比の今月のカメラ 2008年 4月号 Pentax KM


Pentax ユーザー

には、「青天の霹靂」だっただろうし、信じていたのに裏切られたという気持ちだったのかもしれません。1975年6月に、突如として旭光学(現在のペンタックス)は、それまでのスクリューマウントではないバヨネットマウントの一眼レフを発売開始しました。それも、K2, KX, KM と一気に3機種もだったのです。これは、ここからは、バヨネットマウントに前面変更しますよということであったわけで、今までユーザーは、切り捨てられたと思った人もいたと思います。当時の私は、オリンパスOMユーザーであったために、まったく影響は受けずに、「へえー、マウント変更したんだ」という程度だったのです。それまで、世界標準といって、互換性の高いスクリューマウントを売り物にしていただけに、方針転換については、びっくりしたものでした。
いまとなっては、当時の大騒ぎはなんだったのかというところで、そのあとに、K2, KX, KM で採用されたこのマウントはKマウントとして、ペンタックス以外でも採用されて、世界標準に近い扱いとなろうとは当時は思いもよらぬことでした。

この写真のKMも、先先月号、先月号のSP, SPFと同じくジャンクで購入したものです。

K2, KX, KM については、最上位機種がK2であり、このKMは、下位機種となっています。
簡単に言うと、いちばん価格の低い機種でした。そのため台数が販売されたので、いまでもジャンクとしては結構目にします。



K2やKXと違い
KMは、その前のSPFのマウントを変更した程度の違いと言われています。カメラの仕様や、外観では、確かにそういうふうに感じやすいものです。ほんとうのところはどうなのでしょうか。

このKMは、一部、部品が無い状態で入手しました。ニコイチ用のKMをほかに入手しようと考えていましたが、SPFの部品をそのまま使用することができました。共通化されていました。確かにマウント変更のみというのは、ほんとうみたいに思えました。
レンズについでですが、この50mm/F1.4は、SMC PENTAXという名前になっています。残念なことに、Kマウントのレンズになってから、TAKMARの名前を使わなくなりました。TAKMARは、良い名前だと思っていたので残念でした。レンズは研磨されて作られることから、「切磋琢磨」の「たくま」から、タクマーになったといわれているので、なかなか良い名前と思っていたのですが、良くない名前と思った人がいたのでしょうか。50mm/F1.4は、スクリューマウントのものとKマウントのものと2種類手元にあります。どちらもジャンクレンズだったので、分解しましたが、光学系はそっくりで、絞り設定部分の機構がまるで違うという設計でした。特徴のある特性のこの50mm/F1.4は、PENTAX A シリーズのレンズになるときに光学系が変更されたということで、PENTAX A の50mm/F1.4を使ってみたいものです。でも、Aシリーズのころは、もはやズームレンズ一本で一眼レフを使うという時代になっていたので、50mmの単焦点レンズは販売数は少なかったのか、ジャンクは見ないです。




SPFと違うのは
マウント部だけではなく、この巻き上げレバーも違うし、底の板金部分の、前に位置するところが、C面とったように面取りされているような構造になり、よくよく見ると、基本設計はSPFであり、それをもとに、金型は新規で作っているのがわかります。

Kマウントは、結構後発で開発されたため、いろいろと考えられていました。スクリューマウントの場合と、フランジバックは同一にして、スクリューマウントのレンズをKマウントのカメラに取り付けるアダプターは、フランジバックの精度に対して影響はあたえないようにしているため、価格の安いマウントアダプターとすることができています。
それから、Kマウントは、ニコンのAiの大騒ぎのようにならないように開放測光ができる、開放F値伝達の方法ははじめから入れていました。Kマウントは、リコーがXRシリーズで採用したし、天体用の望遠鏡に取り付けるカメラも、Kマウントのカメラが、望遠鏡メーカーのブランドで供給されたりしました。ロシアカメラとレンズでも採用されたものがあります。シグママウントもKマウントベースに考えられていて、取り付け上は互換がとれるようです。残念ながら、オートフォーカスと、データの電気的やりとりの互換がないようで、今の機種では、互換性がとれなくなりました。

K2は、電子シャッターの動作でAE対応可能にしていました。KXは、露出計として、CdSではなく、フォトダイオードを使用して、最新のテクノロジーとして開発されました。K2もKXも、既存の機種のマウント変更ではなかったのです。



SPFと並べてみると

どこを設計変更したかわかりやすいと思います。
それで、基本はSPFの図面を使ったのでしょうが、大物部品の金型は新規で作っているはずです。この違いは、流用のレベルではありません。軍幹部も違うし、絞込みボタンのためボディーの金型も新しく作ったはずです。








マウント変えただけ
という話は違いますね。
左がSPFで、右がKMです。フランジバックは同一です。
SPFには、電源スイッチがありません。レンズキャップをすると、CdSに光があたらないため、電池の電流は微量しか流れないので、消耗ははとんどなく、スイッチは必要ないとされていました。実際SPFの電池はなかなか長寿命で、スイッチはなくとも問題無いねといえました。KMでは、CdSをもうひとつ増やして、レンズキャップがついているかついていないかのセンサーとして使って、電池の減りを防いだとされていますが、電池の減りを実感できるほど頻繁に使っていないので効果のほどはわかりません。

しかし、SP,SPFと同様KMも、構造的にはしっかりした作りで、今でもトラブル無く動作してくれます。このKMも露出計部分をレストアせずに、単体露出計を持ち歩いて使用しています。慣れれば、べつに内蔵露出計が動作しなくとも気になりません。ただ、Kマウントの手持ちのレンズが少ないので、なかなか持ち歩く頻度は低い状態です。



【雑談】
やっと雪もとけた。雪囲いもはずした。長靴もかたづけた。車のタイヤも交換した。いよいよ春です。庭に植えてあるマンサクの花も咲きました。いよいよ山の植物の写真撮影に行けます。
でもでも、モノクロフィルムもたくさん準備していますので、モノクロに良い被写体を探さないといけません。
フィルム現像の効率アップのため、現像タンクをもうひとつ増やそうと思いましたが、結構価格が高いので、とりあえず、リールのみ増やしました。そのうちタンクを買います。リールが増えれば、水洗中に、次の現像の準備をスタートできます。
(2008. 4. 12)




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