なつみステツプ!につゐて

494 名前:名無し野電車区[] 投稿日:02/08/06 15:22 ID:Mrc95n+k
グモッチュイーーンage

495 名前:名無し野電車区[] 投稿日:02/08/06 15:29 ID:3zbkG705
>>490

 こんな擬声語、擬音語、擬態語は初めてだ

 サッパリわからん


496 名前:名無し野電車区[sage] 投稿日:02/08/06 15:32 ID:???
>>495
グモッチュイーーンの美学が分からない香具師は氏ね

(【グモッ】人身事故スレ【チュイーーン】テンプレート)

 「なつみステツプ(STEP)!」は、二○○四年に、或る二ちやんねる後援による祭の為に、制作されたと言ふ、ベジエ曲線で再現されるフラツシユ型式の電子映像作品である。

 作品中に鏤められた不吉な記号の数々に附ひては一先ず置き、此の作品中至る所に輝く「萌へ」を読む事にしやう。

 観始めに先ずその明るい配色に心を奪はれる。空のなんと蒼ひことか。草々の緑の真夏の色温度に記號化された洗練を見る。空と地の比率の何といふ自然さか。

 此処に登場する、モナアの操るお魚の形の乗り物は列車であらうか。思いきつたカツプ型の頭と尻尾を食べ残しの骨が連結するといふ楽しい意匠に、観る者はワクゝとした期待を抱かざるを得なひ。

 主人公なつみが登場する。プラツトホオムを歩んでゐる足からフレエムインする演出は、無難と評する向もあらうが、今迄で続いたワクゝを一層盛上げる為には王道で常識的で在り、僕は此れより良ひ他の方法を思ひ付か無ひ。常識は、其れを良く識り守つて居なければ破れ無ひと言ふことを、思ひ出して欲しひ。全身を現はしたなつみは、これまた完璧に均整の摂れた、表情に少し不安の香りを持つた、愛らしひ少女のデフオルメされた意匠である。灰汁の無ひ、嫌みの無ひ清々しさと可憐さを、少なひ情報で実在感を持たせた、作者の意匠の力は全く非凡と言ふより他無ひ。アクセントとして被らされた、恐らく実存の人物モデルによつて現したなら陳腐となるであらう麦藁帽子が、此の場合何とも愛らしく、此れから気分一新の、言はゞセンチメンタルジヤアニイに出掛けやうとする少女の期待感を、過去を現はす暗ひ映像の挿入と共に適切に演出してゐる。

 此の作品を決定的に名作たらしめたのは、その題名の通り彼女達の踏むステツプである。お魚列車に乗つて出発したなつみを、二ちやんねるで其のキヤラクタアを定着させた意匠達が人格をもつて歓迎する。運転士に気付かれず列車を降りたなつみと、取り巻く二ちやんの仲間達との幸福さうな躍動を見よ。音楽の根源に重要なのはリズムであつて、ステツプは其の一番直接的な体現であらう。ベンチの恋人達に微妙な目線で挨拶するなつみは、すでに失恋の痛手より解脱してゐる。この演出もベタゞの御約束で在ると言ふ向きもあらうが、僕は此のお約束こそが名作への王道と言ひたひ。此の賑やかさ、振るやかさで、演出上なつみの孤独は美事に消える。萌への完成。教科書の方法を其の継実施できる才能は、実は世に少なひ。

 代わりの後席の八頭身と一さんに驚愕するが、直ちに引き返すモナア運転士の動きも又ユウモラスでほゝ笑ましひ。苛立つて二人を放り出す、アイデイアもタイミングも美事と言ふ他無ひ。連れ戻されるなつみの表情は、正しくアムウルに愛される輝きと言ふ可きであらう。

 旅は、なつみがペンダントを放る事で、余韻を残して終わる。我々の胸にはほんのりとした心地良ひ温りが残る。此の温かみは素晴らしく心地の良ひ温かみで在つて、此の映像作品が永く胸に残る事を約束する物で在る。

 最後に、此の映像中に鏤められた無数の不吉の記號に附ひて触れて置かう。

 作者は最初、普通のセンチメンタルジャアニイ物を企図し、創る内に物足らなくなつてスパイスとして此れ等を埋込んだと聞いたことが在るが、ブラツクな風味が丁度良ひアクセントとして効いて居る事を否定はしなひ。が、此れ等を埋込むことでブラツクな風味を出そうとしても、此の作品の持つ明るさが一向に減じ無ひのは、やはり作者の魂が汚れて居なひといふ事だと思ふ。さう信じたひし、信じて観る事が此の陽気な作品への敬意であらう。

昭和八拾一年一月

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