比の今月のカメラ 2005年1月号   Pentax ME

高校大学と、OLYMPUS OM-1
のユーザーでした。OM-1は、とにかく小型で軽量の一眼レフです。当時の標準で考えれば、ボディーと50mm/F1.8をあわせて、他社の一眼レフのボディー単体くらいの重量でした。口の悪い人は、軽いから、シャッターショックを吸収できず、ブレやすいと言いました。でも、それなりに撮れました。ブレやすいとは思っていません。なにしろ、Kodacrome25と64を使うため、スローシャッター使用が多かったのですが、そんなにブレ写真を量産した覚えはありませんでした。Nikonコンプレックスであることを除けば、OlympusのOM-1は、一番良い一眼レフと思っていました。
こんなに小さくても、システムカメラであり、モータードライブも装着できるし、レンズも揃っていました。当時は、こんなカメラはでてこないだろうと思っていました。



スクリューマウントのPentaxは、
それが、スクリューマウントであるがゆえに、メリットもあり、デメリットもありました。
デメリットのひとつは、TTLの開放測光ができないということでした。
そのため、Pentax SPFは、M42スクリューマウントの真の互換性を捨てでも、開放測光を実現しました。でも、それが、すべての解決策では無かったのは、その後に、後戻りした、SPII が出されたことで証明できます。
もうひとつのデメリットは、スクリューマウントでは、とりつけ、取り外しに時間がかかり、めんどうということであり、他社のバヨネット式の方が優位性を持ち始めていました。
結局、Pentaxは、単にマウントを変更しただけのモデルも含めて、バヨネットマウントのKシリーズとして、1975年6月に発売することになりますが、当時は、Pentaxユーザーからは、マウント変更という大事件のため、互換性に障害が生じ、ユーザー離れが発生してしまいました。

ところで、1970年代の時代背景を見ると。
Olympus M-1 は、1972年7月発売
Olympus OM-2 は、1975年11月発売
ですので、一眼レフには小型化の波がスタートしています。
Canon AE-1 は、1976年4月発売
Pentax ME は、1976年12月発売
Nikon EM は、1980年3月発売

Pentax MEは、高さ、横幅、奥行きとも、OMシリーズより小さく作りました。PentaxのOMに対抗する気持ちが現れています。MEと同時に、メカ機のMXも発売しています。OM-1,OM-2対抗というのは、あきらかです。


OMユーザーの私にとっては
Pentax MEは、とてもいやな存在でした。より小さい上に、シャッターは、縦走りで、より先進的に感じます。シンクロ速度が、1/100秒です。
Pentaxは、ME,MXの発売にともない、レンズラインナップもより小型のSMCペンタックスMというシリーズを投入しました。Olympus OMシリーズの牙城を崩す攻勢でした。
今、そのSMCペンタックスMのレンズは、ジャンク価格で購入することができます。冷静に今使用すると、特に優れているということは、感じられないのですが、当時は、脅威に感じました。

さて、それから、28年が経過して、手元にブラックのMEが、ジャンクとしてやって来ました。外見は、汚れがひどくて、悲惨な状態でした。ただ、へこみや傷が少ないので、なんとかなると感じました。OMの好敵手であるMEをレストアすることになります。レンズは、50mm/F1.8がついていましたが、さすがに、カビだらけです。どうも、Pentaxのレンズには、カビレンズばかり出会います。

一番上の写真では、レンズキャップが、PENTAXの文字が、銀色になっている時代のものです。なかなか見栄えがします。
40mmには及びませんが、この50mmも小型でなかなかMEにぴったりのレンズです。

MEを触るチャンスは、
仕事仲間のAさんが、中学校時代に買ったカメラをなんとかできないかと持ってきたのが始まりです。MEのシルバーでした。ボディーは、軍幹部の角に落下したようなへこみがあり、50mm/F1.4は、カビだらけでした。
レンズのカビ取りは、やってみましたが、カビにより、コーティングが腐食されて、カビ痕が残りました。これでは、逆光での撮影は、無理です。SMC Pentax M 50mm/F1.4についても、これで認識できました。びっくりしました。開放での周辺の収差は、あまりにもあまりにも、という状況で、本来50mm/F1.4というのは、そのメーカーの看板であり、一倍良いレンズであるべきと思いますが、SMC タクマー時代から、構成に変更がなされていないというのが原因としても、あまりにも情けないものでした。Pentaxを愛する人には申し訳ありませんが、ほんとにすごい状態です。

