GM的インタールード・殺戮の鎮魂歌編

 

 まずは一言。 相変らずリプレイ上げるの遅くてすみません(死)

 

 第三話にして、話がすでに佳境に入ってしまった気もします。 もう少しペース落としてもいいかと思う反面、いつプレイヤーが揃ってできるかわからないのでこれでいいのかなぁ、という思考の板ばさみ状態だったりしますが。 それはともかく、今回はいろいろと革新的なことを私としてはいくつかやって、達成できたと思ってます。

 一つは、有名NPC(ルールブックに載ってるパーソナリティーズというやつ)の登場。 ほんの少しだけでしたが、リザベート様やクラフト君、そしてティナ=グレースが出せてちょっと幸せでした(笑) とはいえ、他の有名NPCが今後出てくるのかと問われれば、まず出てくる機会はないと答えます。 なぜなら、PCたちと<新世界>(ノイエ・ヴィルト)の戦いは、あくまで歴史の影の部分の戦いにするつもりだからです。 ですが、裏からPCたちを支えてくれる人(例えばリザベートやコンラッド)もいますから、ご心配なく。

 二つ目は一つ目と少し被りますが、有名都市を舞台にできた事。 自由都市ケルバーが出てきたことで、PCたちの緊張感をいつにも増して煽れたようでした。 GMとしては、今回の宗教戦争の舞台として新派・旧派双方の教会が存在するケルバーは、格好の標的なだけだったのですが(笑) しかし、そろそろ話を大きくしようと考えていたところだったので、ちょうど良い機会だったと思います。

 三つ目が二人組で協力し合う殺戮者の登場。 私は殺戮者の設定上、彼らが共闘する事はまずないと思っています。 なぜなら、殺戮者とは聖痕の力の側面しか見出せず、力に溺れた者たちだからです。 彼らは聖痕を奪うために聖痕者を狩ります。 しかし、聖痕者以上に効率良く聖痕を狩れる相手はいないでしょうか? そう、それが殺戮者―――――要は同類なわけです。 一時的な協力はするかもしれませんが、最終的には敵対し、聖痕を狩リ合うのがオチでしょう。 ではどういう状況で彼らは協力し合えるか? 私の考えた答えの一つは、強力な支配者による他の殺戮者の支配または従属。 これは<新世界>(ノイエ・ヴィルト)のオメガです。 もう一つの答えが、エルスの如く、強力な絆で結ばれた者同士の殺戮者。 これが、今回の殺戮者”エヴァンジェル”なのです。

 ”エヴァンジェル”ことザーニャとルーニャは、共に真教教会の命によって作られた、背教者を始末するための暗殺型クレアータです。 もちろん、こんなことをする教会がまっとうな所なわけがありません。 でも、そこしか世界を知らなかった二人にとっては、その教会の命令はまさに神の教えにも等しいものでした。 二人は命令されるがままに、背教者という名の、教会にとって不都合な敵を次々と葬っていきました。 しかし、彼女たちはやがて真実を知る事になります。 教会での教えが偽りであった事に――――――真実を知った二人は暴走し、生まれ育った教会を破壊し、そこにいた人々を全員虐殺しました。

 絶対の真実と教え込まれた神の教えが、何の意味もないと思った彼女たちには絶望しかなく、殺戮者にたやすく堕ちました。 そこに現れたのがオメガたちでした。 彼らはいかに人間が愚かで矛盾に満ちた生物であるかを説き、二人を説得(というよりは洗脳?)しました。 これこそ真実の教えと悟った(ような気になった)彼女たちは、オメガこそこの世の救世主と信じ、ついて行くことになりました。 <新世界>の同志、”エヴァンジェル”として………

 こういう彼女たちの背景を利用し、”ドクトル”が今回の騒動を計画し、引き起こしたと言う訳です。 ザーニャの言動が、ティナとリサに特に敵対的だったのもこういう理由があったからです。

 

 実はこの『殺戮の鎮魂歌』というシナリオは、私が3年前(注:2003年現在)にサークルの仲間を集めて行なった、同名の単発シナリオが元になっています。 この時に出てきた殺戮者はルーニャの原型となりました(デスサイズの魔器使いですが、クレアータではありませんでした) この時の鎮魂歌は、単なる殺人予告の演出に使っただけで、それほど必然性はありませんでした。 今回は鎮魂歌が殺人予告であると同時に、殺害方法とすることで、より必然性を高めたつもりでしたが、どうだったでしょうか?

 ブレカナが2nd Editionになった時、≪破壊の声≫がクレアータの特技に加わり、これは使えそうだと思いました。 この時に、ザーニャのプロトタイプが私の脳内で誕生したのです。 しかし、≪破壊の声≫で鎮魂歌を歌うのはいいのですが、それではマーテルが入ってしまい、戦闘系のクレアータにするには力不足でした。 そこでプロトタイプの『殺戮の鎮魂歌』を思い出し、ルーニャを加えて二人で戦う殺戮者ができたのでした。 そこからあの宗教戦争にまで話が広がったのですから、我ながらすごいと思いますよ(笑)

 

 最後にもう一つだけ。 今回の殺戮者のコードネーム”エヴァンジェル”は、ご存知の方も多いでしょうが、英語で『福音』という意味の単語です。 キリスト教に馴染みの薄い私たち日本人にはピンと来ない言葉ですが、神の与える救いまたは恵みという意味のようです。 今回に限って、なぜドイツ語でなくて英語なのか?、という疑問を持った方もいるでしょう。 答えは至って単純です。 ドイツ語の『福音』はあまりいい響きじゃなかったからです(笑) それと、エヴァンジェル(Evangel)という単語には偶然かどうかは知りませんが、Angel(天使)のつづりが含まれてます。 彼女たちの≪装甲外皮≫発動後の姿が天使めいていたのは、その辺りも意識していたからでもあります。