巡礼の道(その4ー1)
フランスではどこの街にも教会がある。それは、Cathedorale(大聖堂)であったり、Chapelle(礼拝堂)で
あったりするが、いずれにしても、宗教が人々の心の支えとして深く根付いているようだ。この点が日本と
フランスの違いの一つと言えよう。
私は、フランス各地の大聖堂や礼拝堂を訪ねている内に、ある時、それぞれの教会が、点としてではなく
線として見えてきた。そして、それが遠く1500キロ先のスペイン北西部のサン・チャゴ・デ・コンポステーラへ続く、
中世ヨーロッパの巡礼の道であることを知った時、少なからぬ興奮を覚えた。
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Vézelay(ヴェズレイ)
(1) パリ ==(SNCF)==) オーセール:アクシデント!
日曜日のパリ、午前7時はまだ人気もまばらだ。バスに乗ってリヨン駅に出る。まず、【フランス・サーバーパス】を
使えるようにするために切符売り場に行く。窓口は結構混んでいた。列車の出発までには時間は十分あるものの
それでも前の人がいつ終わるのか分からずにじっと待っているのはイヤなものである。後ろに並んでいる人のことは
全く気にせずに、ながながと時刻表なんかをめくりながら駅員と相談をしている。《切符を買う前に自分で考えて来い!》
と言いたくなる。日本では考えられない光景である。
それでも20分位待って私の番となった。
「このパスを今日から使える様にしてください」
「座席指定券は持っているのですか?」
「いえ。9時発のTGVに乗ってアヴァロンまで行きたいのですが」
「待ってくださいヨ・・・・・・・・満席ですね」
「次の列車はどうですか」
「・・・・・・・・満席ですね・・・・・午後3時頃なら取れますが」
「エッ、エッ! ちょっと待ってください。考えます」と言って、私は用を済ませることなく窓口を離れた。
《3時まで待つか。それとももう一度ホテルに戻り、出発を明日にするか》
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結局、その後案内所へ行ってアヴァロンの手前のオーセールまでの列車があるかどうかを尋ねた。すると、
「在来線ですが隣の駅から40分後に出ます。地下鉄に乗れば10分と掛かりませんからそうしたらどうですか」
と言われ、私たちは地下鉄でベルシー駅に向かった。
地下鉄10号線は、パリの中心サン・ラザール駅からリヨン駅を通り、セーヌ河畔にシラク大統領の肝いりで建てられた
とてつもなく大きな国立図書館を結ぶ線である。5~6年前に開通したばかりで、駅構内は明るくて気持ちがよい。
私たちは《ベルシー》で降りて、出札口を出た。重いバッゲージを持っていたので、10段ばかりしかない階段を
敬遠してエレベーターに乗った。ドアが閉まる。私が上に行くボタンを押す。??????あれ???反応がない。
もう一度ボタンを押す。やっぱり反応がない。エレベーターは留まったままである。????
「おかしい???」
ドアは閉まったまま。出るに出られず、缶詰状態。エエッエエッ!!
ドアから外が見える。
「アッ、人が階段を降りてくる。オーイ!」と手を振ってこちらを向かせようとしたが、聞こえないらしく行ってしまった。
「アッ、今度はマドモアゼルだ。オーイ、オーイ!」手を振ると、彼女はこちらを見たものの、手を振って行ってしまった。
「アレー、コリャだめだ。」
あげくの果ての最後の手段。非常ベルを鳴らした。応答なし。もう一度押す。応答なし。焦る、焦る。時間が過ぎる。
もう一度押す。すると、おばちゃん風の声でマダムが何やら「~~~***~~~~」フランス語????
とっさに、家内が叫ぶ。
"Help me. Help me. ヘ・ル・プ ミ~~!!”(*_*)
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長い時間が過ぎた。ただ、実際には5分位だったかもしれない。太った大きな男の人が、鍵束をブラブラさせながら
近づいてきた。《アー、助かった》と思った。
外側からドアをあけてくれた。
《メルシ メルシ》を連発して、私たちはベルシー駅へと急ぎ、列車出発10分前に着くことができた。(^_^)v
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(2) オーセール ==(BUS)==) 中世の雰囲気の漂うアヴァロンの街(ヴェズレイへの玄関口)
私たち夫婦は、在来線でオーセール行きの電車に乗った。暫くすると、車掌さんが検札に来たので《セーバーパス》を見せると
にっこりしながら、"Bon voyage!"(良い旅を!)と言ってくれた。(^_^)/~
「私たちは、アヴァロンまで行きたいのですが、この電車はありますか?」と言いながら、トーマス・クックの時刻表を見せると、
「電車はありません。バスです。」と言う。エッ!??????
よく聞いてみると、電車は最近廃線になって、今はバス路線に切り替わってしまったというのだ。フランス国鉄も赤字路線は廃止し、
バスに切り替えているらしい。私たちが10数年前に乗った路線だし、時刻表にはちゃんと載っているので、当然走っているものとば
かり考えていたのだ。ただ、バスは時刻表と同じ時刻で運行していたし、途中の駅へは幹線道路からいちいち駅舎のところまで
入り込んでお客さんの乗り降りをさせていた。つまり、交通手段としての電車をバスに切り替えたということだけであった。セーバー
パスも使えた。
そんなわけで、四苦八苦したが、昼過ぎにはヴェズレイへの玄関口、中世の雰囲気の漂うアヴァロンの街に着くことができた。
** 中世の面影を色濃く残した ←←←←←← アヴァロンの街 ** |
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