今月のカメラ 2002年7月号   Canon AE-1

Canon AE-1です
先月が、Canon FTbでした。今月は、AE-1です。
たぶん、FTbがレストアできる見こみがなかったら、AE-1を手に入れようとは考えなかったでしょう。私の世代には、AE-1は、インパクトのあるカメラです。AE-1の説明を細かくしようとは思いませんが、AE-1が登場したのは、1976年。キャッチフレーズは、「連写一眼」。カタログの表紙もうっすらと覚えています。友人が写真をはじめようとしました。カメラは持っていません。私も含めて何人かアドバイスしました。どのカメラを買うべきか。私も含めてすべて、AE-1を勧めました。私のその時のメインカメラは(メインと言って、一眼レフは、1台しか持っていなかったが)Olympus M-1ですから、普通なら、自分の使っているカメラの良い点をアピールして、Olympusを買うべきだと言うはずです。時代背景を考えれば、一眼レフは、機械式シャッターから、電子制御で、オートの露出が出きる機種に移って来ていました。そして、手動巻き上げから、モーターでの巻き上げになり始めました。ただ、それまでは、Nikon ELW、アサヒペンタックス、ESII、Canon FEなど、機械シャッター式に比べて、価格が高額の機種でした。ところが、AE-1は、機械シャッターの普及機の価格で、シャッター速度優先AEと、マニュアル切り替え、そして、秒2コマの巻上げが可能な、ワインダーがオプション取りつけして、比較的小型に仕上がっていました。大学生には、非常に魅力的な仕様でした。それで、プロ仕様のF-1と同じレンズを使うことができるのです。


単純ですが、フィルムの箱を入れます
ほんとに単純な話しですが、私のM-1には、このフタについているフィルムの箱を破いて入れるポケットがついていません。そのため、こう言う機種にあこがれがありました。
今じゃ、フタに窓がついているカメラが多いので、こんなポケットは見られませんが、当時は、フタに穴をあけてフィルムの種類がわかるようにするという考えは無かったはずです。

それで、友人の話に戻りますと、友人は、みんなの助言のとおりに、AE-1にしようと決心しました。しかし、当時の大学生は、おいそれとは、すぐにカメラを買うお金は出てきません。彼は、夏休みに、せっせとアルバイトをしました。でもね、この写真のAE-1をいくらで買ったかは、彼には言えません。当時と今を比較してもしょうがないのですが、彼がひと夏働いてやっと手に入れたAE-1を、こんな安い価格で、迷う気持ちにもならないような、こんな価格で買えるなんてと、考えると、悲しくなってきました。たしかに、このAE-1は、ジャンク扱いでした。見た目は汚くて、表面は、錆がういているところもありました。でもね、手を入れればこの通りまともになりました。モルトプレーンも交換しました。特有の「シャッター鳴き」の症状は、幸いなことに発生していません。傷、へこみも少ないので、以前の所有者は、あまり使わず、だいじに保管しておいたのでしょう。保管の環境が悪かったのですね。

この角度からのデザイン
は、なかなか良いです。気に入っています。
巻き上げレバーと同軸にシャッタースピードダイヤルに使うという発想にはびっくりです。巻き上げと同軸なのは、シャッターボタンぐらいなものという思いこみがありました。これはびっくりしました。
シャッターボタン形状も、かわっています。今じゃ当たり前でしょうが、当時は、これでも革命的に見えました。これに、Canon Clubの、スナップレリーズを取りつけて使いたいなあという願望がありました。しょうがないので、Canon DEMI Sに、スナップレリーズつけたものです。

自分のM-1には、作りつけのアクセサリーシューがなく、オプションを後からつけると、カッコ悪くなるので、AE-1のように、はじめからついているものに、憧れもありました。

実際に、AE-1は、友人に対しては、自分が欲しいものを、勧めてしまったということですね。それで、自分が手にしたのは、それから、20年以上経過してからというお話です。


布幕横走シャッター
QL(Quick Loading)方式を採用せずに、オーソドックスな巻上げとしています。QLの、不具合は見たことがありません。実際はどうだったんでしょう。コストは、QLよりこの方が安く作れますが、QLが便利で、Canonの愛用者もいたはずです。

モルトプレーンがやられているほかは、厚板もスプロケットも、上下のガイドもみんなきれいでした。いったい何本のフィルムが通ったことでしょう。正月とお盆とそしてクリスマスが一本のフィルムに写っているような使い方をしたんじゃないかと、想像してしまいました。





FTbと同じマウントですね
あたりまえですが。

CanonのFDレンズの構造は、専門書にまかせます。
私の友人もこのレンズは、取り付けられませんでした。私も、時々慌てるとつけられなくなります。それほど、変わった方法です。締め付けリングにロックが無いのが、怖い感じがしますが、小型になって、ロックがついた、New FDレンズより、大柄のFDレンズのほうが、無理をしていないように見えて、なんとなく安心感があります。

このAE-1は、ボディーのみで購入しました。このレンズ、50mm F1.4もジャンクで購入しました。わずかにカビのある状態です。しかし、50mmは、FDとNew FDで、結局4本集まりましたが、カビの無いNew FD 50mm F2 よりも、写りは良いので、そのまま使っています。AE-1とFD50mm F1.4を合わせると、あまりにもかわいそうな価格になるため、とても言えません。


この時代の電子シャッター
のカメラでは、電池の寿命が極めて短いものでした。そのくせ、酸化銀電池と来たら、ものすごい値段でした。今でも、酸化銀電池は、高いし、アルカリだと、すぐなくなるし、寒いときには、すぐ動かなくなる。推奨は、4SR44ですが、安い4LR44でも動作します。それで、アルカリを使うために、しょっちゅう電池交換するので、4LR44を大量に買うのもしゃくなので、こんなもの作ってみました。透明プラスチックシートを丸めて、LR44が4個入るようにして、長さが不足分は、導電性のスペーサーを入れます。個の場合、ゴムの板を切って、それに、銅箔を巻きつけています。これで、バッテリー切れの時は、安いLR44を4個入れれば大丈夫です。最近は、100円ショップでも、安く入手できるようになりました。でも私は、10個で200円の中国製を使っていますが、特に問題は発生していません。
このアダプターは、ほかのカメラでも実行していますが、大丈夫ですよ。

また、今月も遅れちゃったね。
(2002.7.3)


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