Nゲージ蒸気機関車>2006年のメモ>2006.2.25(弁慶の動力を取り外す)
ワールド工芸の南薩5号機やトミーのCタンクなどをスムーズに走らせるため、マイクロエース7100(弁慶)の動力を使って簡単に工作できないかと考えましたが、あまり追求せずに逃げてしまいました。
この動力を使ってみようとお考えの方もいらっしゃるかもしれませんので、散漫な内容ながら載せておきます。
2006.2.25
まずは弁慶を潰して動力を取り出さなくては話になりません。しかし、どうも車体が金属らしく、他のマイクロエース蒸機とは勝手が違います。
まずテンダーを外します。キャブの下にあるプラスチック製の止め具をまっすぐ抜くと分離できます。 しかし、着脱を繰り返していくとだんだん甘くなり、固定できなくなりますから注意が必要です。 |
テンダーを外した状態で走らせてみると、タンク機としてどの程度使えるのかがわかります。3軸のうち、一番荷重がかかる第三動輪がゴムタイヤ付きのため、集電はそれ以外の2軸のみですから、滑らかな走りはほとんど期待できなくなっているのではないかと思います。
すでに、自分で組み立てた南薩5号機のほうがずっとスムーズに走ることはすぐわかったので、弁慶の動力をそれに代わる動力として使うことはあきらめました。以下は興味本位の分解です。半分壊しているようなものですから、それでもいいという方以外はまねは止めてください。
いじり回しているうちに、ボイラーは下廻りにただかぶせてあるだけに違いないと予想しました。煙室(+煙突)のパーツとは分離しているようですが、煙室だけを前方に引っ張っても外れません。おそらく煙室とボイラーは溝でかみ合っていて、ボイラーを真上に引き抜かないと、煙室を外せないようになっているのでしょう。 手で無理やり上下を分離しようと思っても、どこかがくっついているようで、なかなか外れません。 ※このとき、ハンドレールを傷めてしまう可能性が大です |
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あまり時間をかけたくなかったので(明日の仕事は早いし)、不可逆的な分解(=ぶっ壊す)を覚悟してドライバーでこじ開けました。 動輪のフェンダーにドライバーを引っ掛け、ランボードをこじっています。 |
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★実はこのあとわかったのですが、ドームの上がキャップになっていて、それを外すと中にネジがあるのです!これを緩めると難なく外れるのです。前のようなこじ開け方、まねしないでくださいね! |
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大体予想通りの構造になっていました。「メリッ」という手ごたえがあったあとは、手でなんとか外すことができました。 | |
「メリッ」の正体がわからないのですが、ドームの裏側あたりにプラ製の絶縁スペーサがあり、上廻りはこれを介してきつく下廻りの角穴にはまり込んでいたようです。絶縁スペーサにヒビが入っていることから、これが「メリッ」の正体なのでしょう。以後簡単に着脱できるようになりましたが、上廻りをきちんとかぶせたつもりでも、どうも合いが甘い感じになってしまいました。 そりゃそうです。上にも書き足したように、単に壊してたんですから(笑)。 |
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煙室やカウ・キャッチャーを外すには、先台車を外してシリンダーブロックのネジを緩める必要があります。先台車を外すためには、動輪押さえ板を外す必要があります。これは側面4箇所と後部1箇所のツメで固定されているので、ツメを破損しないように浮かせて取り外します。 | |
全部ばらす必要はありませんが、ばらしてみるとこのようなパーツ構成になっています。 (余談)こんな乱暴な分解を載せておきながら、KATOの9600の分解方法を掲載しなかった理由がよくわからなくなってきたので、やっぱり9600の分解も黙って載せました。 |
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もしバルブギヤも分解する場合ですが、モーションプレート台座はAのピン(上側のピン)が直接動力ユニットの穴に差し込まれています。これはとてもきついのですが、破損さえしなければ引き抜くことはできます。 なお、後部Bのモーター周辺の通電パーツは複雑な構造になっていて、ボディーが外れていると集電板同士が接触せず、走らないことがあります(ライトのみ光る)。上廻りをはめ込むと、うまく収まって通電してくれますが、もちろん自分で配線orハンダ付けすれば確実だと思います。 |
