飛行機から落下傘降下できて、しかも水陸両用、さらに主砲からは対戦車ミサイルを撃てるスーパー軽戦車!子供の頃のぼくのハートをズギュゥゥンとときめかせたのが、このシェリダンです。モーターライズのキットを持ってて、それがまた、操縦手のハッチを回すと中に操縦手のフィギュアがいたりする素敵キットだったのです。大好きでした。
そんな小学校六年生・・・中学に上がってたかも・・のある日、ゴミ袋とタコ糸ででっかい落下傘を作って、シェリダンを結びつけ、官舎の四階の階段の踊り場から放り投げてみました。シェリダンは無傷で着地!やった〜!でも父ちゃんが「お前こんな白痴みたいな幼稚な遊びして俺が世間体的に恥ずかしいだろ!」ってお怒りになったので、シェリダン熱は冷めてしまったのでした(でもさ、俺の甥っ子見てるとそんなもんだよね、厨房なんて)。
年取るとノスタルジーでアカデミーの糞キットとか買ったりしましたが、あれは操縦手ハッチが異次元処理されてて、どうしようもなかったなぁ・・・とか、なんやかやで忘れた頃にタミヤがリニューアルしたんで飛びつきました。直後にライフィールドからもっとすごいのが出たんでそれも買いました・・・そっちはそのうち作ろっと・・・
タミヤはなんでいまごろシェリダンなんだろうとか思いましたが、アメリカのマーケットではベトナム戦争ノスタルジー的な需要があるのかもしれません。PTSD的なものが解けて、ようやく思い出として語れるようになり、あの頃、自分の重苦しい青春を見直せるようになったのかも。
付属の塗装図についてたシェリダンに乗ってた人の回想とかとても良かったです。M113A1とかもリニューアルしないかな。昔みたいにエンジンとかの内装パーツ付きで。
この戦車はPT-76に対抗すべく作られたそうで、「PT-76が浮くんだからウチの次期軽戦車も浮かないと駄目!」って政治家が言ったんで、車体はアルミニウム構造になりました。古いタミヤのキットの取説の解説によると、車体はフレームにアルミを鋲止めで作られているって書いてあるけど、さすがに溶接だよね・・・アルミの溶接って超難しいらしいけど。
子供の頃パンツァー誌の特集を読んでたら、横から父ちゃんが「アルミで作ったら軽くていいと思ったんだけど、アルミは柔らかいから鋼鉄並みの防弾性能もたせたら鉄で作るのと重さがあまり変わらなくなっちゃったらしいよ」って言ってたの思い出した。どうだろう。
砲塔は鋼製らしい。車体は錆びないけど砲塔は錆びるのかな?
側面。ソ連の言う、「クリスティー式転輪配置」です。ソ連の軍人はサスペンションが内装コイルバネだろうがトーションバーだろうが上部転輪がないのはクリスティー式って呼ぶらしい。起動輪と誘導輪の小ささに驚きますが、トルクは大きいんでしょうな。
砲塔の前方、スモークディスチャージャーのある辺りの車体上面には排気管のようなものがありますが、これは水上航行時に車内に入った水を捨てるポンプの吐出口なんだって。だから焼けた色に塗らないように。(塗ってから知って塗り直したorz)実物は回転できるようですが、キットのは固定モールド(ライフィールドでは別部品)でした。
工兵工具は多分実車だと全部オリーブドラブで塗ったと思うけど、にぎやかしに塗り分けました。歳取って丸くなったの俺・・・
排気管は上向きについてて、その上に後ろに向けるデフレクターがかぶさってますが、これは上にパカっと開くんだけど、可動にしなかった・・・
ちなみに、左のテールランプのパネルは実物だとパカっと上に開いて、現用戦車ではおなじみの、中に車内と通話できる電話器が収まってますが、タミヤは当然再現してないし、ぼくもやってません。つ~かそんなのできん。ライフィールドのキットでは再現されててびっくりです。
どこかの部隊のB中隊の所属って設定。架空のコードです。
この戦車の主砲は152ミリという大口径で、そこから散弾を敵の歩兵群にぶちまけるのは痛快だったでしょうな。撃たれる側にはなりたくねえ・・・
個人的には152ミリのHESH弾とかも用意してほしかったす。痛快だろうな。
機関室グリルの網はパッションモデルの素晴らしい別売りパーツ。
素晴らしいけどぼくには猫に小判で、網とヘッドランプ脇の遮光板しか使ってないす。
車体の周囲には、アメリカの上陸作戦ではお得意の浮上航行用スクリーンが折りたたんでしまわれていますが、実戦ではほぼ使わなかった模様。
浮上航行用スクリーンは、古いタミヤのキットの取説には「自動で展開する」って書いてあるけど、じっさいは支柱とかは手で立てたっぽい。キットは波切板とか固定前提で、その下の車体には何もモールドはありません。ライフィールドのはある・・・すげえ!でもね、このスケールでこのスペースに畳み込めるスクリーンとかできないわ・・・やってみたいけど。
スクリーン収容部のカバーは、柔らかい樹脂製のようです。
ここから工作自慢。
サスペンションのトーションバーは1.6ミリのプラ棒で。
ダンパーも連動する伸縮式にしてみました。
レイアウトがちょっとAMX30に似てるかな?
