The Fifth Days
2000.2.23

おぉナポレオンよ!あなたの時代に戦場の危険をおかして立身することは、
なんと愉快なことであったでしょう!しかるに・・・
                                                                           −スタンダール 

   

  やはりテントはあったかかった。朝起きて昨日自炊して残った肉野菜炒めとご飯でチャーハンを作ろうかと思うが火器が寒さのため思うような火力を出せない。K氏は風邪がぶり返したようだ。やはり厳冬期に自転車をやるとパワーを使う。そして最後の出発、今日はもう現実生活に向かって帰るだけである。

  走ってすぐ、途中129号でK氏と別れ、さらに走った後休憩を取り、I氏と「これからどうなるんだろうか?」と最後の現実逃避をする。I氏ともすぐに別れ私は横浜から今回は国道1号をずっと追っていくことにした。いままではいつも第一京浜ばかりをつかっていたので、ややモラトリアムが延長されたことになる。

  横浜駅の東口で一本取り、そのままイチコクを走ると普段では出せないような速度で自転車が進んだ。速い時速を出せば出すほど速く現実世界に戻ることになるというのに!五反田で一本取り、さらに国道一号の看板を注視し、東京タワーを見ながら走っていく。そして箱根駅伝のゴール付近、大手町を通り、ついに日本橋についた。いつも通る時には気がつかなかったものの、しっかり“道路元標”記念碑がある、日本の主要国道はここから始まっているのだ。人込みの中いちおう記念に写真をとったもののまた不思議な感覚である。しかしこれで北は札幌から南は鹿児島まで主要国道を結んだことになる。自宅に向かった。

  途中箱根で老人に「ほぉ、若いねぇ。若くなくちゃできないよ」と声をかけられた。これは日本を旅行している際よく言われる言葉であり、たいていそのように声をかけてくださる方は昔なにかしらこんなかんじの旅をしていた人か、今現在なにかしら体を動かすことをやっている、もしくは大旅行を企んでいる人であった。自分も将来自転車で旅している青年に「どっからきたんだぃ?若いねぇ。昔私も君のように・・」と声をかける日がくるのだろうか?

−完?−