キハ82系は1975年から旧KATO製品が販売されてきましたが、30年後の2005年にフルリニューアルされて現在に続く製品になりました。その10年後にはトミックス製品も登場しています。
KATO・トミックスの現シリーズの、最初のキハ82同士を並べてみました。→キロ80・キシ80も少し加えました。
KATOは昭和40年代中盤の形態とされています。商品上、特に地域を限ってはいません。
トミックスは逆に地域を限った北海道仕様とされ、基本セットのキハ82にはクーラーを増設した初期型と、KATOと同様の後期型がセットされています。
近接撮影で写真が歪んでしまい申し訳ありません。
遠目には両者似ていますが、作り手が違いますからデザインは違い、前面の様子もそれぞれの特色があります。
KATO 2005年
(拡大写真)
フルリニューアル品です。写真はその初回セット「10-229」のキハ82です。2年後に改番され、スノープロウ装備などの小変更がありました(後述)。
トミックス 初期型 2013年
(拡大写真)
長らくKATO製品しかなかったところに投入されました。乗務員ドアの窓にタブレットキャッチャーの保護網が表現されています。
トミックス 後期型(拡大写真)
こちらはもう1両の後期型で、KATOと同様、最初からクーラーが増設された姿です。
※写真は一通りのユーザー取り付けパーツを付けてありますが、車番(インレタ)は未転写です。
KATOのリニューアル製品「10-229」には、5大特長としてDCCフレンドリー・サスペンション機構・小型モーター・フライホイール・伸縮密自連カプラーが挙げられていました。
中には恩恵を受ける人が少ないものや、何らかのデメリットを伴うものもあり(個人感想)、あまり心に刺さらなかった覚えがあります。すみません…。個人的に、姿勢が定まりにくいサスペンション機構と、超低速発進時に若干の断続感が出るようになった新型モーター(GM3)は微妙なところです。
しかし、同じモーターが採用されたC62東海道形では、旧C62と比べてその静かな走りに感動したものです。今のC62シリーズはコアレスモーター化されて、さらに別物になっています。
KATOの旧製品(1975年〜)は、現在の製品よりも車体が数ミリ短く作られていました。最近始めた方はご存じないかもしれませんので並べてみました。
写真の上が1977年頃の旧製品(一部塗られたり退色したりしています)、下が2005年のリニューアル製品です。
横から見ると、KATOとトミックスの違いは車高のバランスぐらいに感じますが、前から見るとかなり異なります。メーカー品といっても、人がそれぞれの感性でデザインしているご作品なのだなぁと感じられて楽しいです。
KATO |
トミックス |
全体的な顔の輪郭?の違いのほか、細かいところでは貫通扉窓や特急マークの大きさまで、少しずつ関係して全体の印象ができています。
KATO 付属のカプラー胴受けを付けています(ほとんど目立ちません)。 |
トミックス(ホースなし) 前面に取り付けるジャンパ栓はホースの有無で2種が付属しています。両方並べてみました。 |
トミックス(ホースあり) |
写真ではKATO・トミックスの前面形状はそれほど違わないように見えるかもしれませが、実際に手に取ってみるとハッキリ異なります(写真でそれをお伝えする限界を感じます)。どちらもキハ82の一面ですが、KATOは優美さを前面に出した造形、トミックスは力強さに注目した造形でしょうか。後付けの感想ですヨ。
KATOの出荷時のトレインマークは「白鳥」でしたが、トミックスと並べてみるため「おおぞら」に交換しました。
KATO |
トミックス |
KATOは装着済みのホロ台座を外し、付属の前面ホロに交換できます。
トミックスは前面下の渡り板をグレー、クリームの2色から選択できるほか、ホロ(渡り板付き)も付属しています。
下側から見上げるように撮ってみました。
KATO |
トミックス |
トミックスは運転室内が薄い緑色になっています。
トミックス(左)とKATO(右)を向き合わせたところです。車高はKATOのほうがやや高めのようです。実車と比べてどうなのかはわかりません。
両社のカプラーは別の規格ですが、慎重に押し付けると連結できたりします。
なおKATO製品の運転室内を斜めに横切っているのは、上部のライトの導光プリズムです。
