日大セミナーへお招きしました

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 2004年後期、当方の申請しました科学研究費補助金の一般(C)(2) の追加採択になりました。
 その使い方の一つとして、現在おこなわれている日本大学文理学部の渡辺敬一先生主催の
特異点・代数幾何学・可換環論の月曜セミナー(およびその発展系)に現在活躍中の若手の研究者を
お招きし相互の研究活性化を目指そうと考えました。

 そうして行われたのが、次の3つの集中セミナーです。それぞれ、非常に刺激的なセミナーでした。

私はなんとかその記録を、ひっそりとですが残しておきたいと、以下の記事を書かせていただきます。


以下、まだ工事中です。ひとまず、セミナーの御知らせの部分のみをのせます。



       NO.1

        講師:内藤 弘嗣 氏 (名古屋大学大学院、多元数理科学研究科、研究生)

    テーマ:Sylvester 型不変式環について

  場所;日本大学文理学部8号館1階 「レクチャー・ホール」

時間:
2004 年  17日(月) 11:00--12:30 頃 , 14:00 - 15:30 頃
              18日  (火)  未定

 (内容の宣伝)近年活発に研究されているヒルベルトの第14問題などに関する
  不変式環の有限生成性について、群不変による不変式環としては、向井先生の
  ご研究などにもあるいわゆる「永田型不変式環」が有名です。
  「Sylvester 型」はその 類似物にあたるものです。
  ここでは、このテーマの元、内藤さんが研究されてきた関連結果を、丁寧に
  お話してもらうつもりです。  お話の中心になることとして、

  「不変式環の幾何学化」、「有限生成性や生成」、「関連するモジュライ空間」

  などを挙げていたいています。(文責、泊)

  予定では、17日の2コマで、一応お話を完結していただき、明くる日は、
  補足や、自由討論など、興味を持っていただいた方々と、自由な形で
  セミナーをつくってゆきたいと存じます。



NO.2

講師:有馬研一郎氏 (北海道大、21世紀COE PD研究員)

日時:2005年1月31日(月)  12:00-13:30
講演題目:On index one covers of two-dimensional purely log terminal
				    singularities   in positive characteristic

(この講演は、日大特異点セミナーのプログラム中のものです。別に、
11:00-- 11:50, 泊 昌孝   (日大・文理),      Canonical covers of 2-dimensional rational singularities
14:30--16:00,  原 伸生  (東北大),  F-jumping coefficients and p-fractals in 2-dim regular local rings			
という講演もあります。(ただし、泊は前座です))

			      2月1日(火) 11:00-
								自由討論

  場所;日本大学文理学部8号館1階 「レクチャー・ホール」(両日とも)

お話についてアブストラクトをいただいています。そのまま引用させて
いただきます。

......

これまでの研究成果

代数多様体の特異点の注目すべき性質に、指数がある。これを小さくし、よりた
ちの良い特異点に還元することは重要な要素である。例えば2次元標数0で、商
特異点は、指数1被覆をとることで標準特異点と呼ばれるよりよい性質のものに
還元される。標数が小さい場合では、現在までに幾つかの反例が知られており、
直接機能しないことが解っている。
 どのような場合に指数1被覆が機能しないか、またその時にどう回避するか
は、現在の段階では未解明である。これまで解っている成果は以下の通りであ
る。Sを正規曲面、Δをその上の境界で、組(S,Δ)が対数的端末特異点を持
つとする。
 ・標数5以上の場合、Δが被約の場合、指数1被覆は標準特異点になる、すな
わち肯定的な、標数0と同様の結果である。
 ・標数2及び3の場合、実際に反例が構成されている。
 以上は川又雄二郎氏の結果である。
 ・標数3以上、Sが滑らかでΔが標準境界の場合、肯定的である。
 ・標数2の場合、Sが滑らかでも反例が存在する。反例となる標準境界Δは分
類されている。
 以上が筆者の結果である。当内容は
On index one covers of two-dimensional purely log terminal singularities
in positive characteristic, Ken-ichiro Arima
Mathematische Zeitshrift 247 (pp432-440), 2004 に掲載された。

最近の結果は標数2の反例に関するものである。反例とはすなわち標準特異点よ
り悪いということであるが、それらは全て、対数的標準特異点より悪いことが分
かった。(2004年9月の日本数学会秋期総合分科会で発表)

.......

  予定では、1日の1コマで、一応お話を完結されるとのことです。が、
私を始め、いろいろ質問もでると思います。明くる2月1日は、補足や、自由討論など、
興味を持っていただいた方々と、自由な形でセミナーをつくってゆきたいと存じます。


NO.4

講師:石田 弘隆氏 (東北大学大学院)

日時:2005年2月28日(月) 14:20--15:50
講演題目:スロープ4の超楕円曲線束の相対的オイラー標数について

(この講演は、日大特異点セミナーのプログラム中のものです。別に、
11:00-- 12:10, 大野真裕 氏 (電通大)   Fano bundles with long extremal ray
12:20--13:20,  藤澤敦子  氏 (四国学院大)A note on the topology of hypersurface simple K3 singularities
という講演もあります。)

			      3月1日(火) 11:00- 12:30   石田さん(つづき)
				          13:30-                 未定

  場所;日本大学文理学部8号館1階 「レクチャー・ホール」(両日とも)
     ただし、3/1 は 15:00 以降は 泊研究室(8号館 B-215)で行います。

一日目の28日は、通常のセミナートークをしていただきます。
私を始め、いろいろ質問もでると思います。明くる3月1日は、補足や、自由討論など、
興味を持っていただいた方々と、自由な形でセミナーをつくってゆきたいと存じます。
一応、3/1 の一こま目は、石田さんの月曜のお話の補足などを込めた時間とし ておきます。

お話のアブストラクトをいただいています。そのまま引用させていただきます。

......

\documentstyle[12pt]{jarticle}
\begin{document}

種数1, 不正則数1の極小一般型曲面 $S$ はアルバネーゼ写像
$\alpha$ により, 楕円曲線上の曲線束の構造が入る.
標準因子の自己交点数 $K_S^2$ が 2 または 3 のとき,
$\alpha$ のファイバーの種数 $g$ の値は $K_S^2$ 以下であることが
堀川, Catanese, Ciliberto 氏により示された.
しかし, $K_S^2=4$ のとき, $g$ の上限は分かっていない.
一方, 今野氏のスロープ不等式により, $\alpha$ が非超楕円
曲線束で, $\alpha$ の相対標準束が半安定的なとき, $g$ は6
以下であることが分かっている.

今回は, $\alpha$ が超楕円曲線束である場合を中心に, より
一般に, スロープ4の相対極小超楕円曲線束に対して, そのフ
ァイバーの種数の上限を与える.
また, ファイバーの種数が上限に一致するようなスロープ4の
相対極小超楕円曲線束が存在することも示す.


\end{document}

.......

(泊のコメント:宿題)石田さんとお話をさせていただくのは、これが3回目 になるのでしょうか?
最近では、広島大での研究集会で、$K_S^2=5, g_\alpha = 2$ (etc) の例の構 成を主に話された
際にお会いしました。そこでは、楕円曲線上の直既約ベクトル束を使った、う まい座標を
用いての特異点の分岐因子の記述法。生ずる特異点の不変量にからんだ曲面の 2重被覆としての
構成が見事でした。実際 extremal なクラスはモジュライが少ないようで、石 田さんがそこで
選ばれた特異点(漠然と考えると自由度は大きい)の意味など、今回のセミナ ーではそのとき
私にとっての宿題と思った問題を考えてみたいと思います。


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