ワールド工芸がイベント会場での販売用に製作したもののようで、過去に旧D51向けに発売されていたキットを小さく作り直したような構成です。
イベント後にネット直販もされましたが、すぐ売り切れました。
こんな感じのキットでしたというご紹介です。そのまま組み立てて装着してみました。
ロスト製などの集煙装置や重油タンクが完成品として入っているわけではなく、エッチング板を折り曲げてそれらしく形作るキットです。
集煙装置・重油タンク・補助重油タンク・砂撒管カバー・前面シンダー除け・ATS発電機(ホワイトメタル)・ナンバープレート4種(572、930、944、950)等がついて1,500円でした。
ワールド工芸がイベントで発売する蒸機用のパーツはいつもなかなかポイントが高いです。
ポリ袋に部品の板と曲げ済みの集煙装置・重油タンク等が入っています。 | |
重油タンクの両肩はあらかじめRがつけられています。側面をぴったり合わせて固定します。このキットは接着剤で十分組めますが、私はせっかちなのでハンダ付けしました。 | |
左右両方に付くステップを内側から固定し、タンク上部のハッチを折り曲げて張り重ねます。 | |
タンク完成。あとで配管とハシゴが付きます。 | |
集煙装置は上下の2パーツで、その間に三角形の開閉ロッドを挟みます。ここは固定しないようにと書かれています。 | |
しかし私が買ったものは、すでに床板がハンダ付けされて固定されていました(瞬間接着剤も一部使われていたようで底面に付着がありました)。サービスなのか、何か作りかけの品が混入したのかわかりません。足の先端もあらかじめ曲げてありました。 | |
完成していた?のはありがたいのですが、間に開閉ロッドを挟めないので、ロッドの先を切り開いて差し込み、そのあと真鍮線をハンダ付けして閉じました。でも実際には閉じる必要はありません。旧キットでも先は開いていました。 | |
作用シリンダーの部分は土台を折り曲げて、間にアームを挟み込んで固定します。 | |
これを開閉ロッドの後ろに固定し、車体取り付け時にドーム前のステップの上に接着します。ドーム前ステップの手すりは切り取ります。 | |
非公式側ランボードの上に付く補助重油タンクは、折り曲げて固定するだけです。 | |
公式側につく「くの字」のハシゴは展開された状態になっているので、折り曲げてステップを固定します。ただ、普通の平面的なハシゴを途中で曲げて使っても十分なように思います。 | |
種車はD51 498なので、特殊なテンダー上面を削り取って普通のテンダーに改造するため、給水口付近の板が付属しています。ちょっと高さが合わないので削り合わせが要ります。また給水口は同社の蒸気キットのシリンダーのバルブカバーで代用されています。 ただ私は以前にテンダー上部を改造したD51 498があったため、この部品は使いませんでした。 |
一通りの部品ができたところです。一度さっと塗り、取り付けてから改めて全体を塗装するのが普通かと思いますが、今回は部品のみ塗装して貼り付けるだけにしました。よってD51重装備タイプというより、重装備させてみたD51498というものです。 | |
マッハのメタル用シールプライマーで下塗りし、ガイアノーツの鉄道カラー「黒」をそのまま塗りました。これでD51 498とはほぼ色艶が合います。ガイアカラーでなくとも普通の半光沢の黒なら大体合うと思いますが…。 | |
仮に重油タンクを載せてみたところ、ちょっと高いかもしれません。塗装後ではありますが、このあと下側を1mmほど削りました。 |
塗装した各部品を接着してから、元の発電機をひとつ切り取ってATS発電機を差し込みました。説明書ではボイラー側の土台を生かしてATS発電機の下部を削るように指示されていますが、私は土台を削り取ってATS発電機をそのまま差し込みました。 また配管は付属の配管留めを使わず、キャブ妻板の前でカットし、ボイラーに載せて接着しただけです。分解のことがあるのでキャブ妻板には刺し通しませんでした。 |
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補助タンクはランボード上に接着し、上部のタンクから0.3mm真鍮線を延ばしました。なお新D51はボディ分解の際にランボードとボイラーが分かれるので、両者をつないでしまうと分解のときに困るかもしれません。 このあとATS発電機と配管を筆塗りしました。 |
あとは必要に応じてテンダー上部を加工します。テンダーの加工は説明書によると上級者向けとされています(ちなみにトミックスの基準ではプラ車体に穴が開けられれば上級者ということになっているようです)。
付属のナンバーは縁取りのない変わったもので、種車のD51 498ナンバーの上に貼り重ねて使います。つまり元のナンバーは周囲にはみ出したフチだけが利用されます。今回は使いませんでした。
テンダーは以前に石炭だけ加工したものがあったので、それを使いました。増炭枠を作っていなかったのでそこだけ軽装です。
フリー的に「現在のD51 498の重装備化」として遊ぶなら、増炭枠や重油タンクなどのついた元のテンダーのままで十分似合うと思います。
こういうパーツがメーカー純正のプラ製メイクアップパーツセットとして発売されると、工作自体には興味のない方にも楽しんでもらえそうです。でも今なら自分で取り付けなくてはならない部品より、特定機として完成品を望む方が多いかもしれません。サウンド内蔵で大畑ループ線のプッシュプルセットとか迫力ありそうです(妄想の前に作ったほうが現実的かもしれませんが)。
このキットにはよく知られた元祖キットがあります。KATOの旧D51向けなので現在のものよりも一回り大きくなっています。売られた時期によって、メーカーの事前加工の有無などが違い、後期のものは加工が簡略化された代わりに安くなっていたように思います。
構成は今回のキットとほぼ同一ですが、旧D51に装備されていなかったスノープローと増炭枠、一応動く合併テコ、そしてデフ点検口の扉(上の作例では未取り付け)がついていました。私が持っている中で最後のキットは1,350円でした。