ところで、このキットだと車体側面はフラットな再現ですが、ライフィールドのキットや実車だと、サスアーム取付部の上の車体側面は大きく凹んでいます。転輪の影で見えないから気にならないんだけど、なんで違うのかな?
タミヤのは浮力補助のためのウレタンが充填されてるって設定なのかも。
ダンパーのシリンダーは3ミリの肉薄プラパイプ。ウェーブのやつ。オス側はキットのを削ってプラパイプに合わせました。
サスペンション動くと嬉しい。
キャタピラはフリウル。起動輪はフリウルのに付属のものじゃないと使えないです。タミヤのはフリウルのキャタピラに対して、歯車部分が厚すぎます。
砲塔は動かしたいところ満載です。装填手ハッチがデフォルトで可動なのは素敵。旧キットもそうでしたし、ライフィールドのもそうです。
それはいいとして、装填手用ペリスコープはぐるぐる回したいので、砲塔のモールドはまるごと削り取って写真のように処理。ペリスコープ部分はフルスクラッチで、砲塔に差し込んでから裏側から肉薄プラパイプをはめて接着して抜け止め。ペリスコープは取り外しはできないし、フタも固定す。負けです。
キューポラは、現用戦車みたいにビジョンブロックの上が回るんじゃなくて、ビジョンブロックごと回転します。実車では電動らしい。プラバンを丸めてはめ込み部分を作りました。
砲塔側のもとのキューポラ基部は削って穴を広げてあります。
ちなみに、ライフィールドのはデフォルトで可動です。作ってないけど。
砲手用ペリスコープ。夜戦用低光量スコープなのかな?これもやっぱり蓋を開け閉めして遊びたいんで、ペリスコープカバーはプラパイプとプラバンでドンガラを作って、蓋はキットのパーツを削ったのにプラバンで側面板をつけました。
ペリスコープ本体はプラの削りだしのボディに青い100円ライターのボディの削りだしで。
やっぱり動くと楽しい!
フタの2つの突起は、閉じたときにペリスコープ前にある2つの何かを避けるためですが、それが何なのかはわからなかったのであった・・・負けです。
防盾の上のミサイル誘導装置は、中身はベトナムへ持っていった個体からは外されていて、ドンガラだけだったということで、キットではただの箱パーツですが、やっぱり中身も作りたい。旧キットではちゃんと中身再現されてたし。
前面の蓋を開けてみると、基部の高さが足りないんじゃないかな?という気がしてきます。蓋をしめて作るぶんには全く問題ないんですが。
なんで、プラバンを写真のように切ってくっつけて継ぎ目をなくし・・・
高さを削って調整。
箱の方にはこのように、垂れ下がった形でフタのちょうつがいが付きます。金麦缶で再現。
フタの側も削ってちょうつがい用の真鍮パイプを埋め込み接着したり、中から開閉する部品をでっちつけたり。
ミサイル誘導部って、昔の玩具のロボットの顔みたいで可愛い。うまく写ってないけど・・・
つ~かこの写真ボトムズっぽい!かっこいい!
照準器の中にウェープのモノアイレンズをクリアブルーで塗って仕込んでるんだけど撮り忘れた・・・
サーチライトはキットだとただの球面ランプ表現ですが、実際はアーク電球なのでこんなかんじの部品が付きます。
ニトリルゴムでサーチライトのカバーを作ってみました。取ったりつけたりして遊べる。
今回はフィギャーも作ってみました。
ベトナム戦争ってのは、アメリカの政治家が半端な覚悟でおっぱじめたので、現場では政治家に片手を縛られた、フラストレーションが溜まるハンデキャップ満載の戦い方しかできず、リベラルが流行っちゃった銃後の支持も十分得られず、兵士は徴兵でいやいや連れてこられてて志願じゃないから士気は下がる一方と、散々だったわけですが、日本軍みたいな暴力支配はしなかったんで、年代が下がるに連れ、兵隊さんの服装とかがどんどん投げやりになってくのはベトナム戦争ならではの現象ですな。
キットではまだ兵隊さんが真面目な頃を再現してるようです。
車長さんはヘルメットのインカムをつけてあげた以外は素組。
タミヤじゃ、前出したSu-76で車長がプーチンに似てるって話題だったけど、この人はニクソンに似せたのかな?ウリザネ顔っぷりがなんとなく・・・
アフリカ系が操縦手させられてたのを装填手と交代。頭すげ替えただけ。M16小銃がいい出来で使うのもったいなかった。
操縦手は、キットではポリキャップどめのハッチユニットを引っこ抜いて 抜き差ししてハッチの開閉をってシステムですが、旧キットのように操縦席にいたままでハッチを開け閉めしたいんで、フィギャーの胴体の下を3ミリほど切って、胴体内にバネを仕込んで、頭を押したら引っ込むようにしてみました。これでハッチを閉めてもその中に操縦手がいるっていう臨在感をあじわえますw
旧キット自体はもう捨てちゃったけど、取説は残ってて、宝物です。
旧キットの取説は、ランナー図もちゃんと乗ってるし、マーキングの解説とかも親切丁寧です。古き良きタミヤ。
「現在ベトナム戦に投入されている部隊である。」とか生々しい・・・