Nゲージ蒸気機関車>メモ>2019.12.29

C57 1(KATO)

発売済みのC57 1次形のバリエーションとして、やまぐち号でおなじみの1号機が発売されました。1980年代の旧系列にもC57 1(山口号タイプ)はあったので、製品としてはリニューアルということになります。
昨年発売された、D51 200+35系 SL「やまぐち」号セットには、すでにC57 1を収納するためのプレイスホルダーが用意されていましたね。


全体

他のプラ量産品と並べてみました。

KATO

KATO 2019年発売
(拡大写真)

2017年9月以降の形態とされています。

トミックス

トミックス 2011年発売
(拡大写真)

昨年再生産されたばかりです。他に「ロッド赤入り」のバリエーションもあります。

マイクロエース

マイクロエース 2007年発売
(拡大写真)

同じ年に、KATOのC62東海道形が発売されています。

全体の特徴は言葉で表しにくいですが、それぞれの製品ポリシーが外見に大変よく現れています。

いずれも個人の感想になりますけども、ギリギリを攻めるKATOはキャブとテンダーの高低差のバランスがよく、全体のスタイルにも落ち着きが出てよいと思いました。動輪が他に比べてやや大きいのも、実物らしい上下バランスの再現に役立っているかもしれません。

トミックスは全体にスッキリした表現で、細いラインや金帯の印刷に最も滲み・ボケがなく、ナンバープレートの文字もキチッと表現されているあたりに好感が持てます。可動部の逃げや余裕を大きく確保するのはトミックスの特徴かと思います。

マイクロエースはデザインの評価軸が他と明らかに違って見えますけども、これはKATOの旧モーターと類似型の(今となっては)大型のモーターを積んでいるのですから、その中でどう見せるかというところがチャレンジングな製品だったかなと思います。結果は、どう見えましたかね…。

KATOのC57 1には、縮尺1/140の先輩もいて、長年にわたり活躍しました。
並べてみると長さは相当違います。ちょっとカメラが見下ろしになっていてすみません。

KATO 旧製品

KATO 旧製品

KATO 新製品

KATO 新製品

動輪・ロッドがこの位置にあるときに、合併テコが実物通りきちんと垂直になっていたのも、旧製品のよいところでしたね(最近のKATOの蒸機では大幅に前傾していまして)。

以下4枚は、新しいKATOのC57 1です。

KATO C57 1 外観

率直に格好いいです。

KATO C57 1 非公式側

(拡大写真)

KATO C57 1 前方
KATO C57 1 非公式側後方

(拡大写真)

KATO C57 1 公式側後方

(拡大写真)

付属品

付属品

C57 1という特定機ではありますが、ナンバープレートはユーザーによる別付けです。赤地・黒地の2種を選択可能となっているためです。

ヘッドマークはやまぐち号と北びわこ号が付属しています。印刷は表面に細かいシワシワな凸凹があり、昨年のD51 200と違って平滑ではありません。何か印刷方式が安くなってしまったのかもしれません。

他はヘッドマーク取り付けの際に使用する専用の給水温め器、前後のカプラー3種が付属します。

ナンバープレート取り付け

ナンバープレートはナイフを使わなくても、指でもぎ取って付けられるものです(とはいえ変な傷め方をしないようご注意を)。

ただ、適当にパチンと押し込んだら、1箇所のみ結構斜めになってしまいました。一度取り外して付け直しても変わりません。変だなァ…。

ナンバープレート修正

が、爪楊枝の先で軽く端を押してみたら、それだけで直ったのでした。
ちょっと動く余裕があったのですね。細かい削りで修正せずに済み、よかったです。曲がって困っているという方、金色をはがさないように注意して、ちょっと爪楊枝でつついてみては。

見せ場?各所

トミックスの1号機と一緒にあちこち見てみましょう。
作る人や製造条件が違えば表現も違う、というわけで色々特色の違いが出ています。

KATO キャブ側面
KATO 
屋根とテンダーの高低差が少ないのは実感的で大特長です。窓は開いた姿で、窓の金縁はやや細いです。
側面右下の札差しにはフチの凸モールドがなく、フチは印刷で平面表現されています(D51 200と同じ)。
トミックス キャブ側面
トミックス 
窓は全閉です、ガラス側に黒フチがあります。札差しは普通に凸モールドで、フチに金色が載せられています。金色の表現は全体にくっきりしています。
屋根とテンダーの高低差は大きめに取られています。
KATO キャブ前面
KATO 
前面窓には金色のフチを入れるため、ガラスの外周にフチが追加され、車体側の窓が若干切り広げられました。ただ金枠の太さは実物の印象よりはだいぶ細いです。
発電機は現在の姿のため機器類が多いです。
トミックス キャブ前面
トミックス 
前面窓のフチはもともとハッキリ表現されており、窓の大きさも実物の感じに近いです。丸窓にはボルト表現もあります。信号煙管は別パーツのためちょっと立体的です。発電機の排気管などは省略されていました。
KATO ボイラー中央


KATO 
ドームはよい形です。ややパーティングラインが目立つのが残念なぐらいです。
空気作用管の配管留めが黒に塗り分けられているウルトラCは健在です。ハンドレールは樹脂製のため、この色では正直太くオモチャっぽく見えますが、実物を手に取れば写真よりだいぶましな印象です(→D51 200と同じ)。

側面の冷却管は最下段まで全部作られています。大きい動輪と低いフランジもKATOの特長です。

個人的には、火室のローズピンクはもう少し抑えてもいいように思いますが、色んな見え方がありまして、これに決めた気持ちはちょっとわかります。また、D51 200と揃えたのでしょう。

