フジミ ミニトレインシリーズの初期から発売されていたC62です。
買ってあった1979年の再生産品を組み立ててみました。もっと古い製品は1973年頃に組み立てたことがありまして、それから47年ぶりになります。キットの組み立てがどういう様子であったかは、完全に忘れていました。
しかしプロの手によるものとはいえ、この上手な箱絵には見とれてしまいます。黒い鉄の車体の質感やその場の日差しの様子を、こういう色使いで表現できるものなのですね。
箱の中身です。このシリーズの他と同様です。やっぱり「高級陳列ケース」が一番目立ちます。
接着剤不要という特長も押し出されています。主要部分の組み合わせは一般的なはめ込みではなく、薄い金属の留め板で連結する独特なものです。
C62は車輪が多いので(D62と並んで全11軸)、丸いパーツがたくさんあります。
説明書は初期の英文併記のフォーマットです。組み立て済みのパーツは線画のみで、これから取り付けるパーツは陰影付きで画かれています。
説明書を見ながらこういうプラ模型を組み立てていくうちに、機関車各部のおもな名称を自然に覚えていくのですよね。ただ、わかりやすいようにということでしょうか、あまり一般的ではない部品名が使われている商品もありました。
C62はシリーズの中では人気が高かったようで、いつ入荷してもすぐに売り切れていました。現在も中古品で出てくることが最も少ないように思います。
今回の1979年製品ではすでに金型が傷んでいたのか、パーツ表面はボロボロです。
ちなみに最初期シリーズは1970年の発売で、陳列ケースがなく200円でした。小さくて動かないプラ模型が200円とは、私は高いと思っていました。その後すぐケース付きになり、価格も300円になったのですが、今度は高級ケース付きなんだからいいかと納得していました(笑)。1979年の再発売時には同一内容で600円になっていました。
左右のボイラーは、写真のように留め板を挟んで結合します。
なんでこんな構造なのかというと、私の想像ですが、おそらく初期の金型精度や製造の問題で、はめ込むだけでぴったり合う部品を成型することが難しかったからではないかと思います。こんな方法であれば、多少寸法に難のある成型でも、金属の弾力によって留めることができるからです。
ただし、留め板で組み合わせる部品は大型の基本部品だけで、細かい部品は普通のはめ込みです。今回は金型が傷んでいた様子でもあり、はめ込み箇所の多くがきつすぎるかゆるすぎるかで、組み立てに手間がかかりました。
ボイラー上のスチームドームや煙突なども、左右のボディが開かないようにする留め具の役割を兼ねています。精度の不足を補うための構造的な工夫はあちこちに見て取れます。
このシリーズはディスプレイモデルですが、金属のウエイトも真面目に付属しています。
ランボードは一体できちんと成型されており、これをボイラーの溝にはめ込めばOKです。
…のはずなんですが、今回は合いが悪く、あちこちを削り合わせてようやくまともに収まりました。このシリーズはランボードで苦労することは少なかったのですが…。
先台車です。台車枠を組み立て、シャフトを通してから車輪を取り付けます。
キット全体を通して、車輪の切り口の整形と、シャフトの取り付け穴の調整が面倒なところです。なかなか合いませんし、たくさんありますからね。
ちなみに説明書では、車輪の外側から台車枠をはめ込むように説明されています。
これを真に受けて、車輪を先に組み立ててしまうとハマリます。
サイドロッドは動輪のクランク穴に差し込み、裏からハンマーでピンをつぶして抜けないようにします。
力加減を間違えると、割れたりひん曲がったりしますし、ちょっと怖いです。接着剤を使わないと、組み立てに別の難しさが出てきたりしますね。
シャフトを取り付けて動輪は完成です。走行できるNゲージ鉄道模型と比べ、フランジが低いです。
私は、機関車の動輪が右側90度先行であることは、こうした模型の組み立てを通して覚えたような気がします。
主台枠にカプラー、シリンダーブロック、モーションプレート、空気溜めをはめ込んだところです。
はめ込んだといってもきちんと付いているものはひとつもなく、全部ガタガタなので、この時点では容易に取れてしまいます。
ただ、これを下からビスでボイラーに留めますと、ボイラーと主台枠の間に各パーツが挟まれて、何とか収まります。
ここではキットの企画意図に従い(?)、極力はめ込みで組み立てていますが、接着剤を使ったほうが断然組み立て性はよいです。
従台車のパーツです。従台車の上から後部にかけて斜めに張り出しているのが一見バリに見えますが、
裏からよく見ると部品の一部でした(少しはバリもあります)。危うく削りにかかるところでした。
キャブの天井に留め板を挟んで、左右を合わせます。
キャブ下の細いハシゴは抜けてはいませんが、ちゃんと作られています。
細いといえば、テンダー後部のカプラー解放テコが非常に細く成型されており、太さが0.2mm程度しかありません。触っただけで取れそうな気がします。
必ず折ってしまうと思うので、その前に写真を撮っておきました(笑)。
テンダー台車の部品構成です。割と普通です。
手間のかかった車輪の整形と組み立てもこれで終わりです。
テンダーは従台車の後部の穴にピンを差し込んで連結しますが、
そのままだと機炭間隔がちょっと狭いですかね…。これがNゲージ鉄道模型ならカーブを曲がれないですね。
ともかく、あとは少々色差しをすれば完成です。
付属の陳列台に載せたところです。このほかに透明カバーが付いています。
パッと見て、ちゃんとC62とわかるスタイルをしています。
仮にワールド工芸のナンバープレートを貼り、KATOのC62東海道形と並べてみました。
フジミ C62
KATO C62 東海道形
おもに機炭間の差で全長が変わっていますが、エンジン・テンダーの長さはほぼ同じです。
前方もシンプルながら結構よく印象を捉えていると思います。
縮尺1/150に対して9mmゲージという苦しさのため、フジミのC62は上廻りの横幅を少し縮尺より広くしてまとめているようです。
フジミ C62
うまくレールに乗らなくて、ちょっと姿勢がガタガタしていますけども。
KATO C62 東海道形
小さいながらC62らしく、ちょっと机の上に飾っておくにも手ごろなプラ模型でした。
改めて組み立ててみますと、シリーズの中で最も部品同士の合いが悪く、修正が大変でした。昔組み立てた際、特に手がかかった覚えはないんですが、本当はどんな組み心地だったのか、今となっては知るすべがありません。
こういう商品が成立した、昭和時代の鉄道プラ模型はまだあります。またいつか…。