今月のカメラとレンズ 2011年 11月号 OLYMPUS E.ZUIKO 135mm F2.8


高校生の時に
一眼レフを買った。高校の入学祝をほぼ全部つぎ込んで買った。レンズは50mm F1.8付きだった。それ以上のものは買えなかった。添付されてきた交換レンズの読本を「穴の開くほど」という表現が使えるほど読んだ、眺めた、みつめた。
レンズが交換できるというのは、夢のような話だった。ズームレンズは、世の中に存在したが、高価で、単焦点レンズよりも、もっと遠い存在だった。
そのころの高校生が、まず欲しいのは、望遠レンズだった。「のぞき趣味」とは言わないで欲しい。遠くのものを大きく写すことが感動だった。(実はここまでの文は2011年10月のばしめとまったく同一だ)
なんとか高校時代に、交換レンズを買えるところまでの資金はたまった。さて、穴の開くほど見た、交換レンズ読本の中でも、そして友人たちの所有あるいは父親から借りてきたというレンズを眺めても、結論はひとつだった。135mmだ。135mm/F3.5だと、望遠レンズの中で、一番安い。しかし、F3.5を買うと、結局は、F2.8が欲しくなるに違いない。あとで後悔すると感じた。なんとか135mm/F2.8を買えるところまで資金はたまった。





E.ZUIKOの
ZUIKOは、いろいろなところで書かれているが、「瑞光」であり、オリンパスの会社名がギリシャ神話からきているのにちなんで、瑞光は、日本の神話からきているというのは、知られている。そして、はじめについている、「E」は、レンズの枚数を表していて、Eは、A,B,C,順から5枚ということをしめしている。ただ、このZUIKOのあたまのレンズ枚数を示すアルファベットは、ある時期しか使われず、この写真の135mm/F2.8は、初期型のいわゆる「銀ブチ」と呼ばれるもので、コーティングはシングルコートだが、マルチコートのバージョンになると、「E」はつかなくなり、たんなる「ZUIKO」の表示となる。まあ、こんなウンチクは、いろいろなところで書かれているのだけれど、なにしろ50mm以外の交換レンズで、はじめて買ったものなので、いろいろと書きたくなるのだ。





フードは

組み込みのスライドです。伸ばすとこのようになります。使い込んだので、もう、スカスカになっていて、まっすぐな状態にはならずに重力にまけてたれ下がり気味になります。
とにかく使いました。だって、50mm以外はこれしかない時期があったのですから。かならず持ち歩いた思い出があります。









後ろは
こんな感じです。何度かレンズ交換しているうちに、プロワーで吹いてもとれない汚れが、後ろタマについてしまいました。シングルコートであっても、コーティングに違いは無いので、とにかく高校時代は、レンズを拭くのが緊張でした。なにしろ、大事大事なレンズですし。プロは、アルコールとアセトンの混合液を使うそうだと聞いても、そんなもの入手の方法がわかりませんでした。しょうがないので、KENKOブランドの、レンズクリーニング液とレンズクリーニングペーパーを買ってきて、やってみました。結果としては、きれいに拭けません。たぶん、いまやっても、あの水性のクリーニング液だと、拭き痕が残って、きれいに仕上がらないと思います。なんだか、モンモンとした気持ちで使っていました。その程度の汚れで、写真のできは違わなかったのでしょうけどね。




人生ではじめて
使ったNIKKOR 135mm/F2.8は、あとで同一のモデルを買いました。E.ZUIKO 135mm/F2.8は、人生ではじめて買った交換レンズです。それは、そのものをちゃんと保存してあります。並べてみるとこうなります。当時は、あまりの大きさの違いにびっくりしたのですが、今見ると、OMシリーズのレンズを見慣れたのか、そんなに大きな差は感じなくなってしまいました。まあ、135mmじゃなくて、80-200mm/F2.8とか、300mm/F4とか重くて、そこそこ大きなレンズを使っているのでNIKKOR 135mm/F2.8ですら、小さく感じているのかもしれません。

それで、今はE.ZUIKO 135mm/F2.8は使っているのかというと、まったく出番はありません。少なくとも、ここ30年くらいは、実際の撮影で使った記憶がありません。今考えると、自分の写真では、135mmという焦点距離を使う場面は、多くはないのですね。




【雑談】OMシステムそのものを持ち出すことが少なくなったなあと、このE.ZUIKO 135mm/F2.8のことを書いていて、思いました。もっと使ってみようと思いました。それにしても、あのオリンパスの不祥事はなんということだ。その昔、こんなにオリンパスを愛用していた者としては、がっかりしてしまう。デジタルのPENシリーズが快調なときにねえ。

(2011.11.23 )



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