KATO
最初からクーラーが増設されていた後期型です。
トミックス(後期型)
KATOと同タイプです。
トミックス(初期型)
通常のクーラーを半分に切ったようなキセが面白いです。
いずれも銀屋根で感じは似ていますが、KATOは表面がつるっとした質感、トミックスは少しざらっとした質感になっています。
KATO
トミックス
KATO
エンジンの周囲にある床板の継ぎ目は、DCCデコーダーを装着するためのふたです(DCCフレンドリー)。初回品では、まだ適合するDCCデコーダーは「発売予定です」と記載されていました。
エンジン裏の穴の底に、ライトの消灯スイッチがあります。
トミックス
エンジンの前方にライトの消灯スイッチがありますが、ON/OFFの前方に「EJC」というポジションがあります。
「EJT」(イジェクト)ポジションまでつまみを動かすと、トレインマークが裏側から押し出されて外れる構造です。
なおKATOのトレインマークは、表からトレインマークの片側を押すと、もう片側が浮いて外せるようになっています。
左がKATO、右がトミックスのシートパーツです。実車に比べて鮮やかに見えるかもしれませんが、トミックスのほうは窓ガラスを通すといくらか落ち着いて見えます。KATOのほうは実車が色あせた様子を表現したかった?のかもしれません。
ちなみに窓ガラスの色はKATOがごく薄い青色、トミックスがごく薄い緑色という感じになっています。
KATO 前進時 |
KATO 後退時 |
トミックス 前進時 |
トミックス 後退時 |
トレインマークは白色に点灯しますが、トミックスは微妙に青緑がかった色調です。
2005年にリニューアルされたKATOのキハ82は、すぐ2年後に小変更され、スノープロウが装着されました。初回の基本セット「10-229」は廃番となり「10-550」に置き換わりました。単品も改番されています。
リニューアル初回(2005年) |
リニューアル後小変更(2007年) |
外見の違いはスノープロウの有無と車番の違い程度だと思いますが、裏返してみると台車の取り付け方法がネジ式からスナップ式になり、カプラーポケットの形状も変わっています。
ちょっと写真を載せただけですけども。
KATO(拡大写真)
トミックス(拡大写真)
水タンク側の連結面です。
KATO |
トミックス |
水タンクの上面はKATOがR付き、トミックスは水平です。…と、この写真を撮って気づきました。
KATO
キロ80の屋根上です。
トミックス
両端の無線アンテナや、端にあるラジオアンテナはユーザー取り付け式です。
キロ80にはグリーン車マークがあってアクセントになっています。
写真中央の小窓の形状は両社異なるものが作られています。内部の座席は両社とも赤系統の色です。
KATO
トミックス
私の身分ではグリーン車に乗ることなど想像もできず、グリーン車ががらがらにすいている中で、前後の自由席車にすし詰めで封入されておりました。
KATOの旧製品ではこれが動力車でした。キハ82やキハ80などは揃えたものの、キシ80だけが品切れで走らせることができず、悔しい思いをした記憶が。
その月に余ったお金で少しずつ揃えられるのが単品のいいところでしたが、ばらばらに品切れになっていくので、肝心な車両が買えないということもありましたね…。
KATO(拡大写真)
トミックス(拡大写真)
この丸窓が何となく可愛くて好きです。
KATO
トミックス
屋根上です。調理室もあるため色々なベンチレーターがあります。
KATO
はめ込みガラスは窓のフチのほうまで歪みが少なく、平滑度は高いです。
トミックス
小さいベンチレーターは別パーツとして側面ディテールを表現しています。これらは取り付け済みです。
ついでにキハ80も撮ればよかったと、ここまで書いて思うのでした(それほど特徴のない車両のような気がしまして…)。
私の覚えにある昭和40〜50年頃のキハ82系は、排気などで屋根は真っ黒、蒸気機関車とすれ違ってもどちらの汚れかわからない…という感じでした。
どちらに乗るかと言われれば、自分は蒸機の列車に乗ったかもしれませんが、キハ82系はやはり格好のいい特別な列車という印象でした。一般の人にも人気があったと思います。
来年、トミックスからキハ81が発売される予定になっているので、またKATOと両製品が揃うことになりますね。