今月のカメラ 2001年11月号   Nikon F2 Photomic

先月に引き続き、NIKONのF一ケタ
となる、フラッグシップ機です。
それで、今回も、偶数番です。私が写真をはじめたときは、ニコンのフラッグシップは、このF2 Photomic でした。高校生の私には、買えるわけはありません。カメラ屋さんのガラスケースの中か、カタログで見るだけです。欲しくないわけは無いのですが、はじめから買えるわけが無いので、あまり考えないことにします。
当時は、ブラックボディーが高級感があって、ブラックが欲しかったのですが、ブラックボディーはシルバーより、5000円高いというのが普通だったので、やっとカメラが買えるお金を都合している人にとっては、買えないということになります。そして、今と事情がちがうのは、TTLで、露出を決定したいため、このPhotomic ファインダー付きが欲しくなるわけで、アイレベルファインダーは、単独露出計が必要なため、さけてしまうわけです。単独露出計は、結構高いし、反射型は、入射角の問題で、正確な露出はやりにくいというわけで、入射型をスタジオで使う意外は、「関係無いね」と思いました。それで、その当時の、目標としては、このブラックのPhotomic を手に入れることになるわけです。

レンズは、手持ちの非Aiの中から、Auto Nikkor-H 28mm F3.5を付けてみました。ボディーより古い時代のレンズですが、この組み合わせで使った人も多かったでしょう。このレンズは、前玉の前面が平面なので、フィルター無しでも、フィルターがついているように見えます。
この角度もいいでしょう
ちかごろの若い人は、アイレベルファインダー付きのシルバーをカメラらしく、「かっこいい」と、感じているようですが。

ある人と話しをしていました。それまで、10年以上の付き合いだったのですが、お互いに写真が好きということを、認識していませんでした。ある日、お互いに写真が好きなことがわかって、彼は、こう聞いてきました、「F何使っているんだっけ」。彼は、私がニコンユーザーであることを認識していなかったはずです。ニコンファン以外の方は、なんと思うでしょうか、私の世代の人で、ニコン使って当たり前で、ニコン以外を使うなんて、考えられない人が現実として存在するのです。私は偶然ニコンユーザーでしたので、「F2とF4だよ」と答えました。質問と答えを、それだけを取り出すと、別におかしくも無い内容なのですが、実は、不思議なやりとりなのです。

実は、F2の印象より、まずFの印象が強いのです。高校1年のとき、クラスメートが、 F Photomic に、Auto Nikkor 135mm F2.8を付けてきました。お父さんのカメラを借りてきたと言うのです。たぶん時期的には、Fは販売終了ぐらいの時期ですから、カタログや雑誌では見かけない機種になっていました。もちろん実物ははじめてみました。少しだけ触らせてもらいました。「でかくて、重い」と、まず、思いましたが、なにより「レリーズボタンに触れない」のです。「えっ」と思って、よく見ると、少し後ろについています。それでも、「いいなあ」と思いました。やはり、当時の写真少年の多数はニコンのフラッグシップに、引きつけられていくのです。


これはAS−1といいます
FとF2の共通オプションです。F3Pが出るまで、ニコンのF一ケタには、ペンタプリズムの上に、アクセサリーシューがありませんでした。この話しは、いろいろな書籍にでていることで、いわば常識ですが、あらためて説明すると、FとF2では、取り外せるファインダー部に重いストロボを取り付けるのは、機械的に良くないと判断したためで、そのため、巻き戻しクランク部に、このアダプターをつけて、アクセサリーをつける構造としました。確かに、FとF2では、ファインダーが意外ときっちりとはまっていなくて、クッションの上に押しつけるように乗っているという感じです。それに比較して、F3では、がっちりとしているため、アクセサリーシューをつけても何とかなると判断した理由がわかります。
このAS−1は、結構使っていますので、そのうちやられるかなと思って、もうひとつ購入しましたが、まだ出番は回ってきませんし、まだ、カタログ品として、今でも買えます。

F2 Photomic は、結局高校時代も大学時代も、買うことはできませんでした。学生には、高すぎます。
ただ、同級生で、使っていたのは、兄貴から、無期限で借りているとか、そう言った人で、簡単に手に入るものではありませんでした。このF2 Photomic は、そう言うわけで、あとで、中古で手に入れました。「あの時は買えなかったが、今なら買える」という思いがあります。このあとに、また「今なら買える」と言って、買ったものは、いくつかあります。それでも、「今なら買える」と言っても、なかなか良い中古が見つかっていないのは、上で書いた、Auto Nikkor 135mm F2.8 とAuto Nikkor-Q 200mm F4 です。これは、それぞれ、使わせてもらった時の思い出が強いので、「いつかは」と思っているものです。


後ろ姿です
今は見なくなった、フィルムの箱をむしりとって、入れるポケットがついています。今のカメラは、小さな窓から、中のフィルムを目視できるので、必要無くなりましたね。わが、おやじさんは、このポケットが無いために、後ろに、いちいち、セロテープで貼りつけていました。私は、そこまではしていませんが、このポケットがあるカメラをうらやましく思ったものです。









