GMのこぼれ話:魔王、降臨編


 こうして、天使戦争編・全3話(外伝的な序章も含めると、全4話)は完結しました。最後はさぞかし、たくさんの砂が吐けた事でしょう(笑)

 冗談はともかく、いろいろありましたが、何とか大団円を迎えられ、GMとしては言う事ナシです! 確かに満足なのですが、続編ができればやてみたいなぁ、なんて思ってしまうあたりが未練がましいというか何と言うか(苦笑) でも、続編やるとしたら、美架はやはりルシフェルとして覚醒し、冬弥たちと戦うことになったのでしょうか? GMとしては実に面白い話になりそうだなぁ、と思うのですが、(美架の)プレイヤーとしての気持ちは、複雑です。ホントに、万が一、美架がルシフェルになってしまった時は、責任持って命がけで元に戻してあげて下さいね、橘冬弥くん(笑)

 しかし、美架にもいろいろと背負わせてしまいましたね、私は。最初はただの使徒だったのに、いつしかミカエルの娘(しかも人間とのハーフ)になり、サンダルフォンの力の継承者となり、ついには大魔王にして大天使ルシフェルの転生体にまでなってしまいました。でも、本当はここまでいろいろ設定をつけるつもりはなかったんですよ? 最後のルシフェルの転生体なんて、アドリブなんですから(爆) ベルゼブルが理屈こねてましたが、これは本当に偶然です。こんな事思いついたのは、きっと天使戦争編をしていた時期に、『孔雀王』を読んでたからに違いありません(笑)

 一方、美架のライバル(笑)、ベル=フライ(ベール=ゼファー)もいろいろと大変な事になってましたね。実は元天使だったとか、存在の本質そのものを殺されたはずなのに、なぜか蘇って(?)たり…… もっともキリスト教(聖書)において、悪魔や魔王が元々は天使だったという話はたくさんあるようです。堕天使=悪魔(魔王)といっても過言ではないのです(私も最近まで知りませんでしたが) 最初は、真の悪役としてベルには消えてもらう予定だったのですが、冬弥のベルに対する想いや、アドリブで出した(またかい)実は元天使だったという設定の影響を受けて、ベル自身もまた、巨大な悪の犠牲者となっていったのです。そして黒幕は魔王の一柱という、実に天使戦争編の最後にふさわしいものになったのでした。

 ベルの設定についてはややこしくなったので、一から解説していきたいと思います。まず最初は、天使ベルシエル。一応、聖書にも名が出てくる天使です(ベルキエルと読むのが正しいようですが、語感の良さから、ここではベルシエルとしました) これは単純にベルに繋がる名前を持っている天使だったので、採用しました。実際に魔王を倒しに行くというような伝承とは関係ありません。ある勇者(冬弥の前世にあらず)を導き、魔王ベルゼブルを滅ぼそうとしましたが、返り討ちにあい、勇者は死亡。彼女自身はベルゼブルに取り込まれ、以降ベルゼブルは、ベル=フライ(ベール=ゼファー)となった……というのが、天使戦争編での裏設定です。故に、ベルゼブルの本質を殺したとき、ベルシエルが出てきたわけです。

 では、その本質を殺されたはずなのに、なぜベル=フライ、そしてベルシエルは生きていたのか? 当初考えていたのは、PCからの何かしらの助け(実際には、恋がプラーナ譲渡を行った)によって、ベルシエルという名の人間に転生するというものだけでした。しかし、冬弥の落ち込みぶりを見て、ついベル=フライの幻影らしきものを登場させてしまいました。セッション終了後、冬弥のプレイヤーさんに、あれはただの白昼夢にしか過ぎないのかと聞かれ、私は想像にお任せしますと言い、解答するのを避けました。あえて真相を話さず、読み手の想像にそれを委ねるという手法は、小説等でもよく使われますね。多用すると、わけのわからない話になることもありますが(笑) ですが、ここであえて私の考えた、ベル=フライ蘇生の真相をお話しておきます。

 あの時、ベルゼブルの本質は破壊されましたが、それは死んだというよりは、数多くの魂の断片に還元されたのです。大半は大地へと還りましたが、残ったものもありました。そのほんの一欠片が、ベル=フライであり、ベルシエルだったのです。その欠片の一つは、恋のプラーナによって、人間に転生しました。そして、もう一つの欠片は自力で蘇りました―――≪小さな奇跡≫を使用して!! もっとも、ほんの欠片ほどの力でしかなかったので、完全な復活はできず、せいぜい冬弥のもとに幻影として現われる程度の力しか残りませんでした。まぁ、年月が経てばかつての力を取り戻すかもしれません(それこそ、気の遠くなるような年月がかかるでしょうが) 要は十七分割された後の某アルクェイドのようなものですね(笑)

 このセッションはおおむね成功だと思っていますが、ただ一つだけ心残りがあります。それは美架と美晴の、感動の親子対面が表舞台できなかったことです。とはいえ、これは私のプレイヤーとしての我が侭でしかありません。少なくとも、参加PCたちにとっては、関係のない本筋から離れた話であるはずです。そう判断し、そのシーンは割愛しました。まぁ、冬弥のエンディングシーンで、親子で仲良く登場できただけで良しとしてます。

 最後に恒例となった、大天使プロフィール紹介で幕を閉じたいと思います。最後を飾ってくれるのは、クールな魅力たっぷりなアズラエル様と、結局、一度も登場する事のなかった(笑)ウリエル様です。

 それでは、最後まで天使戦争編にお付き合いいただき、ありがとうございました! また、ナイトウィザードのどこかで会いましょう!!

※“冥の大天使”アズラエル

 七大天使の一人だが、他の七大天使のように自らが率いる部隊を持たず、単独で行動する大天使。その役割は、堕天使の処罰であり、天使たちの内部監察である。その権限は時として、天使長メタトロンをも凌駕する場合がある(それゆえに、メタトロンから疎んじられ、先手を打たれ、人工聖霊を憑依させられてしまう)その役割ゆえに、<死天使>の二つ名で呼ばれ、恐れられている。
 その役割や、滅多に感情を見せないがゆえに、多くの天使たちに敬われつつも、恐れられているが、彼女の事をよく知る七大天使たちは、それが任務を全うするためのものであると理解し、彼女を受け入れている。

※“地の大天使”ウリエル

 七大天使の一人であり、四大元素の一つ“地”を司る大天使。天界の防衛隊である智天使部隊の責任者であり、つねに天界の防衛任務に就いている(そのため、滅多に下界には降りない) 性格は非常に生真面目で、頑固である。それゆえにとっつきにくさも感じるが、その反面多くの天使たちの信頼を受けているのもまた事実である。
 秩序や法にはとことん従い、守らせようとするタイプだが、それはあくまで彼自身の厳格さによるもので、メタトロンのように歪んだ解釈はしない。
 天使の中でも、格闘技を修める(龍使い)変わり者だが、その戦闘力はラファエルに匹敵すると言われる。


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