エピローグ

 今、狩野の山々は幾千年もの間何事もなく平穏であったかのように静かに秋の色に染まってたたずんでいる。
 柿木川に沿った道を下って行くと途中に神社があった。神社には人々の祈りが代々込められ凝集している。その前に立っても私には何も聞こえてはこないが、しんと鎮まりかえった沈黙のかすかな冷気が人の世の業の深さを嘆く神のため息の様に私には感じられた。

この作品には、過去に実在した人物や団体等が登場しますが、物語は筆者の設けた虚構により構成されており、すべてが史実という訳ではありません。

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