Nゲージ蒸気機関車>2018年のメモ>2018.3.10/2023.2.11
フジミのNゲージ蒸機シリーズの後期に発売されたC57です。C57とC57 やまぐち号の2種類がありました。
このシリーズの蒸機は、D51・C62・8620・C58が1970年頃から発売されており、このC57はそれらが何度か再生産されたあと、1979年になって追加されました。
当時の価格は600円でした。その際従来のシリーズも同じデザインのパッケージに変わって再生産されています。
こちらは「やまぐち号」ではない通常タイプです。
38年ぶりに組み立てました。初めて組み立てた際の印象は覚えておらず、新しい気持ちで始めました。
箱の中身です。このシリーズの特徴である「高級陳列ケース」が含まれています。
キットの構造には、それまでのシリーズとの大きな違いがひとつあります。これまでは接着剤不要で、金属の留め板のはめ込みで組み立てる独特な構造でしたが、C57はオーソドックスな接着前提となりました。従って金属の留め板はなく、代わりに接着剤のチューブが同梱されています。
今は接着が必要なキットでも、接着剤が同梱されていないのが普通になりましたね。当時も外国製キットなどはそうでしたけども。
説明書の様子です。このシリーズの説明書で背景に描かれていた、小さな汽車のイラストも健在です。
鉄道マニアの撮影カメラ?も線路わきに描かれています。このころはまだ、8ミリフィルムのムービーがある程度普及していたのですよね。フジカのZC1000など欲しかったです。その後10年経たないうちにビデオムービーに置き換わっていきましたが。
シリーズ当初からの製品は、説明書に英文も併記されていましたが、最後に追加されたC57は日本語のみになっています。
40年近く前のプラ模型ですが、このころすでに国内のプラ模型の品質は結構安定していたので(メーカーによりますけど…)、バリもほとんどなく組み立てやすいです。
ボイラーは左右2分割です。
間に銀メッキされた安全弁を挟んで、左右を接着します。
ボイラー内にオモリを差し込んでから、煙室扉を接着します。
走る模型ではないのでオモリは必須ではないような気がしますが、あったほうが飾るときに安定しやすいかもしれません。
煙突とスチームドームを接着しました。
ドームはとても良い形をしています。現在のNゲージ製品の中にあってもよいほうだと思います(もしかして一番かも)。
これなら全体の形も、まともにできていると期待します。この形のドームは難しいですからね。
前後のランボードを接着します。後ろのランボードは曲がりやすいので、接着剤が乾くまで少し待っています。
接着先のボイラーがしっかりした形で成型されているので、金属キットのランボードをまっすぐにするのに比べれば簡単です。それでも成型の歪みもあれば、組み合わせのガタもあるので、適当に組み立てたら曲がってしまいます。
動輪はシャフトの両端に接着します。接合面の精度がそれほど高いものではないため、これがなかなかまっすぐに付きません。
ランナーと接続されているゲートがフランジにあり、切り口を整えるのも難しいです(削りすぎるとフランジが欠けてしまう)。
鉄道プラ模型はどれも車輪が難しいですね。正確に組み立てなくてはいけませんし、元の成型はあまり正確なものではありませんし、たくさんありますし。
サイドロッドを取り付けます。従来のシリーズでは、サイドロッド裏側に飛び出しているクランクピンを動輪の穴に差し込み、裏から叩き潰して固定する方式でしたが、今回は表から接着します。動輪は回転しません。
ロッドはメッキされているので、接着面のメッキをはがしてから接着します。
主台枠を接着します。左右2枚の板台枠のようになっています。
動輪を軸受けにはめ込み、底板を接着します。以前のキットでは底板はネジ留め式でしたが、今回はここも接着です。
先台車を組み立てます。先輪は動輪と同じ要領で、車軸の左右に車輪を接着して作ります。
先台車を取り付けたところです。先台車は左右に首を振り、車輪も回転します。
こちらは従輪です。従輪は主台枠のシャフト穴に差し込むので、従台車の構造がなく首も振りません。
次はクロスヘッドやバルブギヤーの取り付けです。
説明書では、バルブギヤー周辺の一体パーツのことを「ピストン」と称しています。
バルブギヤーにモーションプレートを接着しました。
あまり位置決めがはっきりしないので、モーションプレートのピンと、加減リンクの中心が合うあたりに位置を合わせました。
動輪とシリンダーにバルブギヤー類を接着しました。
従来のシリーズは、メインロッドのビッグエンドにサイドロッドを合わせようとすると、動輪が(飾り物としては)中途半端な角度になってしまいましたが、このキットではきちんと公式側サイドロッドが一番下に来るような位置にバルブギヤーが作られています。
このへんから組み立て後半です。
キャブは前後左右ばらばらになっており、接着してまとめます。
キャブをボイラーに接着しました。
