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子供の科学風のラジオを作る−「らじおくん」をポケットラジオに

らじおくん

(株)イーケイジャパンより発売されている、「らじおくん」(TK-728)は、ICを2個使ったストレート式AMラジオです。部品がむき出しのバラック式ですが、組んでみるとなかなか性能もよく、きちんと使ってみたくなり、小型の基板を作って「子供の科学のラジオ風」に組み立ててみました。

回路

このキットは、模型店やDIY店などにも割と安定的に入荷している有名な製品です。LA1800とTA7368Pを使用したストレート方式で、ICの機能の一部を使ってAM専用としています。

説明書が親切で学習教材向きですが、なぜか回路図が記されていません。これでは、鳴らなかったときに回路図をたどってチェックすることができないような気もします。もしかしたら逆に、組みあがったラジオをもとに、どういう回路なのかをリバースしてみるという意図があるのでしょうか。

以下の作例で部品に付けている番号は、キットの部品番号と同じです。ただし、ロットによって内容や回路が変わることがあるかもしれません。

基板

厚手名刺ケースのサイズ(約60mm×97mm×35mm)に、ポケット形として詰め替えます。基板サイズは横55mm×縦45mmとしました。プリント基板製作キット(サンハヤトPK−5)を使い、1970年前後の「子供の科学」の記事と同様の方法で基板を製作しました(それしか方法を知らないんですよ…)。

基板(表)

ただ部品をつないだだけの配線ですが、自分なりに考えました。この図は部品面から見たところです。はじめにお断りしますが、この配線路には誤りがあり、この通り組むと正常動作しません。図中の2箇所の★印(バーアンテナの結線)が入れ替わっています。私は組み上がってスイッチを入れてからこの誤りに気付きました。

ICの足は込み合っているので、結線するところだけランドを作りましたが、本当はすべての足にランドを作ってきちんとハンダ付けすべきなのかもしれません。学校で勉強している方は、この作例は参考になりませんから、先生のお話をよく聞いて電子工作を楽しまれることをお勧めします。

青い二重丸は、基板をケースに止める2.2mmネジを通す穴で、外側の円がナットの直径です。これが部品に干渉すると、基板をケースに組み込めません。従って、作っても使えないということになります。

基板(裏)

こちらが配線面です。

基板の作り方は基板キットに書いてありますが、まず基板材を所定の大きさに切ります。両面からPカッターなどで溝を刻んで折るか、金ノコなどを使います。次にパターンを描いた紙をセロテープで銅箔面に止め、キリやポンチで穴の位置を写し、鉛筆で大体のパターンを銅箔面に描き込みます。そこに基板用テープ(幅1.5mm)を貼って回路を作ります。広い部分にはセロテープを使います。最後に穴の位置に基板用サークルを貼り、紙をかぶせて全体をよくこすって密着させます。

お湯の中でびんごと40度に温めたエッチング液(塩化第二鉄)を基板キットのケースにあけ、基板を入れて、時々かくはんしながら余分な銅箔を溶かします。10分前後で溶けるので、頃合いを見計らって取り出し、よく水洗いしてテープなどをはがします。部品の穴を0.8mmドリルで開けて、銅箔面をよく磨き、フラックスを塗って完成です。

作成した基板

作成した基板です。バーアンテナの結線が間違ったままです。大きい穴はリーマーで広げていますが、いつも使い方が悪いのか、きれいな円になってくれません。ICの穴も一直線になっておらず、お見せするのがちょっと恥ずかしいです。バリコンの左の止めネジと、その隣の配線路が触るとよくないので、テープを貼って絶縁します。

ポジ感光基板を使った基板の作り方はよく紹介されていますが、このようにパターンを直接作ってエッチングする方法は、現在あまり見かけません。しかし、プリント配線というのはどういうものなのか、どういう原理でパターンを作るのかは身を持って学ぶことができます。ほんのちょっとテープに隙間があっても、エッチング液が染み込んで失敗しますし、エッチング時間が長すぎてパターンが細くなってしまったり、逆に短すぎて溶け切らずにショートしたり、色々なことを経験できます。

失敗してパターンが切れてしまったときは、部品を取り付けるときに、足を長めにしてつないでしまえば大丈夫です。逆に、溶け切らずにつながってしまったところは、カッターの先などで削り取り、テスターでショートしていないことを確かめておきます。初めはなかなか上手にできませんが、多少出来が悪くても心配することはありません。

組立

あとはキットの付属部品を差し込んでハンダ付けするだけです。もともと安定して働くようになっている回路なので、異常発振に悩まされたりする心配は、あまりないのではないかと予想しました。いつも発振の原因になる高周波チョークもありません。

部品を取り付けたところ

というわけで、製作過程は一気に省略しまして、いきなり完成です。

部品のハンダ付け作業は40分くらいで終わりましたが、ケースの加工や穴あけはそれなりに手間がかかります。特にこの名刺ケースは非常にヒビが入りやすいので、スピーカーの穴を開けるのは大変でした。

バリコンのダイヤルは、キット付属のものだと出っ張ってしまい、ケースの中に入れにくいので、別に買ってきました。また、キットで使われている単3電池2本用のホルダーはケースに入りません。私は単4電池を2本使いました。手元に使っていない4本用ホルダーがあったので、それを半分に切って配線を直し、2本用としました。

実装完了

さて、電池を入れてスイッチを入れると…放送は鳴ったのですが、ダイヤルをどこに合わせても、ほぼ同じ放送しか聞こえません。この時点でやっと、バーアンテナ周辺の配線路を間違えていたことに気付きました。パターンをカットしてリード線で接続しようかとも思ったのですが、結局配線路は直さずに、バーアンテナの足のラグとコイルの結線を入れ替えました。

スピーカーのマグネットが外側にむき出しになっているため、ネジ止めの際にナットやドライバーがすぐくっついてしまい、閉口しました。イヤホン・ジャックとパイロットランプも付けたいのですが、この時点ではまだ付けていません。

完成

製作時間のうちケースの加工時間が最も長く、次いでプリント基板の製作時間、一番短かったのが部品のハンダ付けでした。

完成

このスタイルに組んでしまえば、何でも子供の科学のラジオに見えてしまいます。

ここで使った名刺ケースは、ふたをした状態で外側の厚みが34mmですが、これでぎりぎりの深さです。電池ケースは上の写真のようにスピーカーの下に縦にして置くこともできますし、スピーカーのコイルに重ねて平らに置くこともできますが、どちらにしても余裕がまったくありません。厚手名刺用のケースでも、これより2mmほど浅いものがありますが、そうなるともうフタがきちんと閉まらなくなります。ただし電池さえ小型にできれば、現在主流の薄手名刺ケース(厚さ22mm程度)にも組み込めそうです。

ストレート式なので多少混信しますが、まだ程度はよいほうだと思います。感度は、「子供の科学のラジオ」でいえば、5石くらいという感じです。音質も聞きやすいと思います。ICの威力ですね。いつもの3本足のヤツがいないと、ちょっと寂しい気もします。

らじおくんとの比較

オリジナルの「らじおくん」も10センチ四方ですから、バラック形としてはコンパクトなほうです。出荷時期によって部品の形が変わることがあり、この写真に写っている2つのキットの部品でも、バーアンテナやボリュームのつまみの直径など、色々と違いがあります。

「らじおくん」にはこのほか、FM版の「FMらじおくん」もあります。FMらじおくんのほうが部品が多く、コンデンサだけで18本あるので、もし詰め替えるなら基板を少し大きく作らないとだめかもしれません。キットの基板をそのまま利用し、大きめのケースに組み込むことを考えたほうが実用的かもしれません。


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