T-34は皆さんご存知の通り、FT-17に次ぐ、戦車デザインの金字塔的な一つの完成形と言っていいと思いますが、登場時のすがたは、まだまだ完成形とは言えないものでした。
三人操作の85ミリ砲搭載の、「-85」が登場して、ようやく真の完成形となったのです。
三号戦車や四号戦車が、いろいろ理由をつけてひとクラス上の主砲に換装できなかったのに対し、76ミリ砲から85ミリ砲へ、砲塔リングを広げて対応できたというところにも、この戦車の潜在的なデザインの優秀さが現れています。(凝ったデザインの76ミリ砲塔をやっつけ的な鋳造の六角に変えた時点でなんで三人用にしなかったのかという疑問はありますが。)
また、短期間で現在うまく動いている野砲の砲尾の設計を流用し、かつコンパクトな複座駐退システムを持った85ミリ戦車砲をでっち上げて間に合わせてしまったソ連砲熕技術者の割り切りっぷりも、こねくり回して融通の効かないドイツの戦車砲に比べて見るところがあると思います。
というわけで、ぼくはT-34/85が作ってみたかったんですが、出てるキットはみんな時代的に融通の効かない後期型だったんで、二の足踏んでたわけですよ。
でもミニアートが出してくれましたわ!大好き!
キットのモデルは、KV-85用のD-5Tというタイプの85ミリ戦車砲を積んでいます。これはT-34にはでかすぎたということで、新たにもっとコンパクトで複座駐退機位置を変更した新しい85ミリ戦車砲を積むようになり、より操作性は改善されたということらしいのですが、多分そういうのはあと付けで、KV閥が嫌がらせしたから自前の85ミリ砲を作ったっていうほうが説得力あると思いました。
閥の抗争しながら戦争に貢献できるってソ連の技術陣すげえと思う。
キットのアイテムは、1944年春に生産された、ちょっとこなれてきた頃の第112工場製ということなんですが、この辺のリサーチはぼくは全くの素人なので、信じて作るしかねえわけですよ。
というわけでほぼ素組。
うん!かっこいい!
乗員ハッチ開閉とピストルポートが抜けるのとペリスコープを回転可動に作りました。あとキューポラのてっぺんが回転可動。
サスペンションを可動に。実車は可動域が100ミリ前後しかないらしいです。
このキットは第五転輪を沈ませると起動輪と接触してしまう・・・だから多分、第五転輪はそんなに沈まないようになってるんだと思われ・・・
キャタピラはフリウル。車輪は全部回ります。
マーキングはフィクションです。
多分こんな戦車旅団はないはず。
ハッチ全部開けると賑やか。
操縦手ハッチのペリスコープカバーも可動にしました。
砲塔吊り下げフックは、初期のものにしてみた。
この辺のカオスっぷりはT-34の魅力です。
厳冬期にエンジンを温めるストーブも付いてるんで、取り外しできるようにしました。
かば◎さんのブログ見てなきゃこの箱が何なのかわからなかった。感謝です。
ちなみに、このキット、排気管が装甲カバーからちょっぴりしかでてなくて、どこか間違えたかな?とか思いましたが、背面パネルが他の工場とつき方が違うんで、排気管もちょっぴりしか出ないみたいです。
T-34といえばこの操縦手ハッチ!
キットは細かく再現してて素敵!
裏を白く塗ったのは趣味です。
ペリスコープカバーと内側のレバーを連動させてみた。
ペリスコープは回せる。車長ハッチに付いてるのも回せます。ミニアートのパーツ構成のおかげです。
あと、写真撮り忘れたけど、キューポラは回転可動にしてます。
-85から砲塔がでかくなったんで、無線機が砲塔に移動したんで、アンテナも砲塔に移動しました。
これはアメリカから航空機用無線機をもらったんでソ連製の航空機用無線機が余ったのを回してもらえたためとかどこかで読んだような・・・でも、戦車用の無線機もレンドリースでもらってるよねきっと。
装填手ハッチは、キットでは内側にオープンロック機構のパーツを付けるように指示がありますが、多分それは嘘で、キットのパーツのハッチのだと、オープンロックはハッチの外側についてて、閉じるときは車内に突き出したピンを下から押し上げることでロックが外れてハッチがフリーになるという機構のようです。
ハッチ内側の取っ手は、ハッチを閉状態でロックするラッチの開放用指掛けに引っ掛けてラッチをロックする役目を持っているようです。
あと、装填手ハッチを持ち上げる補助力として、内装のトーションバーバネが付いてるのですが、これはハッチを開いたときについてくるようにバネ部をテグスにしました。なんで、ハッチをギリギリの力で持ち上げる感じにできました。上の、裏から撮った写真で見える。
キットの砲塔はただ乗っかってるだけなんで不安です。
なんで金麦缶でバネ式の引っ掛かりをつけてみた。
とりあえず旋回はできるし砲塔が外れにくくなったし。
操縦手ハッチの裏。
すごく気合はいっててかっこいいのに、取り付けたら見えなくなるんで記念撮影です。
回転軸の真鍮線抜けば外れるんだけどさ。
キットの牽引フックには、外れ止めも再現されてるんですが、あんなものつけられるか!細かいだけでどうやってつけるかとかなんも考えてもいないクソ設計です。
なのでつけられるように外れ止め周りパーツは新造。
画像ので四個分です。
可動です。
フェンダー上の工具箱の留め金も、あんなエッチングつけられるひとが何人いるんだろうっていう・・・
なんで金麦缶と0.2ミリの真鍮線で自作です。
金麦缶は細長い帯に切って、箱本体に接着してから必要な曲げ加工をして、それから必要な長さにカットするととっても楽です。固定です・・・
キャタピラ用アイゼンを固縛するベルトを巻きつけるためのフックも、キットのエッチングとか非現実的なんで真鍮線を植える方法に。このほうが頑丈だし。
ベルトは鉛板の細切りプラス真鍮線バックルで作りました。キットのエッチングパーツ使える人を尊敬します。
キューポラ回転部は、引っ掛かりを伸ばしランナーを接着して作って、キューポラ基部内側にリューターでぐるりとほった溝にはめ込んで可動に。
今回、部品を落として探す時間がすごく多くて弱りました。確実に作業時間の数倍は費やしました。
転輪が無くなったときは、このキットは本当に呪われてるのかと思いました。見つかりましたが。
でも、上写真に映ってる車体機銃は気がついたら消えてて、ついに見つかりませんでした。良く出来てるのに残念!悲しんでもいられないので、プラ棒を球形に削り出して真鍮パイプの重心を刺してでっちあげ。
あと機銃の防盾もいつの間にかどこかに消えてしまって、ついに出てこなかったので、キットにもう一つついてたのを使いましたが、どう違うのかよくわからないのでヨシ!(わぁん・・・)
D-5Tは大変気合が入っていて、記念撮影したくなりました。複座駐退機が上に付いてるので、これを積んだ戦車は砲身が砲塔の中央よか少し下寄りに突き出してます。
ただ、防危板あたりの再現は、ちょっと疑問な部分があった。