The Fourth Days
2000.2.22

 

  朝それでも6時に起きた。。寒い!。とりあえずできるだけ早めに箱根を攻めたいということもあり、とりあえず自炊をする。まわりでウォーキングをやってるおばさんやらレディオ体操をしているおじさんらの姿もある。するとK氏が「そりゃ寒いはずだよ!マイナス6.5度だもの!」という絶叫に似た悲鳴を上げる。私の温度計を見てもマイナス5.5度を示している。よく見ると当然地面に霜が降りているものの、自転車のサドル、自転車用のかばん、ザック、ウォークマンのリモコン、寝袋まで寒さで真っ白になっている。なかなか人間はどうにかなるもんだ、と人間の可能性に感心する。空気が澄み富士山が華麗に見え、箱根山の頂から朝日が昇る。うーん、原始的に感動。

朝日。

  私たちは体育会系自転車部ではないので必ず3人揃って走らなくてはいけないというルールがない。ので、たいていK氏が先頭を走り、その3分後を私が走り、その2分後をI氏が走るという絵になる。この日はかなり差がつくであろうということで箱根のほぼ頂上“道の駅箱根”で待ち合わせることを決め8時半頃出発した。途中の雑貨屋でポカリを買うと店のおじさんが「自転車でなんて無理無理、きついよぉっ、はいっ、これ140万円になりますっ」と小粋に脅される。

  三島からはずーっと登りだった。しかも予想とは裏腹にゆるやかな登りがただひたすら続いている。これは、これはかなり気持ちよかった。それなり筋肉がアップダウンの246で作られていたとはいえ、大脳を刺激するような坂でかなりハイになっていた。登れば登るほど明峰富士がより鮮明に、よりリアルに見える。三島の町並みが見える。しかも車が少ない。自分の呼吸している息しか聞こえない。途中同じような自転車旅行君に会い、中腹で一本入れる。頂上のほうで工事中が続いていたのが残念だったが、11時くらいに激烈な満足感を手にして“道の駅箱根”に到着する。友人2人とも「それほどの坂でもなかったなぁ」という感想。アイスを食ったらすげーうまかった。

峠の途中に犬がいた。

  「じゃぁ、イチコクの最高地点で」ということでまた3人は出発した。道の駅からいったん下り芦ノ湖まで降りてから再度の登り、これが結構斜度があり、つらかった。登るとそこが“国道一号最高地点”だった。今まで私は日本全国の主要幹線国道を走ってきていたものの、小田原から三島という国道一号の箱根部分が抜けていた。そして今回最高地点、うれしかった、べつに記録を作るのが目標の人(ピイクハンター)ではないんだけど。記念の写真をお互い撮ってから「箱根湯元の駅で」ということで再度出発した。たしかに、自転車旅行人間(通称チャリダー)に中間層(普通のやつ)がいないということは確実だけど、うちらは中間層というよりもタバコとサケがすきな単なるいいかげんな自転車人間なだけなんだろうなぁ、ということが今回分かった。

満足げ。

  湯元までは当たり前の話、ひたすらくだりだった。海抜30メートルから874メートルまで登っただけはあってかなりくだりがいがあった。というよりも崖のような坂である。よくも駅伝でこんなとこ人間が登れるなぁという感じだった。確かに私の家のリッターカーでも登らなかったんだから斜度はかなりのもんだろうけど、、最高時速57.9kmを出してあっという間に小田急箱根湯本駅に到着。昼飯をコンビニで買って食った後、駅のすぐ近くの“かっぱ天国”という露天風呂(700円)に入る。なんかいんちきくさいなぁ、とおもったら、いんちきくさいおばさんがフロントにいて、いんちきくさいシャワーからはお湯がほとんどでなかった。でもすげぇきもちよかった!確かにお肌がトゥルトゥルしたので温泉でしょう。かなりの贅沢、温泉の後のコーヒーがこれまたうまい。

  ゆっくりした後この日は小田原、国府津、そして大礒まで走った。そして小田原から三島、名古屋、大阪と続く自分のなかのイチコクがつながった。「まぁ海岸で寝れるでしょう」ということでコンビニで自炊材料を買い込み、“海水浴場発祥の地”の近くでおそらく学生生活最後の野宿をした。そしてあまりにも風が寒いため、おそらく学生生活最後のテントを張った。“最後”ということがなんか不思議な感覚で自分を包む最後の夜だった。ややセンチ。