今月のカメラ 2002年6月号   Canon FTb

Canon FTbです
高校一年までは、Canonというのは、Demi S しか知りませんでした。よく行っていた近所の床屋さんでは、Canonのカメラの箱が、お店に置いてありましたので、Canonという会社は、何種類かのカメラを作っているということしか理解していませんでした。高校の同級生や先輩を見ても、なぜかCanonを使っている人はいませんでした。一番多かったのは、アサヒペンタックス。次にミノルタ、そしてニコンでした。
Canonの一眼レフの実物を見たのは、高校一年の夏に、山に登ったときでした。やたら大きな、一眼レフをぶら下げている人がいました。やたらでかいのは、いままでは、ニコンのFフォトミックくらいで、それ以外では、そんなに大きくないと思っていました。カメラのメーカー名を見るとCanonと書いてありました。「ああ、Canonって、でかい一眼レフを作っているんだ」と、思ったものです。それで、あとで、雑誌を見てみると、FTbという機種だと知りました。

フードの中古価格は
なかなか高いようですが、これは、きちんと純正をつけています。

それで、その高校時代から、いったい何年、いや何十年というほどの年数が過ぎて、手元にFTbがやってきました。よめさんの、おやじさんが、以前使っていたものが、いまは、もう使わないということで、いただきました。
専用のケースを被せていたためか、さほど、外傷はありませんが、モルトプレーンは、スクリーンの前と、裏ブタの部分がベトベト状態でした。電池室は、液漏れはありませんでしたが、電池を入れても、メーターは動作しませんでした。
ただ、保管していた場所が偶然よかったのか、レンズのカビはありませんでした。なんとかそのうちしてみるかといって、そのままにして、5年が経過していました。

後姿は、Canonのレンジファインダー
機のようです。使ってみて、違和感のあるのが、巻き上げで、巻き上げ角度が大きい上に、レバーにプラスチックが被っていないため、なじんでいません。













Canon FDレンズ特有の
マウント形状です。レンズを回さず、銀色のリングを回して締め付ける方法は、慣れればやりやすいのかもしれませんが、私にとっては、これもなじみにくいものです。それと、この銀のリングにロックがついていないのも、不安の原因です。あとで、レンズを回して締め付け、そして、ロックボタンのあるNew FDレンズに変更されたのは、私としては、改善としてとらえています。ひとによっては、FDのほうがいいという意見もあるようですが。







シャッターは、横走り布幕です
最高速度は1000分の1秒で、シンクロ速度は、60分の1秒ですから、当時としては、一般的な仕様でした。












一般的でないのは
このQLという機構です。
大学に入ったら、高校時代とは違い、Canonのユーザーがいるのです。少なくないのです。いったい、あの高校はなんだったのでしょう。それで、実際にこのQLを見たときはびっくりしました。「えっ、差し込まなくていいの?」。いいや、それ以上におどろいたのは、QLのために、フィルムを逆に巻かないのです。それを象徴した事件がありました。先輩がこまっていました。いったい、どのフィルムが撮影済みで、どれが、撮影していないのか、わからなくなったのです。当時のカメラは、自動巻き戻しではなく、手動であるため、ベロを出したまま、巻くのをやめるというのが、普通のやり方でした。一般的な一眼レフは、逆巻きですので、撮影の終わったフィルムは、ベロが、逆向きの癖がついていますので、すぐにわかります。ところが、このCanonのQL方式は、まったくわからないのです。いつもは、先輩は、なんか、印をつけて区別していたようですが、そのときは不用意に、何もせずに、いたためにわからなくなったのです。
でも、逆巻きのカメラでも、間違ってすでに撮影済みのフィルムをまた、入れてしまったということは、私を含めて、何人か見ていますから、QLだけが起こしやすい問題ではないようです。

FDレンズではないので
最小絞りの隣は、Aマークではなく、○になっています。
でも、シャッター速度優先やプログラムモードを持っているカメラで、Aの設定と同じ動作にすることが出きるようです。「ようです」と書いたのは、実際にこのレンズで、そう言ったモードで使ったことがないのです。
New FDになったら、単なる印刷になった文字が、この時代は、きちんと彫り込んであります。








ここからが、レストアの話しです
なんにもせずに5年間ほどしたのが、急にレストアしようと思い立ったのは、市販で、補修用のモルトプレーンがあると知ったからです。通信販売で、2種類のシートを購入しました。裏紙をはがすとそのまま貼りつけることのできるものです。
電気回路は動作しなくとも、メカのシャッターが動いているので、なんとか使えるのではないかと考えたためです。モルトプレーンは、裏ブタの部分だけでなく、スクリーンの前の、ミラーがあたる部分も、ベトベトでひどい状態でした。それと、スクリーン部分にも、たくさんのごみがついていて、ファインダーが見にくい状態でした。
モルトプレーンの貼り替えは、慎重にゆっくりとやれば、困難な作業ではありませんでした。ここは、カメラ修理を奨励するサイトではありませんので、詳細は書きませんが、難しいものではありません。
さて、モルト貼り替えができると、ファインダー掃除の必要もあるし、運が良ければ、露出計の回路をなんとかできるのではないかと思い、分解を試みることにしました。いままで、何台か、ジャンクカメラをいじっているので、なんとかなるのではないかと思いました。この写真は、軍艦部を外したときの、巻き戻しクランクの部分です。露出計のスイッチがこの部分にあります。
中を見ると。スイッチというのは、リレーの接点のような形状のものを、スイッチレバーで、接触させる方法でした。試しに、そのリレー接点のような部分の接点不良を想定して、接点を磨きました。そしたら、ラッキーなことにメーターが動き出しました。
電池は、今は生産終了している、水銀電池のMR9ですので、今の、マンガン電池では、電圧が少し違います。電圧が違ってもとりあえず動かしてみようと、電池室にスペーサーを作って、LR44を使えるようにしてみました。その上で、1.5Vで、まあまあの測定ができるようにとしてみました。調整用の半固定抵抗もありなかなか難しいように思えましたが、ものは試しです。

中を見ると、また問題が
ありました。ペンタプリズムを押さえている金具に、モルトプレーンがついていて、ベトベトしています。この写真が交換前の状態です。このモルトの替わりに、フェルトを使用しました。それから、配線が少ないし、フレキシブル基板もないので、プリズムを外して、ファインダーの掃除は、簡単でした。FTbが大きいことも、分解と、掃除がしやすい原因のようにも思えます。









ここは、巻き上げ部分です
シンチュウ色の部分が、フィルム感度とシャッター速度設定のダイアルの部分です。ここを回した設定が、ラックで、左にある、露出計のメーターの針を振らせる部分のバネの角度を変えて、フィルム感度設定としています。私がこの部分を調整したときは、LR44の電圧に合わせるため、何度もやり直しました。この設定がうまく行って、はじめて、きちんと動いたという満足感がありました。









前から見たところです
ペンタ部の上のアクセサリーシューに、持って行く配線です。この配線の少なさも、個人でレストアできる。重要な部分です。。

ええと、それで、うまく撮影できたかって?
うまく撮影できましたよ。まだレストア後は、またせ3本しか撮影していませんが、メカニカルの機種は、なんとなく使っていて安心するのは、古い人間の証拠ですかね。

できれば、巻き上げレバーは、FTb-N のプラスチックが被っているものに、交換できたらなあと思っています。
部品取りのジャンクがあれば、買いますよ。




えーと。今月はだいぶ遅れてしまいました。仕事に追われて、しかも海外出張まではいったためです。カメラのネタが尽きたのではありません。
また見に来てください。
(2002.6.9)


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