巡礼の道(その2)
  フランスではどこの街にも教会がある。それは、Cathedorale(大聖堂)であったりChapelle(礼拝堂)で
あったりするが、いずれにしても、宗教が人々の心の支えとして深く根付いているようだ。この点が日本と
フランスの違いの一つと言えよう。
 私は、フランス各地の大聖堂や礼拝堂を訪ねている内に、ある時、それぞれの教会が、点としてではなく
線として見えてきた。そして、それが遠く1500キロ先のスペイン北西部のサン・チャゴ・デ・コンポステーラ
へと続く、中世ヨーロッパの巡礼の道であることを知った時、少なからぬ興奮を覚えた。
  
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  LE PUY-EN-VELAY(ル・ピュイ・アン・ヴァレー)からの出発(ル・ピュイの道)


【雨があがり、雲の間から大聖堂とマリア像が見えた。丘の上から町を臨む。ル・ピュイは巡礼の出発地である】
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 ル・ピュイへは、朝早くリヨンを出発し、サン・テテイエンヌで普通電車に乗り換え、雪の積もる渓谷をゆっくり眺めながら入った。
以前、写真で私の脳裏に強烈に焼き付けられた光景が目の前に広がる。盆地のあちこちの尖った岩山に、中世の教会やマリア
像が見える。巡礼たちは、この景色に見送られて、遠くスペインの果てサン・チャゴ・デ・コンポステーラへと出発した。

高さ85mの溶岩の上にそびえるサン・ミシュル・デギュイーユ教会(10〜12世紀) ノートルダム・ド・フランス像:巨大なフランスの聖母(1860年)

【ル・ピュイを訪ねた様子は、下のタイトルをクリックすると詳しく見られます】
   ***【冬のオーヴェルニュ】***



ピレネーを越える道は2つある。一つは、シーズ峠、もう一つはソンポール峠である。
私は、スペインのハーカからカンフランまでは行きずりの若者に車で送ってもらい、そこからバスでソンポール峠を越え
オロロン・ド・サン・マリーに出た。【サン・ジルの道】と呼ばれる巡礼の道である。

  ソンポール峠(国境) 1632m


【今はバスで越えることができる】

  JACA(ハーカ):スペイン

ハーカ大聖堂:ロマネスク、ゴシックの入り混ざっている教会
霧の中に浮かぶ
巡礼がさすって凹んでしまった柱。歴史の重みを感じる

ピレネーを越えて
初めての巡礼たちの安らぎの地は
スペイン・ハーカの大聖堂である
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サンチャゴ・デ・コンポステーラまでの
長い道のりを考えればまだ半分
しかし、スペインに入ったことで
彼らは、聖ヤコブ(サン・チャゴ)の懐に
入ったと確実に感じたであろう。
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そして、また西に向かう夜空の天の川に導かれ
ホタテ貝(サンチャゴ)の殻を腰に付け、
からからと音をたてながら黙々と聖地を目指す。


           
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