこの戦車の生産が進まなかったみたいな話も。
サスペンションはボギーをでっかい湾曲したアームで支えてそれをトーションバーで懸架。面白い動きなので可動で再現してみました。
フリウルのキャタピラは片側87枚使用。102枚入ってるんで余裕で余ります。
ボギーのトーションバー軸側の転輪は、このように湾曲アームの中にぴったり入ってしまうのですが、キットのままだとそうならないので弄らないといけない。
この戦車とM13/40の上部転輪は、なんと、中心が回りません。イタレリのM13/40のキットの固定の仕方は、あれで正しいのです!
タミヤのKV−1を作ったことがある方はご存知の、あのやり方で可動にできます。内部を作りたいときには便利な実車構造です。
持ち上げるとキャタピラが思いっきり緩みますが、ここから一コマ削ると誘導輪が上がった時にキャタピラが張り詰めすぎてしまいます。ふしぎ。誘導輪は写真の位置以下には下がらないようです。下がるようにしたらもっと弛んでやばかった。
乗員ハッチとエンジンハッチ、操縦手のバイザーとトランスミッション点検蓋を可動にしました。アンテナも可倒式を再現。実車では、アンテナはキットの位置の例以外に、戦闘室後部にセミみたいにくっついている例もみかけます。その場合は左右に二本ついてます。
車体側面のハッチはペラッペラで、M13/40のものとかは動画とかで見るとびっくりします。
デカールはアフリカのノヴァラ槍騎兵連隊。砲塔の青いマークは第4中隊の第1小隊車かな? キットのは青が強いみたいなんで上からライトブルーでなぞりました。
イタリアのジャッキって全然写真なかった・・・なのでやっつけました。取り外せるようにしてみました。
上にも書いたとおり、キットのままだとサスペンション可動時につっかえて動かないので、サスアームにはプラ版を挟んで幅を増やします。当然ボギーも幅が増えて転輪を止められなくなるので、サスと転輪との軸は真鍮線で置き換えます。
転輪は逆に幅が広すぎるので間のボッチを削って、その分狭くなったキャタピラのガイドが食い込む部分をリュータで削って溝を掘ってあげます。めんどくせえ・・・
起動輪はフリウルに付属のもの。真鍮板をまあるく切ったものに真鍮線をはんだづけしたピンで車体に止めて可動にします。 前のサスペンションのショックアブソーバーは、キットの部品は捨てて真鍮板と棒で作り直して可動に。サスのトーションバーは0.4ミリのステンレスバネ線を使いましたが、このキットは結構重いので、前のサスはへたり気味になってしまいました・・・・
この戦車は誘導輪もトーションバーで地形をなぞるのですが、大失敗!左右逆につけちゃったよ!・・・気がついた時にはもう車体に蓋しちゃってたんで、無理やり引っこ抜いて真鍮パイプにトーションバー内蔵してあとづけしました。涙目になった。
操縦手用バイザーとトランスミッション点検ハッチはキットにエッチングでヒンジが入ってるのでそれに穴開けてチョン。バイザーの上にペリスコープついてんだけど無視無視!
このキットには内部再現パーツが結構ついています。そしてエンジン点検ハッチも別部品です。となるとエンジンもないと寂しいじゃないですか。作ってみました。資料はキット付属の資料冊子のみ。ネットでかなり探したんだけどエンジンの写真はなかったっす。 本当は写真のパーツの下にオイルパンとかつくんだけど、つけると高くなりすぎるんでパス!ちょっとでかく作っちゃったかも。
エンジンでっち上げ完了!ファンベルトとかはいい加減です。資料ないし。右舷の縦の茶色い筒はエアクリーナです(多分)。
左舷のちょっと曲がった棒は冷却水パイプ。この先に環状のラジエータがつきますが、作っても見えないしめんどくさいし入らないんでパス。電装系もパス!
エンジンの左右には燃料タンクがつきます。エンジンの形に合わせて左右で形が違うのですが、容量は同じと思われ。
給油口は車体左右のフェンダー上にある雑具箱?の中に飛び出しています。
エンジンが入ったところの自己満足記念写真。エンジン曲がってらぁ!蓋したら気にならない。
ところで、このエンジンを入れた時に、排気管を真横に伸ばしたら車体の排気管の位置より後ろに来ちゃったんでこの写真では前にひん曲げたんですが、よく考えたらハッチとの位置関係とかから見てキットがちょっとデッサンおかしいのかな?と傲慢な推測を。そしてそれは燃料タンクの位置からも裏付けられたのです。↓
上の、燃料タンクの続きですが、車体に入れてみるとどうしても左右の雑具箱と重ならない。どうも、キットの雑具箱のパーツは前後に短いようです。ので、プラ版で長く作り直します。フタが箱の全長より短いのは、戦闘室後部の吸気用の出っ張りと干渉する部分をカットしてあるから。
雑具箱を伸ばしたので、排気管は4.3ミリほど切り詰め、車内との接続部分が後退しましたが、これでぼくが自作したエンジンの排気管とピッタリ位置があったのでよかった。前に曲げたのはまっすぐに戻しました。
エンジンから車外への排気管は、ハッチを開けても見えない位置にあるのが正解のようです。
戦闘室後部の壁には冷却水タンクがついてるのででっち上げた。
我が陸軍の軽装甲車よりはちょっと大きいけど、でもやっぱり小さくて可愛い。好きになったかも。