70万歩の旅~巡礼の路を歩くⅠ-② 2014・08・07~09・01
Paris(パリ)----Olreans(オルレアン)===(SNCF:鉄道)===Bourges(ブールジュ)----Issoudun(イスーダン)--
--Gargilesse(ガルギレス)----La Souterraine(ラ・ソテレーヌ)----St.Leonard de Nobelt(サン・レオナルド・ド・ノベルト)
歩行距離:472.4km 歩数:706,517歩 (万歩計) 歩行実質日数24日 1日平均:19.68km
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『「巡礼」は、フランス語では「ペルリナージュ」と呼ぶ。何らかの聖なる性格をまとわしめられた土地に向かい、
心には尊崇、献身、信仰の思いをしっかとこめて、幾山河をも越えて旅することをいとわぬ情熱がそれである。
フランス文化を愛して、これを極みまで学び究めようとねがうならば、ついには、このような性格の旅へと最後は
収斂していくはずのものではないだろうか。』 =「フランス巡礼の旅」田辺 保著 朝日選書=
私がこれを読み、また、知人が「巡礼の路」を歩いたと聞いて俄然行きたくなってしまった。ただ、私はカソリック
教徒でもなければ、フランス文化に関心はあっても、これを究めようとしているわけでもない。これまでフランスや
スペインの各地を巡る中で、「巡礼の路」に強い関心を持ち、また、歩くなら「今でしょう」ということで歩き始めた
のである。
ただ、これまで時々ハイキングなど里山歩き程度のことはしていたが、毎日20km近く、10kgのリュックを背負
って歩くということはなかった。しかも、真夏。出掛ける前には自宅から新城や三ヶ日まで歩いて、自分の体力を
測って見てみたが、これも毎日やったわけではない。やはり不安はあった。しかし、結果的には杞憂だった。行っ
てみなければ分からないものだ。フランスは夏と言っても、朝晩は涼しい位。昼間も25度止まり。空気はカラッと
していて気持ちが良い。快調に歩くことができた。(^^)/
それでは、続きをご紹介しましょう。
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8月11日(月)晴れ:Etampes(エタンプ)------Angerville(アンジェヴィユ):26.49km 43,345歩
それにしても2泊したエタンプ駅前のホテルはひどかった。(>_<) 床は斜めになっているし、タヲルは替えてくれない。
ごみ箱はないし、究極は、風呂の栓がなかった。これにはさすがの私もクレームを付けたが、ホテルの主人は「それが
どうした?」というような顔。常連客風の人が気の毒がり、栓を探してきてくれた。
パリからエタンプまでは主に国道の歩道(兼自転車道)を歩いてきた。フランスの広い丘陵地、10kmも真っ直ぐな道。
それはそれで面白かったが、やはり車がびゅんびゅん行き交う脇を歩くのは気持ちの上では決して快適ではない。エタン
プからはアスファルトの道ではあるが、車がびゅんびゅんという分けではない。景色も楽しみながら歩こう!
エタンプのホテルを午前8時に出て、 途中サクラという小さな村で簡単な昼食。 (持参したサンドイッチとリンゴ) 1時過ぎにMerville(メルヴィユ)に着いた。 ここは巡礼路の古い町である。 共同洗濯場やフランス一大きな木造の 建物が残っている。それは 現在市場として利用されている。 ****** 教会の牧師さんが私を呼び止めてくれて、 クレデンシャル(巡礼手帳)に スタンプを押してくれた。 |
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途中のんびり釣り糸を垂れている人がいた | 緑が本当にきれい! | |
共同洗濯場 |
現在は市場として利用されている |
牧師さんがスタンプを押してくれた |
【クレデンシャル】(下)
左上のスタンプが出発地のパリ、ノートルダム
のもの。行く先々で押してもらう。スタンプラリーだ。
午後4時半、アンジェヴィユに着いた。さあ、ホテル探しということで、町に1軒しかない
ホテルを訪ねて行くと、『あれ~!』 ここでも閉まっている。(>_<) ヴァカンスらしい。ア
ルパジョンでもそうだった。どうしようか!若いお兄ちゃんに『この近くに観光案内所はあ
りますか?』と聞くと、市役所に連れて行ってくれた。
"Bonjour!"(ボンジュール)マダムが迎えてくれた。『今日泊まるところが無くて困ってい
る。』というと『本当に狭いがそれでも良いか』と。この際、屋根さえあればどこでも良いと
思っていたので、"ウイ!"