ここで、応用したい機関車の上廻りを用意しました。
ワールド工芸の南薩鉄道5号機の上廻りだけを組み立てたものをひとつと、KATOのチビロコをひとつ。
チビロコは、タミヤカラー(アクリルではなくエナメル)のつや消し黒をペタペタと筆塗りし、乾いてから金帯の上の塗料をはがしておきました。金色の上は塗料が食いつかないので、はがすのは簡単です。
→入門者の方は「筆塗りなんかで機関車がきれいに塗れるもんか」とお思いかもしれませんが、タミヤカラー(エナメル)であるというのがミソです。小さいものに限りますが、筆塗りってこんなにムラなく楽しく塗れるものだったのかと驚かれると思います。ただし弱点も色々あるので、使ったことのない方はWEBなどで検索して調べておくとよいでしょう。
南薩5号機です。以前、接着剤で組む方法をご紹介しましたが、今回はハンダ付けでバッと組みました。 そのままですと、写真のようにモーターがはみ出しますし、動力の上部がボイラー下部などに当たりますから、あちこちを相当削る必要があるように思います。 |
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今度はチビロコです。これは大きさが全然違うのでアウツです。そもそも、チビロコはBタンクですよね。 | |
ちなみに、南薩5号機やB20に使われている超小型モーターを、弁慶のモーターと比べるとこのようになります。直径6mmと非常に小さいものです。日本鉄道模型連合会のネルソンにも、テンダー内にこのモーターが入っています。 |
弁慶の動力は、形のうえでは南薩5号機などに簡単に付けることはできないので、かなり改造が必要だと思います。
その前に、スムーズに走らなければ意味がないのですが、第三動輪からも集電できなければ著しい改善は難しいように思います。ただし集電の改善は試していないので、可否は断言できません。もしうまい方法がありましたらぜひお知らせください。
というわけで弁慶の動力は再び組み立てられ、ケースに戻されてしまいました。まあ、ただぶっ壊したわけですけど(笑)。テンダーを連結するだけで走りには雲泥の差が出ます。
せっかく用意した機関車は走らせたいので、素直にダミーとし、後ろから動力車両に押させることにしました。南薩5号機の下廻りは、モーター・ギヤを取り付けずに組み立てましたが、うまく転がるように作るのはかなり大変でした。この作例では抵抗を減らすためにピストン棒も切り取っています。 | |
これを押す動力は、おなじみのポケットライン動力を使った動力貨車としました。「俺もやったよ」という方は結構いらっしゃると思います。私もこれで3台目の製作です。初代はモーターを撤去したD51を押そうと思って作ったのですが、空転してぴくりともしませんでした。 今回はチビ客車の動力と、河合商会のワラ1を使い、内部に余った機関車のウエイトを入れて補重しています。作り方は、貨車に動力が収まるよう切ったり削ったりするだけですから、ここでご説明するまでもありませんね。 |
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全然関係ありませんが、これはかなり昔にGMの路面電車に無理やりポケットライン動力を組み込んだものです。車体が狭いのでモーターは前から見て縦長に置き、しかもむき出しになっています。おまけにボギー台車の内側2軸しか駆動していません。何なんだこれは…ちゃんと走りますが、どこか虚しくてまともに使ったことがありません。 |
いかにも無動力に見える機関車よりは、もしかしたらモーター付きかもしれないと思わせる程度の機関車のほうが、ユーレイとしては面白いです。直後にモーター付きワラがあるとばれるので、間にトラを挟んでカムフラージュしています(出発時の一瞬のみ、連結部が縮むので不自然)。ポケットライン動力が静かなのに対し、機関車がカチャカチャ、ゴトゴトと騒音を立てるので、意外にばれません。動力貨車にウエイトを積んだので、もともとの南薩5号機に比べてかなり長編成を安定して引くことができます。
「弁慶の動力を使う」ことにはなりませんでしたが、小型蒸機で遊ぶことはできましたので、一応楽しい工作でした。