F2というモデル番号は
大きくは書いてありません。もちろん、見る人が見たら、人目見てF2であることは、瞬時でわかります。しかし、実際に、よく知らない人は、モデル名を探すことは、かなり難しいと思います。シリアル番号の前に、シリアル番号と同じサイズでF2と書いてあるだけです。これでは、シリアル番号の一部と同じです。ライツ(現、ライカ)もよくやった方法ですね。










このファインダーがPhotomic
と呼ばれるあかしです。TTLで測定できる露出計が組み込んであります。電源は、ボディーの底面にある、SR44、2個からもらっています。水銀電池仕様でないのは、今となっては、たいへんありがたいところです。F2は、ファインダーが進化して、このあと、Photomic S, Photomic SB, Aiとなった Photomic Aそして、Photomic AS となっていく。
Nikon の文字の、右上の窓に、レンズの開放値が表示される。レンズを取り付けたときに、開放に持ってきて、世に言う「ガチャガチャ」をやらないと、開放値は、設定されません。1977年にAi化されたとき、ニコン以外のユーザーは、「ニコン以外のメーカーはすでにやっている方式をいかにも、たいそうに宣伝して」と、ぼろくそに言われてしまいました。今の人は、「ガチャガチャ」知らないでしょう。だから、非Aiのレンズとボディーの中古価格は安くて良いよね。


底面には、電池室、モードラの
カップリングのほかに、フタをあける金具がついています。この部分は、見た目はFとそっくりですので、Fのユーザーは違和感無く使えたでしょう。私は、KONICA IIIのフタもこのように、開ける構造のため、違和感無く使えます。時々あわてると、巻き戻しクランク引っ張りますが。

Made in Japanの刻印に、白いペイントが流しこまれているのか、印象的です。Made in Japanに誇りがもてる時代になっている証拠ですね。






シャッターは、横走りでチタン
規則正しい、模様がついています。シンクロ速度は、90分の1秒で、当時の他機種よ、ほんの少し早いだけ。F3も90分の1秒ですから、特にF2が非力ということではないと思います。
シンクロ接点は、シャッターを90分の1秒にしたときに、FP接点になり、90分の1秒か、それより遅くすると、X接点となります。フラッシュバルブで撮ったことがないので、ほんとうにシンクロするのか、確認はしていません。確認する気もありません。フラッシュバルブを使ったことのある、一眼レフは、オリンパスM−1だけですから。今は、ランニングコストと、速写性を考えると、ストロボにニッケル水素電池ですね。





Photomicファインダーをはずすと
こんなふうになります。これは、「一眼レフというのは、こうなっているんだよ」と、構造を教えるのに、ベストな構造です。ミラー、スクリーン、ペンタプリズムと、そしてフォーカルプレーンシャッターを見せると、基本的な勉強になります。

スクリーンは、前面マットのB型を付けています。私はね慣れの問題からと、F4クラスのレンズを使うため、スプリットがかげらないように、前面マットが好きです。友人のB型より、明るく見えるのは、後期生産のB型だからでしょうか。F3用のものを取り付けると、もっと見やすくなると聞きましたが、これでも、問題無く合わせられます。まだ、視力には、いささか自信があります。
Photomic ファインダーこと、DP-1は、いまのところ問題無く動作しています。故障したら部品が無いため、修理不能と聞きました。アイレベルファインダーは、市場価格が高すぎて、買えません。故障したら、単体露出計を購入して、使いつづけるでしょう。故障しないことを祈っています。



ペンタプリズム無しで覗くと
こんなふうになります。
ウエストレベルファインダーというも、オプションで存在しますが、使っている人を見たことがありません。横位置しか、撮影できなくなるし、内蔵露出計もありません。アングルファインダーをつけて覗くと、ウエストレベルになりますが、そこまでして、二眼レフか、ハッセルのようにして、撮影する必要がないと思います。









原点のFマウントです
Fと同じく、なんの接点もありませんし、Ai用の連動部もありません。それでも、ツメ付きのレンズなら、とにかく使えるコンパチビリティーを買いたいと思います。

「カキン」と、甲高いシャッター音は、嫌う人もいます。しかし、F2らしくて、私は好きです。撮られるほうも、音が大きいので、「今撮られた」と、実感できるようです。実際、OM−1に、モータードライブをつけて、キュンキュンと使っていると、まるでモデルになったと思うような気になって、気持ち良くなる人もいましたから、撮るほうより、撮られる側には、気持ち良い音と言うべきでしょう。

コレクターじゃないので、まだ使いつづけますよ。最近は出番が減ってきたけど、Auto Nikkor-H 28mm F3.5 が使えるのは、2台しかないので、F2につけて、景色を撮って歩きますよ。


(2001.11.4)


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