居酒屋
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第一章
知り合いから聞いた 居酒屋の暖簾をくぐる
落ち着いた雰囲気の中 常連で賑わう
小奇麗に そして明るさは オーナーの性格なのか?
そんな事を考えながら カウンターに座る
「いらっしゃい♪はじめて?」
ニッコリと微笑む君 これがはじめての出会いだった。
「何、お飲みになります?」
「ビールを・・」「ビールですね、はい。」
ありきたりの会話を交わした後
他の客の注文をテキパキとこなす君を
いつの間にか 眼で追うようになっていた自分に気づく
あの子が経営者?ほかに誰もいないのかな?
「ハイこれ♪枝豆に キンピラ。」
「えっ?頼んでないよ、他の方のじゃ・・」
「うふふふ♪サービス 食べてみて♪」
そう 言い残すとまた仕事へ戻る君
薄味の味付け 素材の味と混じりあって
何か別のモノが想像出来そうな、素晴らしい味付け
君の繊細さに触れた気がした。
「ママ、歌っていいね〜!!」
常連さんの声に「どうぞ〜♪」と明るく答える君
アコギ♪あれ?カラオケだとばっかり思ったが・・
「飲んで〜飲まれて〜♪飲み疲れて 眠るまで〜♪」
河島英五の曲か♪
「白いギターに変えたのは〜♪なにか 訳でも あるのでしょうか〜♪」
「人は誰も ただひとり 旅にでて〜人は誰も〜」
「こんな 小さな出来事に〜」
「花びらの 白い色は〜恋人の色〜」「恋人のいないのに〜バラの花束〜」
ここは?一見もの静かな雰囲気の居酒屋が
今 フォークのコンサート会場のように
懐かしき青春の思い出の歌を・・・
自分だけの思い出に浸り 語り 歌う
それが 自分の思い出を蘇らせ またひとり一緒に歌いだす。
カウンターの中から 一緒に歌う君の澄んだ声が
俺の心まで流れ込んで来る。
この歌知ってますか?
「いつもいつも思っていた サルビアの花を
あなたの部屋の中に 投げ入れたくて〜♪
先ほどから ずつっとギターを弾いていた男性が 自ら歌いだした。
「サルビアの花だね」
「わっ知ってるの♪ あなた?」
ひとり言のようにつぶやいた俺の声に 君は反応した。
いままでより さらに輝いた瞳を俺に向けてくれた。
「ねぇ みんな この人も仲間だよ。フォーク大好きなんだって♪」
それからの2時間 何を話 歌ったのか?覚えていない。
常連の方に混じり 曲を語り アーティストを語り 思い出を語り
入り乱れた会話の中に そっと微笑む君がいた。
またの再会を誓い それぞれの家庭へと またひとり帰っていく
気付くをもう2〜3人 君も多少の疲れが顔に出始めている。
「ありがとう、今日は」席を立ち 出口に向かう俺に
「また来てね♪ 待ってるよ♪」さっきほどの歌声のような
明るい君の声が背中越しに心に届く・・・・・・・・・・
“また来よう♪”心でつぶやき 居酒屋を後にした。
居酒屋 第二章.
居酒屋 第三章
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