修理の部      ASAHI Pentax SPIIレストア作戦

会社の同僚のO氏は
父親から、ASAHI Pentax SPIIを譲り受けたそうだ。
おとうさまは、だいじにしたあまり、たんすにでもしっかり保管したのだろうか、あまりにもかわいそうなありさまだった。
SMC TAKUMAR 55mm/F1.8は、なかなか良いレンズだったのに、かわいそうにカビの餌食だった。この写真でも、ありさまは、把握できる。素人目にも、いけない状況はあきらかだ。
ASAHI Pentax SP2, ASAHI Pentax SPU, アサヒペンタックスSPU








モルトとよばれているのは
カメラで、光を漏れないようにしたり、ショックを吸収したりする目的で貼りつけられた、スポンジ状のプラスチック材料のこと。これがなかなかの曲者で、採用した当時は、使いやすく安い、夢の素材だったのかもしれないが、今となっては、諸悪の根源ともいえるものだ。なにしろ、20年も経過したものは、ベタベタに融けるように変質するか、ポロポロと崩れるように変質して、本来の機能をはたさないばかりか、ほかの材料を変質させる、いやな物質となる。さいたるものが、ペンタプリズム部にショック防止で貼りつけられたものが、プリズムの反射コーティングを変質させ、プリズムの腐食という、ファインダー像が見にくい状態にしてしまう。





問題なのは、電池です
水銀電池は、1995年に生産終了しました。ただ、外国では、依然として、製造しているところがありますが、あえて、環境のためそれを使用することは避けます。
SPII の指定は、H-Bです。H-Dには、同一サイズのアルカリマンガンが、VARTAから、発売されていて、比較的容易に、安価に入手できますが、H-Bは見当たりません。VARTAのwebを見ても、カタログ上存在していません。
まず、サイズを知るのが手始めと思いました。H-Bは、メーカー毎に、番号がことなるので、いくつかの型番で探してみました。H-Bの別名は、MR42であり、Duracellでは、PX400。Kodakで、KX400。VARTAで、V400PXです。特にV400PXで、いくつかヒットしましたので、見てみますと、外形サイズが書いてあるサイトを見つけました。φ11.6mm, hight 3.6mm Qapacity 100mAhであることがわかりました。いけそうな、マンガンボタン電池を探すと、LR1130は、厚さがことなり、直径は同じでした。φ11.6mm, hight 3.05mm Qapacity 40mAhで、LR41が、φ7.9mm, hight 3.6mm Qapacity 25mAh 。感覚的には、直径が同一で、高さが足りなければ、アルミホイルなどを挟み込めば、使えるはずとH-Dと、LR44の関係を想像していました。しかし、LR1130を買ってきたら、ぜんぜんちがうのです、この写真のように、外形が、プラスとマイナス方向でまるで逆なのです。そのため、LR1130は、入りません。「なるほど、みなさまのwebでは、LR41を使っているわけだ」。
というわけで、やっぱりLR41しかないようです。

なんとか、入れました
厚さは、同一ですから、まわりにスペーサーつければ良いわけです。
でも、容量は、4分の1ですから、すぐなくなるのだろうな。
指示する、値は、いつも使っているFEに50mm F1.4をつけで、測定したときと、2分の1段ほどずれていますが、FEの値が正確といえるわけでもなく、ほぼ、使えると考えましょう。
これで、掃除とモルト交換すれば、使えるはずです。











外観はもともと悪くなかったので
表面の掃除をすると、そこそこきれいに見えます。
ストラップは、購入当初から使っているらしくて、ヒビの入った皮紐でしたので、切れる恐れがあり、すぐに外しました。

シャッターは、低速がほぼ問題無く動作しています。
30分の1秒か、15分の1あたりで、機械カバナーの余韻を聞くと、うっとりとしてきました。いつかは、1台ほしいものです。









ミラー部のモルトも交換
しました。
ミラーも、おそるおそる拭き取りました。傷はつきませんでした。
裏ブタ部もモルト交換しましたので。この状態で、復帰すると思っていました。

なお、セルフタイマーのかに目のところに、傷があり、外すときに傷つけたあとがありますが、これは、私に来たときには、すでについていました。オーバーホールでもしたのでしょうか。

でも、ここらへんは、KX, KMと同じです。マウントだけ交換したという話は、本当ですね。





55mm/F1.8のカビは
ひどいものでした。
50mm/F1.4とちがって、まともなレンズだけに、このカビは悔やまれます。
前玉と、後玉にカビがありました。この写真は、後玉ですが、カビ本体は、落としたのに、カビにより、コーティングが腐食されて、このような状態です。
逆光使用禁止といえます。

最後に、SPUの思いでを書くならば、高校の1年のとき、私は、唯一のオリンパス、M-1ユーザー。しかし、ペンタの所有者は多く、クラスでも2人が持っていた。しかも、その2人とも、交換レンズを持っていた。1年上の先輩で、オリンパスのFTLを持っていた人がいて、ペンタのレンズと互換性があると、うれしそうに言っていた。M-1ではなく、あのとき、ペンタを買っていたらいまごろどうなっていたたろう。あのころは、ペンタ所有者には、コンプレックスがあったが、いまは、M-1でよかったと思っている。

(2002.8.12)


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