Nゲージ蒸気機関車2011年のメモ>2011.8.22

アクリル製船底テンダーキット

船底テンダーキット

南洋物産から発売されているアクリル製のテンダー素材キットです。もともと同社のDT650(DT678〜DT682)の船底テンダーとして製作したものを分売しているそうです。


組み立て

アクリルをレーザー彫刻したものを貼り合わせて形造ります。特にどの機関車のどれというように決められたキットではないので、最終的な形やディテールをどう作るかは作る人しだいです。 ここではKATOの旧D51につないでみました。マイクロエースにも使えます。KATOの新D51は機炭間隔が狭くて無理でした。使うにはテンダー床板の前方を削るなど改造が要ります。

アクリル部品 透明なので何だかわかりませんが、私の使ったキットに含まれていた全アクリルパーツです。厚さ0.5mmと1mmの2種類のパーツがたくさん入っています。保護紙は少し水に漬けておくと簡単に剥がれます。 この時点では用途がよくわからないものもありましたが、組み立てを進めるにつれて何となくわかってきました。
このほかにABS製の前方ハシゴ・0.3mm線・0.5mm線等が含まれていました。
補強版の取り付け [1] 曲げ済みの側板の内側に補強板を貼り付けます。これが前後の妻板や上部のふたの位置を決める役割もします。
接着する [2] ぴったり合わせて接着剤を流します。アクリル用接着剤(アクリサンデー接着剤)を使うのが初めての私は、ドバッと流れた接着剤でいきなり指を接着。
妻板の取り付け [3] 今度は前後に妻板を接着して箱に組みます。一部側板を温めて曲げ角度を調整しながらぴったり合わせました。
片側に取り付けたところ [4] よく箱モノはL字型に接着したものを2つ組み合わせたりしますが、私はいつも一方に2枚の妻板を付けてしまいます。
箱に組んだところ [5] 箱になりました。まだ接着剤の使い方に慣れず四苦八苦しています。接着剤に付属の注入スポイトでは、容器を押さなくてもサーッと中身が流れてきてしまいます。注射器を使うとよいのだそうです。
床板の取り付け [6] 今度は床板です。内側から底にぴったり落とし込みます。床板には向きがあります。
床板を付けたところ [7] 台車を取り付ける穴が前後に開いています。台車の取り付け位置は自分の作りたいものに合わせて決めてよいと思いますが、ここではそのまま使いました。
底板 [8] 今度は下からです。前方の床を兼ねた底板を重ね、穴の位置を合わせて接着します。
底板を取り付けたところ [9] 後ろの小さい穴は、カプラーを車体マウントにするときに利用するものです。ただ、どのカプラーをどう使うかも自由です。
床板の重ね合わせ [10] 床板をもう1枚張り重ねます。これも前後の向きがあります。後方は台車マウントカプラーを取り付けるために少し短くなっています。
床板の完成 [11] これでテンダー本体は完成。ディテール工作はあとで好みに応じてやります。
テンダー上部 [12] 図がテキトーですみません。厚さ0.5mmのベース板に、厚さ1.0mmの炭庫底板(前方がM字形)を貼り付け、前後に仕切りを接着します。
炭庫を組み立てたところ [13] 接着剤がドバドバ流れる不器用ぶりの割には何とかできています。
台車取り付け [14] この先は、使う機関車と台車に合わせて自分で作り方を決めます。床板の穴には3mmアクリルパイプを7mm程度に切って接着しました。よくわからない図ですが私が組み立てた結果です。
後方台車 [15] まずは後方の台車です。ドローバーがないぶん、厚みをかせぐために1.0mmプラ板に穴を開けて接着しました。さらに付属の厚さ0.5mmワッシャをはめて台車を留めました。台車はトキ15000からTR41をもらいました。
前方台車 [16] 前方の台車には穴を開けて集電板を取り付けました。床板も集電板に当たる部分を削ります。前方台車だけでも集電するとしないとでは大違いです。
走行テスト [17] 機関車につなぎ、中に適当なウエイトを積んで走行チェックしました。ここではドローバーを切り詰めたD51でテストしましたが、一応大丈夫でした。
ディテール工作 [18] ディテールはご覧のようにごく単純なものとしました。ありあわせのプラ板や真鍮線を切って接着しただけです。これぐらいなら息が詰まるような思いをしなくても作れます。カプラー開放てこは真鍮線を曲げてそのまま接着しただけで、てこ受けは作っていません。
後部妻板にステップの穴があらかじめ開けられているのが親切です。等間隔に穴をあけるのは難しいので…。
裏側

[19] 台車を取り付けて裏側から見た様子。ブレーキシリンダーのようなものもプラ棒を削って接着しました。KATOの旧D51にはATS発電機がないので、テンダーにもATS車上子やその配管は付けませんでした。

前方台車のワッシャーはプラ板に穴を開けて丸く切ったものです。普通の金属のワッシャーだと、左右の集電板に触れてショートするためです。

塗装 [20] ガイアカラーのフラットブラックに、フラットベースをもう少し混ぜて塗りました。最近はMr.カラーのつや消しブラックの性質が変わってしまったので、もうガイアカラーしか使っていません。

完成

KATOの旧D51に装着

KATOの旧D51に装着しました。船底テンダーは上辺が高くて、キャブ後部ひさしの下端よりも上に出ていたりします。台車の上にワッシャー等をはさんで好みの高さに調節できると思います。

テンダー側方 水槽部分の長さは約43.6mmといったところです。ここでは自分で長さのバランスがよいと予想した旧D51に取り付けましたが、もともと用途は限定されていないキットです。恐らくは自分の好きな形に加工して、どれか目的の機関車に使ってほしいというものでしょう。
後方から 前方台車の集電車輪と集電板は余っていたマイクロエース製を使ったため、後方台車とはタイヤの厚みが変わってしまいました。ナンバーは1000番台のものがなかったので適当につけています。 機関部とも違う番号なので本当に適当です。

見慣れたKATOの旧D51も、一風変わった姿になって面白く遊べました。機関車側は無加工なので、いつでも元の姿に戻せます。
同じ厚さならアクリルのほうがプラバン(ポリスチレン)よりも硬くて平面性が高いらしく、割としっかりした組み上がりになるようです。キット自体の組み立ては簡単ですが、私にとって難しかったのはアクリサンデー接着剤の扱いでした。無理せず瞬間接着剤やゴム系接着剤を併用すればよかったかもしれません。今度は下手に流れ出さないよう、注射器を用意して取り掛かりたいと思います。


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