今月のカメラ 2002年4月号   Nikomat EL

Nikomat ELです
Nikomat ELをはじめて触ったのは、1980年、大学4年のときです。私のいた、学部では、学科ごとに講座対抗野球対抗をするのが、恒例でした。その時、私のいた講座とは違う講座でしたが、当時の助手さんが、私に「撮ってくれ」と、Nikomat ELに200mm F4をつけた状態で持ってきました。自分たちの試合なので、自分は撮れないから撮ってくれという意味でした。
記憶は、詳細の部分があいまいですが、200mm F4は、New Nikkorだったと思います。時代的にも、1977年のAi化の後でしたから、もしかすると、Ai改だったかもしれません。New Nikkorが1976年発売です。
その時の写真が出来上がって、見に行きました。びっくりしました。
びっくりしたのは、2点です。まず、シャッターチャンスですが、狙ったところで、きちんとシャッターが切れています。レリーズボタンを押してから、シャッター動作までのタイムラグはきわめて短いと感じました。当時自分で使っていた、Olympus OM-1とタイミングが近いのかもしれません。それと、ランナーの走っている時の、流し撮りが、きちんときまっていました。練習無しに使ったカメラです。しかも、200mmという焦点距離は使ったことがありませんでした。「これは、自分のために作られたカメラだ!」とさえ、思いました。

そのELは、ブラックボディーでした
Nikomat ELは、1972年発売です。Nikon F2が、1971年ですから、ELは、F2以降のはずですが、Nikomat系と同じとしたためが、角張ったデザインで、どちらかと言うと、Nikon Fに近い感じがします。ペンタ部が平らで、シューがついているので、この部分は違う印象をうけますけれど。

とにかく、Nikomat ELは、いつまでも、印象に残るカメラでした。そして、200mm F4をつけた状態で使ってみたいと、それからずっと思っていました。

ELを手に入れたのは、ずっとあとです。中古で入手しました。あの頃は、新品でとても買えないものだったけれど、今は、壊れたら修理不能ということで、安く手に入ります。このELも、格安で入手しました。

ペンタ部につく"EL"ロゴは
あこがれでした。しかも、ブラックボディーは、クロームよりも5000円ほど高いと言うのが、当時の一眼レフの価格設定でしたから、特にブラックにあこがれて、カタログを眺めたり、カメラ屋さんで、ガラス越しに眺めたりしていました。

ELは、Ai以前の機種ですから、内蔵露出計を使うには、カニ爪付きのレンズが必要です。この200mm F4は、Aiですので、カニ爪に明かり取りの肉抜きがしてあります。その位置を伝える連動機構は、Nikomatと書いてある部分の陰にあります。2本のプラスネジを外せば見ることができます。この部分が簡単に外せるためか、海外仕様のNikkormatの文字付きのものと交換して、「レアモノ」に化けさせる技もあるわけです。



正面から見て左です
セルフタイマーは機械式です。シャッターが電子式なのだから、電子式にしても良かったのにと思えますが、そういう時代ではなかったのでしょう。セルフタイマーはいつから電子式になったか、はっきりはわかりませんが、1976年のCanon AE-1では、採用されていました。

セルフタイマーの上にあるのは、絞込みボタンです。きちんとついています。Auto Nikkor でない、Fマウントのレンズは、少ないので、露出決定のためには、無くとも問題はなかったと思いますが、普及機にも手抜きをしない設計ということでしょう。

普及機と書きましたが、一眼レフで、AEを搭載したものでは、比較的初期のもので、当時は、普及機というより、中級機であり、メカニカルシャッターの機種より、価格としては高いものでした。ペンタックスは、ES、Canonは、EFあたりですから、高価でした。AEを搭載した一眼レフの価格を一気に下げて普及させたのは、1976年のCanon AE-1です。

マウント部の横に見えるのは
いったいなんでしょう。
古いNIKONユーザーで、ガチャガチャが必要な世代の人なら常識です。F2 Photomicには、ファインダーについています。











右側です
下は、レンズ着脱ボタン。上は、ミラーアップノブです。「きちんとミラーアップできるように作っていますね。」と、思うだけではいけません、これがELの秘密であり、EL不人気の原因です。この不人気のおかげでも格安の中古を手に入れることができました。その点ではNIKONに感謝しています。









Nikonと書いてある背面に
機種名を書いてあるカメラが多いNikonで、ELはここには書いていなくて、ペンタ部に書いてあります。ペンタ部に書いてあるのは、このELシリーズだけではないでしょうか。

このELは、入手したときは、モルトプレーンが、ボロボロでした。モルトプレーンを貼りかえてやると、完璧に動作しました。ただ、電子シャッターー制御している、ハイブリッドICが壊れると、部品が無いので、修理不能だそうです。この時代の電子シャッターカメラは、同じ理由ですべてそういう目に合っています。半導体は、半永久ということですが、絶対に壊れないと言うことは言えません。





感度がASAなのは、
しょうがないですね。
25から1600までとうのも、カラーネガで1600というのが、普通に買える時代としては、さびしいですね。
白いボタンは、バッテリーチェック。確認は、右のオレンジの電球がつきます。










機械シャッターはありません
4秒から1000分の1秒まで、電子シャッターです。シャッター速度が自分で設定できると言うだけです。絞り優先AEの時は、Aに合わせます。機械シャッターは、FEの時代にならないと、ないでないですね。AとBの間にあるマークは?。これも、古いユーザーしかわからない秘密です。巻き上げレバーの下にある赤い点もNikon特有のものです。

ELは、金属幕縦走りシャッターのため、 シンクロ速度は125分の1秒です。フラッグシップ機は、F2でもF3でも、125分の1秒になっていません。そこが不思議です。





ELはモータードライブが
ありません。1976年発売のELWになってはじめて、ワインダーがつきました。ELWは、1977年のAi化の時に、Nikon EL2となり短命でした。そのEL2でさえ、1978年のFEの登場で、姿を消しました。EL販売の4年間は、ELシリーズとしては、長いのかもしれません。そのためか、ELWとEL2を中古として見ることは少ないのです。

ELの3代あとのFEも今現役でばりばり使っていますが、このELにしても、今もって使用に耐えると思えます。






写りは良くありませんが
ファインダーを撮ってみました。左側に表示があります。AとBの時は、針は、そこに行きます。露出計の針だけは、シャッタースピードを示します。マニュアル露出の時は、針と針を合わせる、いかにも見やすいアナログ的やり方です。

スクリーンは、マイクロプリズムで、どうもなじめません。F2とFEは、Bマットに交換しました。ELは交換できないことになっていますが、FE2,FM2用のBマットをうまくはめ込むことができればも交換したいと思っています。でも試してみる勇気があのりません。使いにくくても、オリジナルで当分使います。



ご注意とお願い
今月のカメラを2000年10月よりやってます。それで、このページがGoogle等の検索で引っかかるため、記載されたカメラに関する質問のメールが時々来ます。目に付くのは、私宛ではなく、「由美」さん宛にメールが来ます。メールアドレスも理解できずに、メールを出さないで下さい。基本的なことと思います。それから、氏名も書かずにハンドルだけで、「こんにちは、×××です、○○○の使い方がわかりません。教えてください」と、まるで、パブリックな掲示板への書き込みのような書き方でメールを書いてきます。ネットのエチケット、ネチケットと呼ばれるものを理解できない人は申し訳ありませんが、無視させていただいています。この「今月のカメラ」は、カメラの使用法を広めるために書いているのではありません。
(2002.4.1)


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