Nゲージ蒸気機関車2013年のメモ>2013.9.23

9600形 29622修理

9600形 29622

2013.9.23

マイクロエースの9600の最新製品(9600型 29622・北海道切詰デフ)です。
しかし、試走できない環境で購入したところ、見事にハズレて走りが悪いです。やみくもに修理しました。


症状

・モーターはうなるが、かなり電圧を上げないと動き出さない。
・動き出しても、1回転ごとに「ぐっ、ぐっ…」というムラのある動きをし、全体的にガクガクした脈動的な走り。

明らかに本来のマイクロエースの走りではありません。
普通は迷うことなく初期不良で交換してもらえばよいのですが、「まあいいや」という気持ちもあり、分解しながら調べてみることにしました。
この「ぐっ、ぐっ…」という動きは個人では直らないことも多いので、店頭で試走できるならまず避けたいタイプです。

修理?

9600は素直な構造なので、分解方法も普通です。

動力部の分離 火室部の赤丸のあたりに、プラ車体と動力ユニットを留めているホゾがあります。プラ車体を左右に少し広げるようにし(エアタンクのあたりを広げるのが比較的安全?)、モーターを下部にずらすようにすれば動力部が抜き取れます。
中身 前回の九州形(デフなし後藤寺機関区タイプ)以降、全体がダイキャスト一体となった後期型の動力になっています。
床板のネジ 触診?した限りでは、銅色の軸受けパーツのはまりが悪いような気がしたので、ダイキャストフレームの軸受け部などを疑ってみました。
そのため床の2箇所のビスを外して、床板を外します。
床板を外したところ

床板を外したところ。先台車とテンダーも外れます。
この状態で、4つの動輪はダイキャストフレームから軽く外せるものですが、いくつかギュッと詰まったようになっていて動きません。
何かバリでもあるのかな?

リターンクランクを抜く 動輪を完全に外すため、第3動輪からメインロッドとリターンクランクを外します。ピンセットをメインロッドの下に差し込み、リターンクランクを持ち上げるようにして抜き取ります。思ったより固かったです。
メインロッド・リターンクランクを外したところ

抜き取ったところ。
バルブギヤー一式は、加減リンクの裏側に突き出しているパイプでダイキャストブロック側面にはまり込んでいるので、そこを持ち上げて抜けば、まとまったまま外せます。

まず、8個の軸受けパーツの並びをよく見て、高さが不ぞろいなものはないか、間隔はおかしくないかを確認しました。しかし明らかに変なものはありません。

動輪を外したところ

動輪はまっすぐ抜き取れますが、確かに何箇所か通常より固いところがありました。それが原因かどうかはこの時点ではわかりませんでした。
第2・第3動輪はギヤ連動だけなので、バラで外せます。第2動輪にはクランクピンもついていません。逆に第1・第4動輪はロッド連動のみで、ギヤ連動はありません。

なお今回の製品も、前回の九州形に続き、実物どおりの動輪左先行です。

軸受けを整える

はめ込みが固かった軸受けの、ダイキャストフレーム側を軽くヤスリで整え、無理なくはまるようにしました。
全部で3箇所怪しいところがありました。いくつかの軸受けが無理な角度ではまっていたために、車軸が平行ではなくなり、動きに無理が来ていたのではないかと考えました。

組み立て

これで直ればラッキーなので、組み立てて試走することにしました。

  1. 第2・第3動輪を、向きを揃えてギヤにはめ込みます。多少ずれても見かけのことだけで、性能には影響しません。
  2. 第1・第4動輪をはめこみます。これらは、先に付けた第2・第3動輪とは完全に独立して回転します。
  3. 第1・第4動輪を回転させて、第3動輪のクランクピンの穴を合わせます。あとは、メインロッドとリターンクランクを差し込んで取り付ければ、4つの動輪が連動します。

このように動輪の連動はとてもよく考えられていて、ギヤが1歯ずれたら動きが悪くなるということもなく(そういう模型もある)、組み立てが簡単です。

試走結果

ダメでした(笑)。
より低い電圧から動き出すようにはなったので、問題のひとつは解消したのだと思います。
しかし肝心の「ぐっ、ぐっ…」が直りません。いつもガクガクしているので、牽引するトレーラーのマグネ・マティックカプラーが、アンカプラー上で自然解放するありさまです。
どうせ有償修理になってしまうし、もう一度調べてみるか…。

再挑戦

今度は原因がわかりました。

ギヤの噛み合わせ

ウォームギヤの噛み合わせが固すぎたのです。モーターの取り付け具合の関係ともいえます。
モーターに少し力を加えて、ウォームの噛み合わせを浅くすると、脈動的な動きはなくなりスムーズになりました。
(固すぎたら脈動的になるのはなぜかということになると、さらに色々な要因があるとは思います)

噛み合わせが固かった原因はわかりませんが、ダイキャストブロックの成型か、モーターや留め具の成型の個体差によるものかもしれません。ともかく、あんまりうまく合っていなかったようです。
個体差ならそれほどガリガリやる必要はないと考え、モーターの下に0.5mmくらいのプラ板を挟んだりして、ウォームの噛み合わせを若干浅くしました。これで完治しました。

テンダーの分解

ついでに、カプラーを交換するためにテンダーを分解しました。
底部の2箇所のビスを外すと、まず中身の石炭部が外れます。下廻りの台車枠の部分は、テンダーの本体から下にじっくり引っ張れば外れます。

カプラーの交換

本体から下廻りを外せば、カプラーポケットが露出するので、普通の方法でマグネ・マティックカプラーに交換できます。ここではMT-10を使いました。

晴れて出発できるようになりました。
こういうものの修理は、色んなことがわかって面白いです。

29622

なおマイクロエースの9600で、タブレットキャッチャー付きなのは、今回の29622が初めてです。


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