今月のカメラ 2003年12月号   Nikon L35ADとL35AD2

ニコンが国内でのフィルム用
コンパクトカメラから撤退と、一部の報道があったことについて、ニコンは、それを否定する説明を、ニコンのWEBサイトに掲載ということになり、なにがなんだかわからなくなっています。それでも、すでに感じていたのは、メーカー共通の状況として、国内でのコンパクトカメラの販売台数は、激減しているであろうということ。直接の理由は、デジタルカメラの伸びと、携帯電話にカメラ機能がついたということでしょう。それでも、日本以外では、まだまだ、コンパクトカメラというものの需要はまだあるわけで、ビジネスとしては、新規開発のペースは下がるであろうが、撤退するということがほんとに良いのか、素人からはわからないことです。


一般消費者向けの簡単で安価な
カメラをカテゴリーとして、なんと称するのか、難しいことですが、とりあえず、コンパクトカメラと称するとして。このコンパクトカメラを販売していなかったカメラメーカーが、突如このコンパクトカメラの分野に入ってきた例として、びっくりしたのは、当時の旭光学と日本光学の二社でした。それまで、それぞれ、光学機器メーカーとして、カメラは、高級な一眼レフ主体で販売していたのが、一般消費者向けの安価な商品の分野に登場してきたのは、いままでの私の描いていた、二社の企業イメージからは、かけ離れたものでした。日本光学、現在のニコンとしては、1983年のコンパクトカメラ発売には、やむにやまれぬ理由はあったのでしょう。でもねえ、「ニコンピカイチ」という愛称をつけたのは、やめてくれよと思ったものです。
正確には、初代は、L35AFですが、その後に、自動日付写しこみ機能をつけた、L35ADが発売されました。このL35ADは、正確には初代ではないのかもしれませんが、ほぼ初代ということで、見てください。上の写真のキャップは、ピッカリコニカと同様に、オートフォーカスの二つ目と、ファインダーも含んで、キャップするようになっているのは、その時代を感じさせます。そのころの、同様なカメラと比べると、小型であったのに、今の目から見れば、ちょっと大きいというだけで、あるwebサイトでは、「大きい」と酷評されていました。

わざとNikon製のフィルター
を、かぶせています。しかも、L37です。良いでしょう。
レンズは、さすがに、Nikkor とは、書かれずに、Nikon LENS であるところが、へんな差別化が見られます。Olympus も、コンパクトカメラには、Zuiko の名前をつけていないし、Minolta も、Rokkorは、なかなか使いませんから、考え方は、共通でしょう。それでも、焦点距離は、35mmにしているところが、すばらしい。一眼レフじゃないので、レトロフォーカスにする必要が無く、35mm/F2.8という仕様では、対称型の無難な設計ができるので、なかなか良い写りとなります。





この裏フタに日付機能が
ないのが、完全な初代、L35AFです。
別にコレクターじゃないので、これでも良いのですが、Nikonのコンパクトカメラは、機種が少ないので、35Tiと28Tiは別格としても、集めてみたいと思い始めました。







ストラップの金具にもNikonのロゴが
入っています。でも、なぜか、旧ロゴです。
まだ、JAPANと買いあるのがなかせます。
背後でボケてはっきりとは写っていませんが、本体は、斜体の新ロゴです。








L35AD2は、その後継機です
いつ発売かわかりませんが、L35ADとは、時代背景ががらっと違っているのがわかります。各部品は、L35ADとデザインを合わせてはいますが、共通部品は見当たりません。レンズの仕様は、35mm/F2.8と同じですが、設計が違っています。
キャップを付ける構造ではなく、スイッチタイプの手動で開け閉めする、バリアー形式です。オートフォーカスの窓と、ファインダー部にキャップはかぶりません。デザインも、F3から採用された、赤いラインを入れて、Nikonのカメラを意識するようにしています。グリップのつけ方も、F3を意識しているようにさえ見えます。
この個体は残念ながら、完動ではありません。24枚撮りフィルムを入れると、半分くらい撮影すると、巻上げモーター部分の何らかの問題で、巻きあがらなくなります。つまり、半分くらいしか撮影できません。レンズは、まあまあなので、使ってみても面白いのですが、ここ2年以上出番はありません。お飾りの状態です。

裏フタはスッキリしました
ストラップは、赤いラインを入れて、よりデザインに凝っています。写真には写っていませんが、Nikonロゴ付きのゴムのショルダーパッドが付きます。
この大きさで、縦下げは、個人的には、好みの形なのですが、完動ではないのが、ざんねんです。







右がL35AD2、左L35AD
L35AD2で、フィルム感度は、DXになっています。
これで、フィルム感度も、露出も、ピントも、オートになって、フィルム装てんが簡単になって、まったくの、オートになってしまいました。
ここらへんまでが、素人の趣味でレストアできる境目ということでしょう。このあとに、小型で、ズームのついた、電気カメラになると、もう訳がわからなくなってしまいます。




いちばんNikonらしさを
感じるのは、この巻き戻しボタンです。1のレバーをずらしてから、2のボタンを押しこむと巻き戻しができます。不用意な、巻き戻しがスタートしないようにロックをかけているのは、いかにもという感じです。F4のR1とR2のレバーを思わせます。
上が、L35AD下がL35AD2です。L35AD2の鏡筒の下の部分についているのが、バリアーのレバーです。構造は似ていますが、モールドの金型は、共通ではありません。デザインが似ているだけです。





NikonのAPSコンパクトもちょっと在庫があるので、そのうちね。

(2003.12.13)


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