すごいよ任天堂64!

〜またはバトルプル−フ〜

ぼくは「伝説のオウガバトル」というゲ−ムが大好きです。

絵心のあるグラフィックや、心に残る音楽、あと、自軍のキャラクタ−をうまく育てて構成した抹殺部隊で封鎖ラインを作って敵を片端から蒸発させる楽しさは、他に類を見ません。スト−リ−も控えめで、自由です。攻略本を見ないと絶対にいちばんいいエンディングがみれないなんていうのはささいなこと。

でも、このゲ−ムには意外なところに欠陥が!

それは、ソフトではなく、ハ−ドウエアでのことです。

なぜか、このカセットのバッテリ−バックアップは、内容が簡単に蒸発してしまうのです!

ゲ−ムをしながら姿勢を変えた時に、ちょっとコントロ−ラを引っ張ってしまって、わずかに本体が動いた、程度のことでもう数十時間分のデ−タと、せっかくレアアイテムを発見してたくさんそろえたプリンセス&リッチのタロットカ−ドいらず楽勝蒸発部隊がパア。

「NO DATA」が三つ並んだ修道院のステンドグラスに、おれのゴ−ルデンウイ−クを返せ〜〜〜と叫んだのはもう十年近く昔の話。

今はプレステやサタ−ンでできるからいいもんね。あ、でも、あの修道院の画面はス−ファミにしかないかも!あの画面好きだったのに!

というわけで、オウガバトルのスタッフのかたがたがスクエアに引っこ抜かれたと聞いたときにはスゲエがっかりしました。「スクウェアのトムソ−ヤ−2」とか作らされてたらどうしよう!でもスクエアでもいいゲ−ムを作ってくれるので感謝。

で、残されたボ−ステ・・・いや、クエストが新たにN64用エッギ−・・・いや、オウガバトルを作ると聞いたときには期待半分不安半分でした。あのグラフィックを超えられるのかな?あの、ほど良く中途半端にどうとでもとれる、控えめな、あくまでゲ−ムの飾りですといったファジ−なシナリオを超えられるのかな?

「オウガバトル64」が出たので本体ごと買いに行きました。両方で2万円ちょっとは安い。コスト的には満足。

で、プレイ開始。

ヤングマガジンの成人マンガみたいな暑苦しい極彩色のグラフィックにはどうにか慣れました。感覚が麻痺しました。続編じゃなきゃ買いたくない絵です。外人名前なのに、全員東洋人みたいな顔で、しかも丁寧なだけで絵心のない顔顔顔・・・特にオッサン系。うえええ。しわとヒゲ描きゃいいってもんでもねえだろ!?

ゲ−ム自体はおもしろいです。戦闘画面でのユニットの絵もそんなに悪くはありません。しかもこのゲ−ム最大の売りである育て要素はバランスがいい。一所懸命育ててしまいます。

問題は、スト−リ−でした。なんで、こういうゲ−ムのスト−リ−って、必ず支配階級が差別圧政をしいてて、主人公は必ず自分が支配階級のクセに自分の階級に疑問を持つバカ坊ちゃんなのでしょうか?なんで、友人は必ず親や兄や階級にコンプレックスとトロ−マを持ってて、しかも必ず悪魔に魅入られるのでしょうか?なんで登場人物達はあんなに悪い意味で典型的なのばっかなのでしょうか?できが悪いくせに、必要以上にゲ−ムに絡みすぎのスト−リ−、でしゃばり過ぎです!

「もっと考えろよ!うぜえよ!ばかやろう!」

いやなキャラクタ−とご都合主義の低能幼稚なスト−リ−と、快楽を求めたのにいつの間にかストレスがたまってるという理不尽さに、終盤近く、怒りが炸裂しました。

ちゃぶ台の上のN64を、プレイしながら「タクシ−ドライバ−」のデ・ニ−ロよろしくゆっくりと蹴り落としました。N64はちゃぶ台から転げ落ち、そばにあった本の山が崩れて、その上にのし掛かりました。あ〜あ、やっちゃった。でもすっきり。これでデ−タが飛んでも、もう最初からやることもないでしょう。ぼくは覚めた目でテレビの画面を見やりました。あれれ!?

テレビの画面は何事もなかったかのようにさっきのおままごとスト−リ−をつづけています。信じられない気持ちで、ぼくがコントロ−ルパッドを操作すると、ちゃんと反応しました。ゲ−ムをつづけることができました。

すごいよ、N64!ぼくは任天堂64が大好きになりました。カセットなので読み込みで待たされることもないし。「プレイヤ−のため」とかいっていて、実はただ製造単価が安いから採用されたCD-ROMのマシンよりもはるかにプレイヤ−のことを考えてます。ぼくはプレイヤ−なので別に「作り手に親切」とか、「在庫管理が楽」とかはどうでもいいのです。

ちなみに、オウガバトル64はエンディングみる前にいやになってやめて、また「伝説のオウガバトル」にもどってしまいました。

うおおお!わしのユ−シスううううう〜!

オウガバトル64ファンの方、読んでたらごめんなさい。

画集がでるくらいだから、きっと本当はいい絵だったのでしょう、あのゲ−ム。(おれは買わんけど。)

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