比の今月のカメラ 2008年 12月号 OLYMPUS PEN-EES


ある人から
OLYMPUS PEN-EESを修理してくれと頼まれた話は、10月号の話として書きました。そこで登場したのは、このOLYMPUS PEN-EESです。
頼んだ方のPEN-EESを修理するために、EEもEESも、そしてもうひとつと、合計3台をネットオークションで入手して備えました。
正確に言うとドミノ移植となりました。頼まれたEESには、この写真のEESから部品をとりはずして、修理完了した。それで、このEESは、掃除して、はずした部品をなんとかすれば、もどるはずたということで、EEからはずした部品をおさめて、ドミノ移植の完成となった。シャッターユニットやレンズなど掃除したので、頼まれたEESとほぼ同じレベルになったと思う。




EESは
EEのSuperなのでしょうか、Specialなのでしょうか。
EEがF3.5のレンズを固定でパンフォーカスで使うのに対して、EESは、3cmのF2.8のレンズを絵が書いてある回転ヘリコイド?で、目測フォーカス合わせとしてある。そのほかは、EEと同じと考えてよいだろう。
これにもちゃんと、D.Zuiko と書いてあります。
EEやEESが発売された時代は、フィルム感度が100が普通で、200や400というと、カラーネガでは存在しないし、モノクロでも粒子が粗いということで、通常は使わなかった。そのために、F2.8の明るさは、ぜひぜひ欲しかったでしょう。クセノンチューブのストロボも高価だったので、フラッシュバルブを使い捨てで使うためには、あまりにもランニングコストが高くつきました。ラーメンが一杯200円もしない時代に、フラッシュバルブは1個50円くらいしましたので。ちなみに、フィルムは、モノクロで一本200円くらいでしたから、フラッシュは金がかかりすぎです。




軍艦の上見ても
EESとは書いていない。上の写真のように、正面の飾り文字の赤い時で「S」と書いてあるので、EEに対してSが足されて、EESとは、暗号のような話だ。
分解の手順は、レンズが回転ヘリコイドであること以外は、EEと同じだ。コマ数のところの逆ネジも同一だ。
ドナーとなったEEもこのEESも、素人の分解の痕がないので、助かった。ネットオークションの「ジャンク」や「ジャンク扱い」は、なかなかリスクがある。
このEESは、塗装のはがれも少なく、さほど酷使されなかった個体で、お買い得でした。レストアされたEESは、意外な高額で中古屋さんで売られていたりするものです。




中もきれいだった

モルトを交換は必須だが、光漏れは、もともとしにくい構造だ。
EEとEESは、簡単な構造なので、ほんとうに全部バラバラにしても、再組み立てはやりやすいカメラだ。単純な構造に設計した技術者は、すばらしい。この単純さのために、いまだに簡単にレストアして、実際に使用できる。









このストラップは
オリジナルと思います。この時代は、ハンドストラップはみんなこんなものです。もう、可塑剤が効かなくなって、カチカチに硬くなっていますが、いちおうオリジナルのままでという気持ちで、このまま使っています。
先日、赤ちゃん連れのファミリーのお父さんが、EESをネックストラップつけて、ぶら下げてたのを見ました。20歳後半くらいの人でしたが、フィルムカメラで、ファミリーの記録写真を撮っているのですね。世の中の流れに逆らうように、なかなかできないことです。でも、あとで、ネガからプリントすると、フィルムでよかったと、思うことがあるかもしれません。今のこどもは、将来、元データの無い、さびしい世代になるかもしれません。ファミリーカメラである、このEESを見ていると、いろいろと考えてしまいました。



【雑談】カメラじゃなくて、無線機のレストアの話なのだが。部品が無い場合がある。問題は、電気部品だ。真空管使用の無線機は、真空管は当然として、抵抗でも、コンデンサーでも、とにかく入手難だ。でも、意外だったのは、トランジスタやIC使用の無線機だ。まず、ICは、絶望的だ。トランジスタや、ICは、取り付けて、問題なく動作しているものは、永久不滅と思っていた。しかし、実際は幻だった。足である金属部から腐食が内部に向かって進んでいって、シリコンまで到達すると、動作しなくなる。トランジスタは、小信号用の一般的なやつの場合、現行品の同等のやつと交換すればそれでOKだが、ICの場合、互換品があるものが少ないので、それが腐食でやられたら、もう高いのを覚悟で、ネットで探すしかなくなる。買えるのも時間の問題となっているICもある。そういうことで、30年も前の無線機は、カメラと違って、レストアしにくい存在となっていて、ネットオークション見ても、かなり安く取引されています。「あのころは、高くてとても買えなかったのに、今は...」と思っても、カメラと違って、無線機のレストアは、なかな大変です。
ということで、いまの興味は、カメラのレストアじゃなく、無線機のレストアに向かいつつありです。
(2008. 12. 6)




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