居酒屋V

第三章

彼女の唇を感じている。
彼女の胸の鼓動 手のひらに感じながら
福与かな君の胸を揉みながら 今唇を吸う
君も 今の幸せをすべて 飲み干したいかのように吸う。
彼女の口の中に入り込んだ 俺の舌は 君の存在感を
確かめるように 口の中を動き 彼女の舌と戯れる。
2〜3日前居酒屋の彼女から手紙が届いた。
17日 友だちのところでパ-ティーがあるとの事 
フォーク好きな友だちが集まって月に一度 思い出話をしながら
歌を歌って楽しんでいるから 俺も来ないかと・・・
地図と時間を書いたメモがつけられていた。
追伸に この前の お礼もしたいし・・・と書いてあった。

少し遅れて行った俺を すぐに見つけた君は 駆け寄って来て自分の隣へ案内した。
「うちの常連さんで フォーク・ソングがとっても好きな方なんです。今日ぜひにって誘いました。みなさんよろしく♪」
彼女は すばやく俺を紹介してくれ グラスを傾けた。
「ありがとう♪ 来てくれて♪もしかして来てくれないかと・・・・」
ちょっと 翳りのある視線を 俺に向けた。
「ちょっと 仕事が長引いて 時間に来られなくてごめんね。」
「来てくれたんだもん すごくうれしいの♪」
周りから 彼女が呼ばれた・・
「ちょっと待っていて 自由に飲んでて・・ね♪」
別の輪に消えた・・・しばし周りと話をしながら時を過ごす。
ふと 隣りのテーブルに彼女・・・明るく話す姿 ・・でもなにか変・・・・どうしたのかな?
「ごめん ひとりにさせちゃって 私が呼んだのにね。ちゃんと 飲んでる?」
テーブルに戻った彼女は明るく話しかけてきた。
「大丈夫だよ。みんなと話していたから・・・・あの・・・」「う?な〜に?」
その時
「宴も酣ですが この辺で今日はお開きと言うことで・・・」主催者が挨拶をした。。
「えっ もう?・・・・しょうがないね こんな時間だし・・・」「楽しかったよ」の言葉を残して ひとりひとり帰路に着き始めた。。。
「あぁ ごめんね。今日 あんまりお話出来なかったね。」
「2次会へ行こうか?」ちょっと彼女の態度が気になった俺が声をかけると、
「付き合ってくれる?私に?」笑顔の君に小さくうなずく「行こう♪ 今の時間じゃ・・・うちのお店でいい?いいよね?行こう♪」
へぇ〜 こんな積極的な面もあったんだね・・・・また 彼女を意識した俺だった。

店までの距離 一緒に歩いた。寄るとはいえまだ暑さの残る夜道、取り留めの無い話を 無邪気に話す君。
いつしか君の世界に入り込んでしまった。
 店に着く頃には喉も渇き・・・ビールで乾杯♪今日初めてのビールのように喉に新たな潤いが、
「ありがとう。」「ごめんね。」「うれしかったの」「とっても」
ひとつずつ確認するように 君がつぶやく
「う?どうしたの?・・・・・吹っ切れたってこの前言っていたけど・・・・安心してたんだけど・・・心配事?」
「えっ?・・・・・わかるの?・・・・・・・・・」
「ちょっと・・・・・・・・・・・・・・・」それ以上は言わずビールを飲み干す。
「あの・・・・どうして・・・・・やさしいの?」
「君が好きだから・・・・」自分でも驚いた。素直に口から出ていた。頭で考えた言葉じゃなく こころから直接。
そして改めて 自分の気持ちを確認した。
はじめて逢った時から気になっていた・・・・好意だった。
「え? う?ほんと?え?」君の顔また一段と赤らむのが伝わってきた。
ちょっとその時店の前で話声・・・そのまま声は遠ざかって行った。

「奥に部屋があるの・・・・・・・・・・お店 閉めていても誰か来るかも・・・だから・・・・」
「え?ここでも・・・うん 判った。 お言葉に甘えてお邪魔するよ。」
何を意味するのか?でも何か話したいことがあるみたいだし・・・
今 好きと言う言葉を口にした 俺は素直に彼女にしたがいたかった。

急いで店の片付けをし 照明を落とし 俺を奥の部屋案内してくれた。
普段は使っていない部屋らしいが 掃除が行き届いていて彼女の性格が現れている部屋だ。
ちょっとひっそりとした空気に 生命感が感じられないのは、やはりしばらく 来客が居なかったのだろう・・・・・
そこに なぜか甘き香りを感じた・・・錯覚?かも
「お待たせ ビールでいい?実は これしか持って来なかったの うふっ」
そこには カウンターの中の彼女とはまったく別の穏やかな彼女がいた。
ビールを飲みながら いろいろ話を聞いた。
心が寂しいって 彼との行き違い・・・心に深い悩み・・・初めて心を開いた。
しばしの静けさの後・・・
「貴方のやさしさで 吹っ切れたと思った・・・でも でも」
「まだ 心の中に・・・悩みの素が・・・言葉だけでは・・・消せないの」
「また 助けて欲しかった・・・・・・・・・でも・・・貴方にとって迷惑?・・・・躊躇っていたの・・・」
「さきほど 好きって言ってくれた時 決めたの 私が勝手にね・・・・ふっ〜わがままな私・・・嫌われるよね・・」
「でも でも 私の事 少しでも まだ 好きなら・・・抱いて・・ 抱いて欲しいの・・・・助けて欲しいの・・・」
酔いもあるだろう?しかし 彼女の目は真剣だった。
何も言わず 肩に手を回し 目を閉じた君の顔
頬にキスをした。
「嫌 意地悪・・・・・」閉じた目から一粒の涙
再度 彼女を抱き寄せ 唇を合わせる
俺の唇が彼女の唇を感じる。
彼女が柔らかな唇から俺の中に心に流れ込んで来る
彼女の胸の鼓動 手のひらに感じながら
福与かな君の胸を揉みながら 今唇を吸う
君も 今の幸せをすべて 飲み干したいかのように吸う。
彼女の口の中に入り込んだ 俺の舌は 君の存在感を
確かめるように 口の中を動き 彼女の舌と戯れる。

時を忘れ 抱擁が続く 今の気持ちを確かめるように

名残惜しく舌を抜き唇を離す・・・・・・
そっと目を開き 不安そうな顔をみせる君

「君が好きだ・・・・今実感している。だから 大切にしたい。」
タバコに火をつけた俺の胸に顔をつけて「もう少し このままで居ていい?」
「いいよ」
「ありがとう・・・・・」
胸に 暖かいものを感じた・・?
嬉し涙?俺は彼女の髪をやさしく撫ぜ続けた・・・・

何事もなく朝陽がカーテンの隙間から・・・
新しい朝
2人の新しい未来に 祝福の日差しに感じとれた・・・

つづく・・・・かも?

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