Nゲージ蒸気機関車2018年のメモ>2018.2.5

マイクロエースE10 2018年製品

E10 5

おそらく2013年のD51スーパーなめくじ以来となる、マイクロエースの蒸機です。
当初の予定よりずいぶん遅れましたが、3号機と5号機の2つが発売されました。


E10自体はどなたのレイアウトにも幅広くマッチするとはいえないかもしれませんが、形態も面白く何かと有名な機関車でもあります。
マイクロエースの蒸機の中では、9600やC52と並んで、実機に近いプロポーションを持っています。

外観

今までに、2001年のE10 2、2005年のE10 1が発売されてきましたが、今回の製品も車体のディテールは同じです(注:前回のE10 1には煙突の誘煙板が付いている点だけ違いました)。
しかし今回の製品は、車体のつや消しがややきめ細かくなり、細かい印刷表記なども加わって、精密感が増したように見えました。

A7706 E10 3 庭坂機関区

E10 3

A7706 E10 3 庭坂機関区
(拡大写真)

A7707 E10 5 米原機関区・白線

E10 5

A7707 E10 5 米原機関区・白線
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A7706 E10 3 庭坂機関区

E10 3

A7706 E10 3 庭坂機関区
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A7707 E10 5 米原機関区・白線

E10 5

A7707 E10 5 米原機関区・白線
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過去のE10と形は同じなのに、何か今までより良さそう?という感じがしませんか(私はそう感じました…)。
ナンバープレートが昔のような黄色っぽいテラテラではなく、真鍮板を紙やすりで磨き出した直後のような色合いになっているのも、感じ良く見える一因だと思いました。すぐに目が行きました。

E10 3
E10 3
E10 5
E10 5

テールライトには赤が入りました。
ヘッドライトは、ああ…今回も同じで、取り付け部の首が目立つ形態です。煙突はいい形をしていますね。ナンバープレートはもうちょっと上にずらせば、より似たかもしれませんね。

E10 3
E10 3
E10 5
E10 5

カプラーが曲がっていてすみません。こちらもテールランプに赤が入りました。ディテールは両機とも同じです。
いわゆる重連用カプラーはなく(前回までは付属)、こちら側を前にした運転は工夫しないとできません。

E10 3

E10 3の側面表記です。「進駐軍の命により乗車を禁ず」とあります。

全体的には一世代前の模型で、形も変わってはいないのに、微妙な味付けの変化がうまくいき、新しく精密な模型に見えます。
部品の取り付けがいまいち雑だったり、立て付けが今一歩な部分も依然あるにはありますが、今のKATOやトミックスの蒸機と並べても違和感は少ないと思います。
買った方、よかったと思われているのではないでしょうか。

動力部

比較的前回から変化したのは動力部です。

E10 新旧動力

動力ユニットは前回の生産まではまだ旧型でした。
今回は近年の他の蒸機と同様、前方まで伸びたダイキャストブロックに変更されています。
中央部に積まれていたウェイトはなくなりましたが、シリンダーブロック内のウェイトはちょっぴり上まで伸びています。

ライトはLED基板に変更されました。電球式と同じく、前進時も後退時も点灯するようになっています。色合いはちょうどよい電球色です。

以前の動力では、第1動輪と第2動輪の上に、リン青銅のバネか補助集電板のようなものがありましたが、今回これはなくなっています。

モーターは基本的に前回と同型の、SM-5似のものです。
しかし製造方法が変わったのかメーカーが変わったのか、ちょっと違いがあります。特に外装板は折り目の形が違い、展開図やプレス方法が違っているように見えます。

モーター側面の切削痕

それと関係あるのかどうかわかりませんが、モーターの左右側面に妙な切削痕のようなものがありました。左右それぞれ様子が違い、私が買った2両ともそれぞれ違っていました。
いかにも手作業で削って、その痕を黒塗りしておきましたという感じです。

結果、削られた部分の幅は、前回のモーターの幅に比べて0.5mm程度狭くなっています。削る前はどんな格好だったのでしょうね。何かが飛び出していて、キャブ窓のガラスに当たりそうだったのでしょうか。

E10は第1〜第4動輪の4軸が集電車輪となっています。それがひとつの台枠にまっすぐ並んでいるため、線路状態によっては一部の車輪が浮いたりして集電が途切れることがありました。
今回は、第2・第5動輪にスプリングが仕掛けられており、少し動輪が弾性的に上下するようになっています。

今回私が買ったE10の1両はポイントで必ず脱線停止しまして(ポイントは店頭の試走ラインではわからなかったりします)、調べたら第1動輪の圧入が不十分でゲージが0.5mm広くなっていました。万力で圧入しなおして修理し、スムーズに走るようになりました。

第2・第5動輪のスプリング

矢印の部分に小さいコイルスプリングが見えます。

写真のように動輪を浮かせて、元に戻しただけで走らなくなることがあります(第3・第4動輪のギヤが1歯ずれてロッド連動とのマッチングが悪くなったり、ですね)。必要がなければ分解しないほうがよいです。

なお、ロッドのピン穴は旧製品よりも少し大きくなっており、各クランクピンの頭も旧製品より大きくなっています。

第5動輪のスプリング

ダイキャストブロックの軸受け部に穴が開いていて、スプリングが収まっています。
知らずに分解してひっくり返すと、スプリングがポロポロこぼれ落ちるかもしれません。試しにスプリングを全部外しても走りましたけど、どなたの所でもそうかはわかりません。

スプリングが当たる、第2・第5動輪の軸受けパーツは他と異なり、方向性があります。4面のうち2面に溝が付いており、それがダイキャストブロックの軸受けにはまり、上下動はしても横動はしないようになっているようです。

正しい軸受けの向き
平らな面が上に来るのが正解かと思います。
(違いましたらすみません!)
たぶん誤り
溝が上になっていると、たぶん間違いです。

走りは前回の品から特別変わった印象はありませんでしたが、条件によって違うかもしれません。十分普通に遊べますが、もともとが一世代前の製品なので、最近のKATOの蒸機などとは滑らかさ、音の大きさとも相当に異なります。そのつもりで使うのがよいかと思います。
最近の模型に慣れた方には、動きがずいぶんダイレクトに感じられるかもしれません。フライホイールがなかったので、集電状況そのままに走るのですよね。そのほうが好きだという方もいらっしゃるかもしれません。

というわけで、久々のマイクロエース蒸機は変わっていないといえば変わっていないのですが、第一印象が向上し、動力部にも努力の跡が伺え(効果はよくわからないのですが)、何となく買ってよかった感じです。モーターがなぜ削られているのか謎ですけども、とりあえず走っていますので…。


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