TOMIX ボイラー中央


トミックス 
全体に塗装表面の平滑度が高く上質な感じで、これは昨年の再生産でも同様です。
ハンドレールはピカピカの金属製で、樹脂製に比べればハンドレールノブがやや大きめですが、実際には金属部分のピカピカのほうが目に飛び込んでくるので、実物を見て違和感はないと思います。
ドーム後端はやや直線的な急勾配になっています。

動輪は微妙に小さいですが、フランジの高さがあるため、全体的な印象としては極端に不利ではないようです。

KATO テンダー後部
KATO 
現在の姿のため、左右両側2列のステップと手すりがあります。
ライトは非点灯で、テールライトも一体ですが形は悪くありません。向こう側のステップには暖房ホースが付いています。
トミックス テンダー後部
トミックス 
ライトは後退時に実際に点灯します。テールライトにはレンズがはめ込まれていますが、そのためフチが目立つので、似ているというよりレンズが入っているという気持ちの問題かと思います。
カプラー解放てこは別パーツで立体的に作られています。
KATO キャブ下
KATO 
キャブ下には多数の配管類が立体表現されています。ドローバー形状などが工夫されており、従台車の上に隙間が見えません。火室直下のダイカストブロックは、灰箱のふたのような形に作られています。
従台車は前回の1次形と同じもので、現在の1号機とはだいぶ異なります。流用はいいとして、すでにあるC57 4次形やC59の従台車を使ったほうがずっと似ていたと思うので、不思議なところです。
トミックス キャブ下
トミックス 
従台車はちゃんと1号機の鋼板組立式になっています。長孔がなくボルトがたくさん並んでいます。従台車はKATOの旧C57と同じく、担いバネとイコライザーが一体化している構造で、少々上部に隙間が見えます。

追記:余談ですが試しにKATOのC57 1の従台車を、C57 4次形に交換してみたものです。

交換前
交換前の従台車 
製品そのままです。
交換後
交換後の従台車 
さらに小穴などを開けてみてもよいと思いますが、これでも十分似ると思います。
C57とD51の従台車

KATOではC57 4次形のほか、C59、D51標準形などの従台車がこのタイプです。
しかし、それらのパーツ形状には外見以外にも細かい違いがあります。手に入りやすいD51標準形(写真右)は、前方の突起部の形が特にC57・C59とは異なります。平坦線で少し走らせた程度では、D51標準形の従台車をC57に取り付けても大丈夫そうでしたが、ドローバーが正規の位置より少し浮くなど問題が出てくるかもしれません(何もないかもしれません)。不具合が出たらあきらめるか、C57のように三角に削ってみるといいかもしれません。この加工については未検証です。
ほか、台車枠の外見は似ていても、セットされている従輪にはスポークの有無などの違いがあります。

以上余談でした。

KATO 前面
KATO 
薄型デフで左右の間口がゆったり取られており、実物らしいバランスのフロントです。
1次形で横長だったナンバープレートは、幅が狭められて1号機らしくなりました。テールライト、解放テコ、ステップは一体の部品になっており、相変わらずぐらつきがありますが、今回つかみ棒はそれらと一体ではないので安定しています。またすべて工場取り付け済みです。
トミックス 前面
トミックス 
当初よりナンバープレートのサイズ感やバランスが絶妙でよく似ていました。デフの裏側にはディテール表現がありません。 つかみ棒、テールライト、エアーホースはユーザー取り付けで、テールライトの取り付けには穴開けも必要です。
煙突を回してライトを消灯可能です。本家のKATOは一部を除き、この機構をやめてしまいました。
KATO ヘッドマーク付き 前面
KATO 
「やまぐち号」のヘッドマークを付けてみたところです。
トミックス ヘッドマーク付き 前面
トミックス 
同じく「やまぐち号」のヘッドマークを付けたところです。集煙装置は付属しています。なおKATO製品は現在の姿ということで、集煙装置は付属していません。
マイクロエース ヘッドマーク付き 前面
マイクロエース 
飛び入り。なんか自作っぽいっですがメーカー品ですヨ…。

ライト点灯の様子です。ちょっと写真が不明瞭ですみません。
KATOの1号機の点灯状態は昨年のD51 200と同じく、シールドビーム灯が封入されたあとの形態をイメージしているようです。
トミックスは普通の形態(同社の他のC57と同じ)です。でも何となく気分でシールドビーム内蔵にも見えそうですね。いずれもこんなに拡大しなければ光り方まではほぼわかりません。見る角度によっても内部の導光材の見え方が変わります。

KATO 点灯
KATO 1号機 
トミックス 点灯
トミックス 1号機 
KATO 1次形 点灯
KATO 1次形 

最後に非公式側ボイラーでツアー終了です。プラ量産品といっても、ものすごく精密ですよね。これ、小指程度の長さです。

KATO 非公式側ボイラー


KATO

TOMIX 非公式側ボイラー


トミックス

以上書きました感想は、すべて個人の現時点でのもので、模型を使っていくにつれて変わっていくかと思いますのでご了承ください。たまに補足・追記しています。
機炭間のバランスをはじめとして、全体のフォルムがよかったのが嬉しいところです。価格はそれほど上がらなかったので(¥15,000+税)買いやすく、価格と内容のバランスがよいと思いました。

C571+D51200

なお走りは前回の1次形同様にスムーズで(一般的な話として店頭での試走はお忘れなく)、D51 200との重連も良好でした。35系やまぐち号は5両編成ですから、蒸気機関車2両で牽引してもあまり全長が長くならず、家庭のレイアウトでも楽しめるのがありがたいです。


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