Nゲージ蒸気機関車2013年のメモ>2013.9.21

D51密閉キャブベースキット(やえもんデザイン)を使う

D51密閉キャブキット使用

2013.9.21

KATOのD51(新)に取り付けられる、密閉キャブのパーツキットがやえもんデザインから発売されています。
テンダーの後退角付きの妻板もセットされています。


キットそれ自体はあくまでもひとつの改造用パーツです。
これを何に使うかは自由なので、単体で「密閉キャブの模型」というのもあり得ますが(博物館の模擬運転台とか)…。

そのままKATOのD51標準形に組み込んで使ってみました。

キャブの組み立て

キットのキャブの原形は、以前やえもんデザインから販売されていたD51コンバージョンキットに似ています。特に側面部は、模様も寸法も同一のように見えます。
妻板にはちょっと違いがあります。

はじめに

部品を切り離す前に、屋根の端とテンダー妻板の折り曲げ部分に、内側から折り線を付けておきます。先に切り離してしまうと、どこから曲げればよいのかわからなくなります。
硬い台の上で、裏側に記されている目印に定規を渡し、Pカッターで筋彫りしました。
最初に軽く1回引き(ずれないように)、次いで中くらいの力で4回ほど引きました。

妻板の折り曲げ 屋根を丸める際の基準にするため、先に前後の妻板を折り曲げて組み立てました。
屋根を丸める

何だかわからない写真ですが、屋根を曲げています。
説明書ではゴム板の上に置いて丸棒で擦る方法が説明されています。基本はその通りにしますが、簡単にはいきません。
いろんな直径のガラス瓶に押し付けたりして40分以上かかりました。最後のほうは写真のように手のひらに置いて擦ったりもしました。

側板を曲げる

勢い余って側板まで曲げてしまい、修正のときに窓の周辺を傷めたりしましたが、まあ何とかなりました。
屋根のRができたら、側板を内側に折り返して重ねます。

形が合わない

せっかく曲げた屋根ですが、なぜか妻板と形が合わず、周囲に板1枚分くらいの隙間ができました。
長時間丸棒で力を加えすぎて、真鍮板が伸びてしまったのかも…。

結局、妻板の外側に平均的に隙間を作って、ハンダを流して埋めました。妻板と側板の合わせ目は、ヤスリで削って実物同様にRを付けておきます。

手すりの通る溝

後部は先に屋根後端のフチを固定しました。

後部妻板はそのまま合わせると、後部の手すりの取り付け穴がふさがってしまうので、あらかじめ妻板の裏側に三角ヤスリで溝を彫っておきました。

キャブ素組み完成

旋回窓や屋根上のロストパーツも付属しているので取り付けました。写真の状態が、キットのみでできる素組みです。

機関士側の旋回窓は妻板の窓枠に初めから付いていますが、途中で傷めてしまったため撤去し、改めて付属の洋白パーツを貼り重ねました。
なお、側面窓の中央の桟は非常に細く、簡単に曲がってしまうので注意が必要です。

キャブのディテール追加

元のD51のキャブ表現に合わせる程度に、ディテールを追加しました。
手すりの形は説明書とは少々変え、写真のようにしました。

タブレットキャッチャーや散水管は、銀河モデルが昔発売していた、KATOの旧C62用のパーツセットから拾いました。以下、「銀河」とあるのはすべてそうです。

キャブの取り付け

キャブはボイラー後部の溝にはめ込みますが、妻板中央に出ている突起がはまるように穴を開けておきます。小穴を数個開けてナイフの先でつなぎました。

これだけでは前後に傾きやすいので、あとで床板を少し後部に延長し、そこが支えとなってぐらつきがなくなるようにしました。

テンダー妻板の組み込み

キャブが扉のぶんだけ後ろにせり出すため、実物どおりにテンダーをカットして後退角を付けないと、うまく走れません。

テンダーのカット

側板の前部は、写真のあたりの位置を目安として、ナイフでカットしました。

妻板の撤去

両側ともカットしたら、妻板を床板からも切り離して撤去しました。

妻板の寸法調整

妻板の表板・裏板を重ねて適当な角度に曲げ(実際の角度がわからないので本当に適当)、貼り合わせました。

キットの妻板は、カットした側板の断面をふさぐ形で、前側に貼り重ねる寸法になっています。しかし継ぎ目が側面に出るので、たぶん私の工作力ではきれいに消せません。
そのため継ぎ合わせの場所を変えました。妻板を側板の厚みだけ左右から削って狭め、側板の間に妻板がはまり込むようにしました。継ぎ目が側面に出ないので連結すれば目立ちませんし、特に公式側は継ぎ目の位置にATS配管が付くのでわからなくなります。

妻板のディテールの取り付け

妻板がぴったりはまるように外周を整えたら、石炭取り出し口や配管受けなど付属パーツを取り付けました。
各種配管は自分で好きなように取り付けることが想定されていますが、あまり色々付けるとキャブの後ろと干渉するので、あまり出っ張らないようにヤスっておきました。

