Nゲージ蒸気機関車>メモ>2006.9.1(Nゲージ蒸気機関車の牽引力)
現在の9mmゲージの蒸気機関車の牽引力は結構優秀で、非力と言われる金属蒸機ですら、平坦線ならプラ客車を10両以上牽いて十分走ります。しかし勾配となると話は別です。
各社の主要な機関車を使い、KATOのスハ44系プラ客車を牽かせて、何両まで牽けるかを調べました。
勾配線と平坦線の2組を用意しました。
簡単にできる定量的な基準を見つけられなかったため、客観的データとはとても言えないことをご理解ください。
平坦線:正常に走って当たり前なので、速度調整せずに周回できることを基準にしました。
勾配線:実用両数と限界両数を調べました。
メーカー | 形式 | 平坦線 | 勾配(限界) | 勾配(実用) | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
KATO | C62(旧) | 18両 | 18両 | 18両 | まだまだ余裕あり、バケモノ |
マイクロエース | C62 | 18両 | 18両 | 18両 | まだ余裕あり |
ワールド工芸 | C62(旧) | 18両 | 17両 | 5両 | 牽引力増強装置なし |
ワールド工芸 | C62(新) | 18両 | 18両 | 6両 | 牽引力増強装置あり |
天賞堂 | C62 | 18両 | 5両 | 3両 | 勾配だと厳しい |
R315の単純エンドレスだけでの結果ですが、平坦線ではどれもまったく問題ないと思います。ワールド工芸の初期のC62(牽引力増強装置なし)でも実物どおりの長編成を組めます。
天賞堂は平坦線で使ったほうがよいと思います。ワールド工芸も苦しいのですが、畳1条程度のレイアウトでは5〜6両がちゃんと牽ければ十分なことが多いかもしれません。
金属蒸機のみ比べました。
メーカー | 形式 | 平坦線 | 勾配(限界) | 勾配(実用) | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
中村精密 | C51 | 18両 | 18両 | 18両 | 信じられませんが本当です |
ワールド工芸 | C51 | 18両 | 9両 | 5両 | 牽引力増強装置あり |
ワールド工芸 | C57(A) | 18両 | 4両 | 3両 | 牽引力増強装置なし |
ワールド工芸 | C57(B) | 18両 | 6両 | 4両 | 〃 |
天賞堂 | C57 | 18両 | 2両 | 1両 | 勾配は無理 |
ワールド工芸 | C59(旧) | 18両 | 8両 | 6両 | 牽引力増強装置なし |
ワールド工芸 | C59(新) | 18両 | 18両 | 15両 | 牽引力増強装置あり |
平坦線はどれも余裕たっぷりで問題ありませんが、勾配となると顕著な差が出ます。意外なのが中村精密で、テンダードライブのうえ、機関車が金属の塊で、ものすごい重さがあるのですが、勾配もぐんぐん上っていきました。
ワールド工芸のC59(新)もかなりパワーがあり、牽引力増強装置の効果が非常によく出ています。テンダードライブ機は、とにかくテンダーの大きい形式が牽引力のうえで有利です。
ワールド工芸のC57もいくつか持っているので、2つ試しましたが、少し違いがありました。組み立て方のばらつきなどが影響しているのでしょう。
非力な部類です。南薩5号機と9200はエンジンドライブ(南薩5号機はCタンク)です。この2種にスハ44系を牽かせる意味はありませんが、比較のために載せます。
メーカー | 形式 | 平坦線 | 勾配(限界) | 勾配(実用) | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
ワールド工芸 | C55 | 9両 | 1両 | 1両 | |
ワールド工芸 | 南薩鉄道5号機 | 3両 | 1両 | 0.5両 | |
ワールド工芸 | 9200 | 6両 | 2両 | 1両 |
ワールド工芸のC55は、同社テンダードライブ蒸機の最初の形式で、今のC57やC59に比べると、極端に牽引力が弱いものです。このC55を見て、ワールド工芸の機関車はとにかく牽引力が弱いと刷り込まれてしまった方も多くいらっしゃるようです。しかし平坦線に限って言えば、C55以外のテンダードライブ機は決してそんなことはありません。また、昔同じ条件で調べたときは、平坦線での実用が5両程度だった記憶もあるので、状況によって結構変わるのかもしれません。いずれにしてもC55が特別非力なことは確かです。
南薩5と9200は、もともとそんなに客車が牽ける必要はないので、平坦線なら何とか使えるでしょう。なお、発進時から激しく空転してもよければ、南薩5号機は平坦線で6両、9200は10両くらい牽けました。
ここにお示ししたのは、私が個人的に試した結果であり、結果には何の保証もありません。
線路の状態、汚れ具合などによっても結果が変わる可能性がありますし、気温の違いによってゴムタイヤの性質が変化する可能性もあります。
特に金属蒸機キットの場合は、組み立て具合にも左右されますから、もっと多くを牽引できたり、その逆だったりすることがあると思います。
どのような方の下でも同じ結果が出るとは限りませんので、これだけを元に車両の購入の目安にすることは避けてください。
ちょっとした謎が残りました。
線路や車輪の表面の状態によっても変わるのかもしれませんが、以前と同じ条件のつもりでも結果が違っているため、比較コーナーなどに記載している牽引数と違いが出ていると思います。何卒ご了承ください。
また、最後にKATOのキハ283系「スーパーおおぞら」の基本+増結を同じ3.5%勾配で走らせたところ、空転して上れませんでした(笑)。なぜか逆方向になら登れたのですが、平地では発生しない脱線などもしばしば発生してしまい、かなりシビアなものになってしまいました。基本の6両だけなら何ともありませんでした。線路状態にもまだ難がありそうです。