比の今月のカメラ 2005年5月号   Nikon FE Black

2001年の4月で、FEのクローム
を書きました。今回は、FEのブラックです。
2000年ころからずっと、いまも一番稼動しているのはNikon FEです。ほんとはF4Sと言いたいところですが、F4Sは重いので、結局持っていくのはFEになってしまいます。「F4S君はお留守番でごめんね」というのが長く続いています。
前回のFEの説明では、あまりFEの良さを書きませんでした、なぜかというと、FEを見直されてもこまるからという、気持ちからでした。今は、部品取りを含めて、5台まで在庫が増えましたので、まあ、これで当分使えるということで、FEを啓蒙していきます。
FEの良いところは、比的感情で書いてしまえば
1.露出計のメーターがアナログメーターのため、感覚的に
  とらえることが容易である
2.スクリーンが交換可能で、補正すれば現在のFM3A用も
  使える
3.Ai以前のNikkorレンズも取り付け可能である
4.中古価格が安い
と言うところです。
メーターがアナログのほうが使いやすいというのは、FM3Aで復活したところからも言えます。私は、AEを使わないので、露出計の中央重点の値から、逆光、バックが真っ白、バックが暗いなどの状況を見て、この場合はこうだと判断するのに、アナログのメーター表示は非常に便利です。たぶん、最新の多分割測光のたくさんのデータを持っているカメラの方が、正確な露出決定は可能なのかもしれませんが、自分で露出は考えたいので、このアナログメーターは使いやすいと思っています。だからFM2の出番がなくなるのよ。


スクリーン交換可能
に関しては、一台目のFEには、FE2,FM2用の全面マットをつけました。高校時代から全面マットになじんでいたため、どうもマイクロスプリットは、苦手になってしまいました。二台目のFEには、ジャンクとして売っていた、格安のF100用の方眼マットをつけました。
F100用のものを使うと、まず、方眼がF100のオートフォーカスポイントの部分に線が引いていないので、なんだか、部分的に線が消えているように見えます。それから、露出補正は、FE2,FM2用と同じくらいと考えて使っていますが、特に大きなずれは感じていません。ピントあわせは、FE2,FM2用よりやりやすく感じます。
Ai以前のレンズに関しては、最近はほとんど出番が無いので、特にメリットはなくなりましたが。

それで、この写真のFEですが、欲しかったブラックが手に入ったものです。きれいです。こんなに良いのに、FEのクロームを買ったときと比べても、かなりお安く買えました。フィルムカメラの中古が安くなっているためです。
ラッキーです。
この写真では、レンズとして、広角としては、傑作レンズと思っている、24mm F2.8を付けてみました。28mm F2.8といレンズは、Auto Nikkorの時代から、つまり初代からすばらしいレンズで、近距離でもよく写ります。


FEの世代を考えると
ものの資料や、実物からわかっていることは、内部機構としてのシャッターが二度変更されていて、筐体のダイキャストが一度変更されているため、結局は四世代存在する形になっていますが、本当は何世代あるのか検討もつきません。比の持っているFEを見る限りそれを四世代に分類すると、それぞれはこうなります
クローム #34889xx : 二世代目
クローム #32237xx : 二世代目
ブラック #33006xx : 一世代目
ブラック #41480xx : 三世代目
ブラック #41782xx : 四世代目
それで、どうもクロームとブラックのシリアル番号が食い違ってるのは、番号の付け方の法則が、ブラックとクロームで違うのか、または、どこかで、軍艦部が交換されてしまったものなのかわかりません。いずれにしても、四種類も有り、もしトラブル発生の場合は、ニコイチがやりにくくなっています。
三世代目と四世代目は、内部は同一で、筐体のダイキャストのみ違っているようです。


MD−12は、3台に
なってしまいました。でも、重いので、あまり使っていません。
ほんとにモードラが必要な場合は、F4Sを使っていますので、必要は無いけれどとりあえず付けていこうかなという程度で使っています。電池は8本も入るので、アルカリ電池を買うと高くつくので、もっぱら、デジカメ用に使っていて、やや劣化してきた、NiMHを使っています。保証外の使い方でしょうけれど。このMD−12は、時々、ボタン半押しでの露出計ONのスイッチが入りにくいことがあります。たぶん接点の腐食と思われますが、分解してまで、掃除する気になっていないので、だましだまし使用しています。

この本体は、上の写真とちがうやつで、一世代目のやつです。くたびれている固体のため、フィルム送りにやや問題がでていて、コマ間にばらつきが出ています。Nikonのカメラでの使い込んだ場合のよくある症状です。



アイピースのレンズは
よく外れて、なくします。結局、ないままにしている固体もありますが、とりあえず使用に絶えるし、アングルファインダーを使うときは、はずさないとねじ込めないので、つけないでいるほうが便利な場合もあります。
先月のEMもそうですが、フィルムのフタフォルダーというのかな、その部分の塗装は、はげやすいですね。こいつも真鍮地が見えています。

それでは、FEの良くないポイントも上げておきましょう
1.スピードライトのTTL調光ができない
2.シンクロスピードが今となっては125分の1秒はちょっと
  ものたりない
3.(すでに書きましたが)世代がたくさんあって、レストア、
  ニコイチがやりにくい

それからよく聞く持病についても書きましょう。
シャッター後幕トリガーの接点が不良になりやすく、シャッターのトラブルが多い。良くあるのは、閉じなくなり、ミラーも上がりっぱなしで止まるというもの。それも比較的、間欠で発生する。まあ、持病と言っても、機械、電気製品の寿命を考えると、もはや寿命の年数を越えて稼動しているわけですから、設計が悪いということで、かたづけてよいことではありません。ここまで使うと何かしら問題は発生します。20年程度は稼動しているのですから。

ブラックを3台置いてみました
このうち、一台は、電源が入らない部品取りです。
正確に言うと、5台のFEで、4台は使用可能であり、ローテーションで使っています。それぞれの癖はほとんどありませんので、ローテーションしやすいやつらです。












FEの世代の違いの詳細は、また今度ということにします。FE自体分解しにくいカメラですし、まだ、充分に動作しているものをあれこれ興味本位で分解するのは、気が進みません。今年のゴールデンウイークもFEでたくさん写真とりました。桜の花でも撮ろうかと上杉公園を下の子をつれて歩いていると、Pentax MEのTOMさんとばったり会いました。またよろしくね。
(2005.5.7)




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