トップページへ              箱舞台・第十三幕 ミニチュアワークの部屋

第一場

沖縄・琉球村 『旧島袋家住宅』

  
 2014年冬、沖縄県の豊見城市で行われた展覧会のために制作したご当地作品です。
 島袋家は琉球王府の貢納穀類の秤役を務めた旧家で、建設は明治期と言われ1982年、沖縄県北部の名護市羽地より「琉球村」に移されました。屋敷横には富裕農家特有のものだった高床倉も残されています。

 この場所を訪れ、最初に受けた印象は、内部の暗さと外部の明るさの対比でした。今までの作品では、日本の伝統的建築空間の持つ障子を通して入り込む淡い逆光と、その奥に潜む暗闇、つまり「光と闇」をテーマに制作していたのですが、沖縄の民家には「光と闇」ではなく「光と影」のコントラストがありました。もうひとつ強く感じられたのは、開け放された家内を通り抜ける「風」の存在でした。

 「光と影」、「家内を通り抜ける風」この2つの印象を、どう表現するかが、今回の製作上のテーマとなりました。
 
 今までは、主に建物を中心とした作品が多かったのですが、今回は沖縄の民家が持つ解放感と、自然に溶け込んだ風景を演出するためジオラマ(風景模型)的表現としました。また縮尺も従来の1/20からではなく1/30からとしています。

『旧島袋家住宅』

外構製作:島木 啓子 

縮尺 1/30〜1/37

86.1(W)p×32.5(H)p×66.5(D)p