さて、入手したブラックボディーは、外側の掃除以外は、あまり手を入れずに復活しました。レンズのカビは落としましたが、やはり、コーディングに腐食痕が残りました。オートの撮影も含めて、動作しましたので、まずは、レストア完了というところです。

絞り優先AE専用機
だけあって、AUTO以外は、シンクロ用の100XとBです。割り切りが良かったのか、結構売れたカメラでした。Olympus OM-2は、割り切りが無く、マニュアルモードもあったのですが、それはそれで、私には良いのですが、ほんとにマニュアルを必要としたユーザーはどのくらいいたのでしょうか。
シャッターまわりと言い、巻き上げレバーと言い、なかなかバランスの取れた良いデザインで、その後のPentaxの標準を作ったといえると思います。







このASAHIのマークは
MEが最後になりました。きれいにASAHIの文字が写っているのは、皮肉なことに、溝に残った汚れのためであり、手元に着た時は、全体に、グレーの汚れで覆われていました。PENTAXの文字もきれいになりました。レンズの掘り込み文字はきれいにできなかったので、そのうちに、新しく、色でも流し込みましょう。









Pentaxの売りである 
フィルムー差し込む部分の白いスリットです。でも、引っかかりが弱くて、以外にすっぽ抜けるので、初心者は良く巻き上げることが出来ず、写真をふいにするようです。ASAHI OPT. CO. JAPANの隣は、これもまた、Pentax得意の、フィルム巻き上げ確認インジケーターです。でも、巻き戻しクランクが回っているのを確認できれば、特にこれは要らないのですけど、よけいなお世話でしょうか。
縦走りシャッターは、高校、大学時代の憧れでした。実際に、縦走りシャッター機を自分のカメラとして使ったのは、なんと、Nikon F4を買ってからです。憧れは、現実となりましたが、そんなに時間がかかってしまいました。20年もかかってしまいました。




これが、Aさんの 
シルバーボディーです。
持病の、巻き上げレバーの予備角ラッチのスプリングが折れて、なんとか、できないかと、預かっていますが、うまい方策が見つからず、入院状態です。
スプリングの蝋付けてせいけそうなのですが、まず、蝋付けのための、トーチと銀蝋を買うのをためらっています。そのためだけに、投資しても、あとは、用途がないのです。丸棒のスプリング材で代用できないか見ていますが、なかなか、強いバネの代替はできそうもありません。





KODAKの白黒の犬を撮るという 
写真への挑戦のような、白黒のMEをいっしょに撮りました。たしかに、白と黒のものを一度に撮るのは、難しいものです。
なかなかうまい設計で、軍艦カバーパーツと、巻き上げレバー、巻き戻しクランク、エプロン、ホットシューのカバーと、黒特有のパーツを最小限にして、共通化しています。他社なら、レリーズボタンまわりと、巻き戻し部分も違う部品になっているはずです。








確かに50mm/F1.4は 
見た目は、かっこよいです。でも、実使用では、50mm/F1.8のほうが良いと思うのは、負け惜しみですか。

Pentax ME は、確かに良いカメラでした。
実は、Pentaxには、縁が無いと思っていました。購入したジャンクと中古が、ハズレばかりで、まあ、見る目が無いといえるのですが、良いものに出会っていませんでした。このブラックのMEは、良いものです。これで、良いレンズがあれば、使用頻度は上がるのですが、まだ、まともなレンズは、ありません。





今回の、年末年始の休みは、短い上に、用事が多くて、時間が取れませんでした。Pentaxのほかのレストアは進みませんでした。残念。
(2005.1.5)


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