妻板を固定

組み立てた妻板を瞬間接着剤でテンダーに固定しました。

テンダーの内側に入る中身(石炭パーツ)は、前端を少し斜めにヤスって、妻板の内側にはまるように調整しました。実際に合わせながら削っていきました。それほど大変ではありませんでした。

後部妻板を切り開く

試運転の結果、テンダーの石炭皿(キャブ内に入り込む)が、カーブで後部妻板に当たって先輪が脱線することがわかりました。

石炭皿を削って調整するには、ほとんど根元からカットする必要があったため、逆にキャブ側の当たる部分を削って広げました。機炭間隔が狭いので、連結するとこのへんのことはわからなくなってしまいます。

キャブキット装着終了

テンダー側は車体の切削・組み込み改造が必要ですが、キャブ側はほとんどはめ込むだけなので、楽に取り付けられます。

こういうパーツキットがなかったときは、GM客車の余ったドアや、プラシートで自作したドアをキャブの後ろにくっつけていました(旧D51用に、ドアと後部妻板が一体になったエッチングパーツもありました)。

これでキャブキット組み立てのご紹介は終わりです。やはりキモは屋根をどのように曲げるかだと思います。


おまけ・車体改造

以下はキャブキットとは直接関係ありません(使用例ではあります)。

現役末期の北海道形とするため、プラ車両の本体も加工しました。
もしKATOからバリエーションとして出たら、こんな感じになるのでは…?というイメージですが、
概ね自分が「こんなもんで晩年の北海道形だろう」と思っている格好です。大したものではありません。

(後日追記) この2週間後、本当にKATOからD51北海道形が発表されました。かろうじて先にできてホッとしました。

デフの切り詰め

デフは切り詰めました。

点検口は縁取りや角丸を削り取って、ただの四角に加工したかったのですが、難しいのであきらめました。このままの形の点検口を持つ北海道形もありました。

前面ディテール

パーツ類はプラ製パーツを中心に、手持ちの寄せ集めで代用しました。

ドーム前のステップ+手すりは、KATOのC62 2号機のパーツが未加工で使えます。若干太めですが、プラ製品らしくてまあいいでしょう…。元のD51のパーツには給水温め器の配管が一体化されているので、外すときは切り離します。

デッキの大型手すりはトミックスのC57 135から、スノープローはD51 498からとバラバラです。

副灯とデフ前の手すりは銀河のパーツの余りです。これらは筆塗りしました。ついでに空気作用管も黒で塗りました。全体的に飾り気のない感じにしたかったためです。
あとでシンダー除けとテールライトも取り付けました。

後部の配管

配管は元のままですが、テンダーを保温する排気管のみランボードに追加しました。材料は0.3mm真鍮線と廃材です。
最初はこの配管もプラにする予定で、C62 3号機やリアル・ライン付属のパーツも検討しましたが、事情で真鍮線にしました。

分配弁は元のモールドを削り取り、銀河の耐寒型を少し削って付けました。ほか、従台車に向かってモールドされていた速度検出器のシャフトは削り取りました。代わりに第4動輪にシャフトを伸ばすとそれらしいのですが、製品のパーツ構成の関係で、安全な取り付け位置が見出せなかったので省略しました。

非公式側

発電機はキャブに伸びる排気管をカットし、清缶剤挿入装置は撤去して穴をパテで埋めました(あとでそこだけ塗装)。前方のオイルポンプ箱の調整ネジは、カバー付きのパーツに変更しました。これぐらいならプラ小片を貼り付けても十分だと思いますが…。

逆止弁には、耐寒カバーのない普通の形も結構ありましたので、そのままにしました。ほか一体モールドの配管類はすべてそのままです。

テンダーのライト

テンダー後部です。元のライトを撤去して壁をふさぎ、フード付きの大型ライト(銀河)を炭庫仕切りに付けました。ほかはそのままです。

ATS配管と増炭枠

テンダー妻板には、継ぎ目にATS配管の0.3mm真鍮線を沿わせ、しっかり付きやすいように形を決めて、瞬間接着剤で接着しました。

増炭枠は銀河の余剰パーツを切り詰め、側板の上部に接着しました。はじめエポキシを使いましたが、固まってからペロリとはがれてしまい、瞬間接着剤で付け直しました。

これで終わりとしました。
塗装は金属パーツ部のみ、部分的に行いました。元のプラ車体のツヤを参考にすれば、それほど不自然になりません。
配管などの細い金属パーツは、他の軟質プラの配管に合わせて、若干ツヤを入れました。

公式側

非公式側

前面

テンダーの後退角は実際に役に立っています。一応R249までは動作を確認しています。
末期の北海道形は一風変わって見えますが、Nゲージの模型の尺度で見れば、ツボになる加工部分はそれほど多くないように思えます。…などと、細かい作業からはすべて逃げました(笑)。


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