GMのこぼれ話:チノ=バレンタインの悲劇編


 う〜む………このお話、どこらへんが悲劇だったのだろうか(爆)

 とまぁ、いきなりアホな事言ってますが、当初は本当に悲劇にするつもりだったんですよ。 PCたちはトリニティ研究所に忍び込んだが、実はそれはクルーザーの仕組んだ罠だった、という筋書きで。 当然、チノ=バレンタイン博士はPCたちをおびき出すためのオトリ。 裏切者をPCともども葬ろうとするクルーザーの卑劣な作戦だったんですね。 そして、その最中、ついにPCたちとギラは力尽き…………という展開を期待し、PCたちに許すまじトリニティ! 許すまじクルーザー!! という気持ちを植え付けようと思ってました。

 ですが、改めてTRPGとはGMとPCで協力して物語を作っていくゲームだなぁ、と感じました。プレイヤーの意志決定だけでなく、ダイス目や敵の強さ等、様々な要素が絡み合って、今回の話ができました。これはいわゆる、怪我の功名ってやつですか?(笑)

 怪我の功名を生み出した一つ目の要素は、(私のとって)初のフォートレス攻略シナリオであった事。実を言うと、シナリオの最初と最後はできていたんですが、その中間である展開部分が全く思いつきませんでした。その結果、苦肉の策として研究所のフォートレスを作成しました。ところが、思いの他フォートレスの管理は楽でした。予め、細かい数値(トラップのデータ等)を決めてあるため、頭の回転のほとんどをシナリオの進行に向けられたのが良かったのでしょう。プレイヤーさんたちにも楽しんでいただけたようで何よりでした。

 怪我の功名・二つ目の要素は、PCたちのGMの予想を超えた行動でしょう。ささいなレベルの事では、メデューサのトラップの所で、葉月が思わず一歩踏みこんでしまった事(笑)から、より大きなレベルの話では、俊一が≪リミットブレイク≫を使用して、アポートでの引き寄せを強引に成功させた事など、例を挙げれば結構あります。個人的には、三馬鹿トリオを殺さず、研究所から連れ出して命を助けてしまった事や、突貫させるつもりだったギラを強引に説得して、これまた彼の命を救った事が印象に残ってます。彼らはクルーザーの卑劣な策略の犠牲者になってもらうつもりだったのですが、PCたちはそんな運命すら乗り越えてしまったと言えるでしょう。

 もっとも、三体の新型マッドマンとの直接対決ができなかったのは、少し残念でした。時間的にかなり押していたので、仕方なかったのですが。しかし、これ以降彼らが出てくる事は、残念ながらないです。参加者の時間的都合、セッションを終らせなければならないタイムリミットの切迫などの都合により、それは叶わぬ事となってしまったのは残念です……

 さて、最後にこのシナリオのタイトルについて一言。チノ=バレンタインの悲劇とは、元々は『血のヴァレンタインの悲劇』というのが正しいです。 この言葉は、元ネタのガンダムSEEDの世界において、ナチュラルとコーディネイターが戦争を始めるきっかけとなった事件を指しています。しかし、私が初めてこの言葉を聞いた時、『チノ=バレンタインの悲劇』だとばかり思っていました(笑) だって、ガンダムSEEDの世界にバレンタイン・デーがあるなんて普通考えますか!? それよりは人名だと考えるほうが、まだ自然だと思うのですが。


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