比の今月のカメラ 2009年 12月号 Canon Canonet G-III QL17


キャノネットです

1961年発売のキャノネット初代は、エポックメーキングなカメラですが、これは、それの末裔、三世代目です。

発売は1972年3月
当時の価格29,000円

シャッター速度優先EE、マニュアル
レンズ40mm/F1.7
シャッター速度 1/500sec-1/4, B

初代キャノネットは
発売1961年
二世代目キャノネットである
ニューキャノネットQL17は、発売1967年7月
当時価格27,000円
全自動のフラッシュオート機構(CATS=Canon Auto Tuning System)が搭載された。当時こどもだった私だが、いつも行っている床屋さんが所有していて、箱にCATSと書いてあるので、このカメラは、猫の何が関係しているのか不思議に思ったものだ。

この、G-III QL17は、基本的な仕様は、ニューキヤノネットQLl7Lと同じのが、バッテリーチェックがファインダー接眼部の横の、ボタンを押せばすぐ下のランプが点灯で確認できる変更がある。





レンズは
40mm/F1.7のため、QL17という名前なのは、このF1.7のレンズからきています。G-III 19という機種は、45mm/F1.9のレンズで、QL(Quick Loading)機構がついていないものです。













下向き矢印の
プラスチックカバーは、シンクロ接点のカバーです。まったく同じものが、同時代の一眼レフである、FTQLなどについています。まったく部品の流用なのでしょうか。
ファインダー横の赤ボタンが、上で書いたチェックボタンです。











レリースボタンと

巻き上げが同軸なのは、一眼レフでは、EFだけかな。キャノネットは、二世代目とこの三世代目がそうですね。なお、初代キャノネットは、底についている、ちょっと不思議な形のトリガーレバーで巻き上げます。
ストロボのホットシューは、上で書いたCATSのための仕組みですね。











底面の
電池フタは、ちょっと壊れそうなプラスチックです。電池は、当時一般的な、水銀電池のHDです。取り出しやすい透明プラの引っ張る部品がついています。
三脚穴はほぼ真中で、巻き戻しボタンの位置も一般的ですね。でも、巻き戻しボタンをこんなテカテカのきれいな部品を使うところが、いかにも当時カメラが高級品であったかわかります。
ああ、シャッターメーカーの「COPAL」の文字がわかりますね。








QL機構は
これですね。一眼レフのFTQLやFTbに使用されたと同じ機構を、このファミリーカメラにも搭載しているところが、キャノネットでも、高いモデルということでしょう。このQL機構では、フィルムが順巻きのため、巻き戻しをベロ出しで取り出すと、撮影済みフィルムかどうか、わかりにくく、一度使ったフィルムをまた使うという失敗を起こす人がいました。

このキャノネットG-III QL17は、11年間販売された、ロングセラー機ですが、中古やジャンクであまり見ないのは、皆さん使い込んで、壊してしまったために、捨てられたのでしょうか。このカメラで、家族の写真を撮ったという人は多いと思います。




【雑談】結局、一ヶ月苦しみました。なにがというと、フィルムスキャンです。フィルムスキャンなんか、ずっとまえからやっているのにねえ。24mmx36mmの画面いっぱい分、まわりの写っていない部分まで取り込もうとすると、いわゆるフィルムスキャナーでは、とれません。そのため、フラットベッドスキャナーでとることになるわけですが。それでも、ブラスチックのフィルムキャリアーを使用すると、とれません。以前は、直接ガラスに置いてやったみたのですが、カールしているフィルムは、まともにとれないし、フォーカスも甘くなります。それで、ガラスネガキャリアーにはさんで、平面性と、フォーカス位置をどちらも良くしようとしましたが、これがトラブルの元でした。このガラスネガキャリアーが安物であったせいもあるかもしれませんが、とにかくニュートンリングが出ます。なんどか取り直しをしたりしました。結局、言えることは、ニュートンリングが出るコマは、このシステムでは、必ず出るということです。出ないコマは出ません。フィルムの光沢面の表面の特性と、カールの具合で、発生しやすい。それと、なぜか、画像の濃度によって変わるみたいです。web上で、いろんな方が書かれていますが、なぜか、空の部分に出ます。波長によって、出やすくなると推測するのですが、ガラスとフィルム光沢面の、わずかな隙間の寸法と光の波長の組み合わせですか? 正確には、わかりません。それと、偶然なのでしょうが、うまく撮れているコマに限って、ニュートンリングに邪魔されます。まいりました。重石をかけて、ネガの平面性を得ればよいのでしょうけれど、来月の写真展に間に合わせるには、そんな時間がもう残っていませんでした。まいりました。うまく取れたものを10コマほど候補に出してから、その中から選んで写真展に出そうと思いました。こんなに苦しんだ写真展準備は無かったかもしれません。勉強になりました。時間に余裕が出来たら、ここらへんの悪戦苦闘の記録は、webページ上にまとめてみようかなと思います。
(2009. 12. 27)




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