GMのこぼれ話:力無き想い、想い無き力編


 ………はぁ。 私の汚点、マッドマンSEED第四話リプレイ、いっちょあがり〜……

 いきなりテンション低くて、申し訳ありません。でも、いろいろとヘコみたくなるセッションだったんですよ。本来は、プレイヤーさん達をヘコますのが目的のシナリオだったのになぁ……

 元凶はあのヒルダ=ディザスターって小娘なんですがね。確かにその名に相応しい(disaster:天災、災難)NPCでしたよ。なんでこんなNPC出そうとしたのか、その理由は色々あります。

 一つは、一般人(イノセント)とウィザードのマッドマンの認識の差を表すため。ウィザードであるPCたちは、程度の差はあれ、マッドマンが何者であるかを理解してます。だから、ギラとトリニティ製マッドマンの違いも明確に理解できます。しかし、何も知らないイノセントの場合はどうなるでしょう? 上辺では理解したつもりでも、根底から彼らの違いを理解するのは難しいのではないでしょうか? セスは明確に区別してたじゃないかと言う人もいるでしょうが、彼女にはそれを理解するだけの下地と時間がありましたから(ってのは、ただの詭弁でしょうか?) 少なくともヒルダの場合、父親を殺され、錯乱状態に陥ったため、あのような言動に出たものと考えてください。

 二つ目の理由は非常に下らないモノです。ヒルダの元になったキャラが同じ事をしたから、です(爆) そもそも、ヒルダのようなキャラを出そうとしたキッカケは、彼女の元キャラ(フレイ=アルスター)のその支離滅裂な言動を見て、私自身、腹が立ったからです。

 ここでガンダムSEEDを知らない人のために、少々その時の状況について話したいと思います。ガンダムSEEDの世界では、ナチュラル(普通の人間)とコーディネイター(遺伝子操作された人間)が争っています。主人公はコーディネイターなのですが、ナチュラルの人々と共に生活してきたため、普通のコーディネイターのような差別感情がありません。彼は戦争に巻き込まれたナチュラルの友人たちを守るために、ストライクガンダムに乗り、同族であるコーディネイターたちと敵対します。彼の守りたい友人の中に、件のフレイ=アルスターもいます(しかも、主人公は彼女にほのかな恋愛感情を抱いています) しかし、彼女は遺伝子操作された人間を気持ち悪いと思う人間なので、時々言動が差別的になります。そしてある時、彼女の父親の乗った戦艦が、コーディネイターたちによって撃ち落されました。その時、主人公も戦っていましたが、力及ばず、戦艦は落とされたのです。フレイはその時、主人公にアンタもコーディネイターだから、アイツらと本気で戦ってないんでしょうと、とんでもない暴言を吐きます。もちろん、そんなのは彼女の思い込みに過ぎません。ですが彼女はそれ以降、主人公を逆恨みし、主人公をひたすらにコーディネイターたちと戦わせて、最後には死んでもらうと思い、様々な事を企みます。

 いやもう、逆恨みもここまで来ればある意味立派だわ、と思いませんか? その時感じた憤りを、私はこのシナリオにぶつけました。それによって、話が展開していくのを期待したのですが……やはり、誤った方向に向けられた負の感情は、滅びにつながるということなのでしょうか。葉月と冬華の意見が真っ向から対立して、あそこまで泥沼化するとは思いませんでした。GMが止めろよ、とも言われました。でもGM権限でやめろ、は不自然です。かといって、ヒルダに何を言わせればいいのか(それ以前に、まともな事が言える精神状態ではないのですが…) 少なくとも、私がヒルダは二人を仲裁できないと思い込んでいたのが最大の失敗です。なぜなら、参加者全てがガンダムSEEDを知っていたわけではないのですから。ああすればこうするだろうと、決めつけてしまっていた私の失敗でした。

 何にしろ、もう二度とパロディネタをやりたくないと思いました。


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