あまり位置決めがはっきりしないので、慎重に付けましたが、ちょっと曲がってしまいました。
プラ模型は接合面の切り口やバリの処理が厳密でなくても、大体組み立てられるようになっているのでしょう、組み合わせ寸法には結構余裕が取られているように感じます。
確かに、下手でもそれなりに組み立てられますものね。
デフは下の断面の接着だけで固定します。
上部のステーも省略されています。片側ずつ、接着剤が乾くのを見届けながら慎重に固定していきました。
あとは、細かいディテールパーツを付けていけば機関部は完成です。
これはタービン発電機です。左右対称ですね…ちょっと珍しい形の捉え方かも。
空気溜め、コンプレッサー、逆転棒などを接着します。
ドーム前には銀メッキの逆止弁を接着します。何となく、大衆食堂のテーブルに置かれている調味料のビンみたいなものを連想しました。
従来シリーズのD51やC58では、ドームの側面に何もディテールがありませんでしたが、C57では砂撒き器などもモールドされています。ドームの形がいいので、ちょっとしたディテールが活きます。
今度はテンダーです。テンダーも、前後左右の板がばらばらに作られています。
床板をもとに、慎重に周囲の板を接着して形を作っていきました。
テンダーの車輪を作ります。先輪・従輪と同じですが、数が多いので気分的に面倒です。
でも、もうひとがんばりです。
テンダー台車を組み立て、テンダーに取り付ければ組み立ては終了です。
全体の塗装はしませんでしたが、ちょっとした塗装ガイドが説明書にあるので、基本それに従って部分的に塗りました。
ナンバープレートが金、安全弁・汽笛・バルブ(逆止弁)も金、ヘッドライトが銀、カプラーが黒鉄色というのが指定です。ただ、ナンバーは枠もなく、「C-57」という文字の浮き出しだけなので、余っていたワールド工芸のナンバーを重ね貼りしておきました。
陳列台のレールに載せてみました。
機関部の動輪は固定されており、先輪・従輪のみ回転するので、動輪はわずかに浮く構造のようです。
ただ車輪があんな感じなので、レールに載せた時の座りはよくないです。ちゃんと飾るなら位置をきちんと決めて、レールに接着してしまったほうがよさそうです。
シンプルですが良いスタイルだと思います。低価格のプラ模型の中には奇抜な形のものもありますが、これは明らかにC57の格好をしています。
フジミ C57
600円(1979年)
ナンバープレートはNゲージ用を付けました。
KATO C57 1次形
13,000円+税(2018年)
最新のKATOのC57と比べても、シルエットに大きな違和感はないと思います。
ちゃんと飾っておけますよ。
後方から。
客車はKATOのスハフ32です。
この模型が発売されたころは、まだブルートレインブームで、EF65や24系客車のプラ模型やNゲージの新製品が次々と発売されていました。
スケールモデル全般はぐんぐん伸びていたようには見えませんでしたが、「宇宙戦艦ヤマト」などで、映像作品のイメージを大切にした各種プラ模型が成立し始めており、数年後の「ガンプラ」の大ヒットに向けての土壌ができていく時期だったかもしれません。それまで、キャラクターもののプラ模型というと、無理やりゼンマイボックスとタイヤが付いているものも多く、対象年齢層も一段階低かったと思います(個人の感想)。
この5年後、「やまぐち号」も組み立てました。
通常タイプと同年に発売されていました。実物のSLやまぐちの運行開始と同じ年です。振り返ってみるとタイムリーな製品化だったのですね。
その頃私は復活運行機にあまり関心を持っていませんでしたので(自分の中で、国鉄の蒸気機関車は1975年で終わってしまったものでしたから)、このキットも当時は組み立てていませんでした。
キットの基本部分は先のC57と同じで、追加ランナーに集煙装置と後部ライトのパーツ、そして飾り台用の「やまぐち号」の銘板があります。
集煙装置は本体と前後2つの脚からなります。
本体は中までプラが詰まった一体です。これらを接着して煙突にかぶせ、ボイラーに接着します。
後部ライトは簡単な形状です。テンダー後部に接着します。
塗装は少し細かく指示されているので、基本はプラの生地のままですが少々色差しをしました。
ナンバープレートは「赤地に金縁、文字」とありますが、フチはモールドされていないので私には無理と、金の色入れは文字だけにしました。
テンダーの上フチもモールドされておらず、白線は平面の塗り分けになります。ちょっと面倒くさくなって側面しか塗りませんでした。それでも多少の色が入ると、無印のC57に比べ、やまぐち号のような感じは出ます。
フジミ C57 やまぐち号
600円(1979年)
Nゲージ鉄道模型のC57が発売される前のことですから、これらを利用してC62の動力を組み込むことを計画された方もいらっしゃるかもしれませんね。しかし相当な高難易度だったことと思います。
気が向いたら他のプラ模型もまたいつか。