果たして、この日はベッドと洗面所だけの狭い部屋に泊まった。ただ、綺麗に掃除がし
てあったし、前日のエタンプのホテル(60€)のことを考えると最高に居心地がよかった。
簡単に夕食を済ませ、まだ明るい内の8時に寝てしまった。因みに、宿泊料金は只。あま
りに申し訳ないので20€置いてきた。
この時は『これが巡礼の簡易宿(ジット)』ということを知らなかったのだが、後々、市や
村が管理しているジットに何度もお世話になった。
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8月12日(火)晴れ午後一時雨
:Angerville(アンジェヴィユ)---Toury(トウーリ)
==(SNCF)==Olreans(オレレアン) 23.5km 36,106歩
田舎道を歩くのは快適である。広々とした畑を見ながら、遠く4~5km先の村を目指
して歩く。この地方は発電用の風車もたくさんある。畑では、夏休みなのでか子供たち
がトラクターに乗せてもらってジャガイモの収穫を手伝っていた。
予定では、Janville(ジャンヴィユ)という町で泊まるつもりでいたが、ここもホテルがヴァカンスで閉まっていて、
結局、オルレアンまで電車で出て、翌日以降は、また、電車で戻ってきて歩くことにした。毎日泊まるところに苦
労して歩くのは止めにした。
【30分も歩けばジャンヴィユの町に着く】 【ジャガイモの収穫】 【風車が沢山ある】
8月13日(水)午前雨午後曇り
:Olreans(オルレアン)==(SNCF)==Toury(トウーリ)---Artenay(アルテネイ)==(SNCF)==Olreans: 20.7km 23,758歩
【街道を行く人を見守っている】 【平和な村のひと時:一休みした】
8月14日(木)晴れ:Olreans==(SNCF)==Artenay(アルテネイ)---Olreans(オルレアン): 30.91km 45,382歩
【街道から奥まったところに宮殿があった】
8月15日(金) 曇り時々晴れ
:Olreans==(SNCF)==La Fete St.Aubin(ラ・フェット・サン・トーバン)--Olreans: 24.6km 36,862歩
【オルレアン大聖堂・内陣】 【ご褒美?に鴨ステーキを食べる=美味かった(^_-)-☆】
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この日重大決断をする。前日パリからオルレアンまで(168.82km)を13日間で完歩し、さて、第2ラウンド、
オルレアンからブールジュまでを一週間掛けて歩く計画を立てていた。ところが、その第一日目、オルレアン、
ラ・フェット・サン・トーバン間を歩いてみて、『これは歩けない。』『何のために歩いているのだろう。』という思い
が頭に浮かんだ。オルレアンからブールジュまでは所謂「巡礼路」ではなく、普通の国道なのだ。しかも、側道
(歩道、自転車道)がない。車がひっきりなしにびゅんびゅん通る国道を歩くのだ。車を避けながらと言っても
猛スピードの車、ゆっくり歩けたものではない。身の危険さえ感じる。『自分は何をしているのだろうか?』
今回の目的は『巡礼路を楽しんで歩く』ことなのだ。そこで、急遽コースを変更することにした。オルレアンから
ブールジュまではSNCF(鉄道)で行き、ブールジュから再び歩く。そこからは「ヴェズレイからの道」と言って、
「巡礼路」のメインルートなのだ。そして、余裕のできた日数は予定より先まで行くことにした。この決断は正解
だった。その後、本当に楽しい、素晴らしい旅ができた。
つづく