Nゲージ蒸気機関車2018年のメモ>2018.3.24

自動車工作基本セット(タミヤ)を作る

楽しい工作シリーズNo.19としてタミヤから発売されていた、「自動車工作基本セット」を作ってみました(何度目かになります)。
木の板にギヤボックスやモーターを付けて、動く自動車のシャーシを作る工作は割とよく行われていたと思います。このセットは部品や素材をひとまとめにしたもので、当時は工作セットといっても、だいぶ既製品に近いもののように感じました。
それでも、実際にモーターで走るものができるのは、とても楽しいです。


セットの様子

セットの箱

タミヤの「楽しい工作シリーズ」は1970年代からあり、「高速ギヤーボックスセット」「強力ギヤーボックスセット」が最初のものでした。
「高速ギヤーボックスセット」には、ギヤボックスとモーターブラケット、シャフトなどが含まれており、他にモーターとタイヤを買って床板を作れば、モーターで走る自動車のシャーシが作れるものでした。私も当時すぐ作っています。

ある程度シリーズが続いた1974年頃、それまでの商品をまとめる形で「自動車工作基本セット」が発売されました。
以下、昔の感想として書いているのは当時私が持った感想ですが、今回ここで作ったのは1980年頃の出荷品です。

セットの箱側面

模型店では工作用に様々な種類のタイヤが売られていましたが、タミヤの中空ラバータイヤは豪華なもので、木の板で作る図画工作的なものに使うと、立派すぎて浮いて見えた覚えがあります。
そのほかの部品の作りも、一般に売られていたものよりもしっかりしており、そのぶん高価なものもありました。

セットの中身

箱から出したところです。
木製の床板と、各種の金具類、プラ製パーツからなります。プラ製パーツはランナーについたままで、工作材料とプラ模型が混在しているように感じました。タミヤが工作素材を作ると、こんな感じになるんだなと素直に思いました。

説明書にあるモーター表記

モーターは付属していないので、好きなものを別に用意します。
付属のモーターブラケットで挟める程度の大きさで、シャフト径が2mm、かつ付属の単3電池ボックスの電池(1.5V×2本)で動かせるものであれば、何でもよかったのではないかと思います。

RE-140購入

今回は円筒形のマブチRE-140を買ってきました。
今はプーリーが付属しているんですね。

製作

ギヤボックスとクラウンギヤ

ギヤボックスは「高速ギヤーボックスセット」と同じものが付属しています(他に前後のシャフトと軸受け、モーターブラケットもそう)。
伝達方式としては、モーターを縦置きにしてクラウンギヤを使う「インライン式」と、モーターを横置きにしてスパーギヤを使う「サイドワインダー式」が選べます。ここでは素組み?でクラウンギヤを使いました。

クラウンギヤの取り付け

ギヤボックスの裾を両側に広げて、クラウンギヤをはめ込みます。
結構ぐいっと広げないと入らないので、ちょっと怖いです。

逆転スイッチのパーツ

これは逆転スイッチのパーツです。
当時模型店によく売られていた逆転スイッチは、赤茶色の絶縁紙にブリキのスイッチ板をハトメで取り付けたようなものでしたが、タミヤ製は立派なものでした。

逆転スイッチの組み立て

パーツに各種の金属板をはめ込み、ビス・ナットで留めて完成です。
切り替えの手ごたえはちょっと固く、停止させるつもりで勢い余って逆転してしまうことがあります。

電池ボックスのパーツ

単3電池ボックスのパーツです。これまた立派でしっかりしたものです。
当時、模型店によく売られていたのは、シンプルなポリ電池ホルダー(スイッチ付き)で、せいぜい30円〜50円程度だったと思いますが、タミヤ製は先の逆転スイッチとセットで150円しました。

もっとも、私は安いポリ電池ホルダーすらお金をケチって、厚紙とゼムクリップで自作していました。

この電池ボックスと先の逆転スイッチは、当初からきちんとした作りだったため、今でもあまり変わらぬ姿で売られていますね。

電池ボックスの組み立て

中央に電池取り出し用のリボンが付いていたのが特徴です。というのは、電池が非常に強固にはまるので、これがないと簡単には電池が外れないのです。
自動車の工作は、たいていスイッチを入れるとダーッと走って、壁にバーンとぶつかって電池が転がり出たりしたものなので、その対策だったのではないかと思います。

モーターの回転テスト

モーターをつないでスイッチを入れ、回転すれば一安心です。
電池ボックスとスイッチは一体化するので、車体に積み込まずに長いコードでモーターとつなげば、そのままリモコンになりますね。前後進しかできませんけど…。

※モーターの説明書には、充電式電池は使用不可とありますが、手持ちがなく昔のカドニカ電池を使って撮影しました。

床板

このセットの一番の特色である(と私が思っている)床板です。
こういうものは当時、各自が板を切り出して作るものだと疑っていなかったもので、実際にそれが工作として一番大変な作業だったのですが、最初から実にきれいにカットされたものが付いているのを見てショックを受けました(笑)。

これのおかげで、誰もがきれいな仕上がりのモーター付きシャーシを完成させられ、「ああ面白かった!」と感じられたのは非常に大きかったと思います。自分で床板を作りたい人は、付属の床板を使わずに自分で作ればよいのですし。

位置決め

木の板に部品を配置していきます。とても楽しい作業です。
これは工作ですから、いくら木の板は仕上がっていても、どこにどう部品を配置するかは自分で考えながら決める必要があります。決まった正解もありませんし、上手下手も発生します。
つまり…てきとうにやっても何とかなります。

ギヤボックスとモーターは分離しているので、ギヤの噛み合わせもどうにでもなりますね。また、ギヤボックス内のギヤの位置にもガタがあるので、ここで神経質な位置合わせをしても仕方なかったりします。

木ネジの下穴を開ける

木ネジを留める位置に、キリで下穴を開けます。
こういう要領も、説明書に「工作のポイント」の形で色々書かれているので、初めての人にも取り組みやすいです。

取り付けたギヤボックス

ギヤボックスが付きました。
1つめの部品の位置が決まったので、残りの部品の位置決めが楽になります。

部品取り付け終わり

モーター、電池ボックス、前輪軸受けを木ネジで順次留めていきます。
モーターブラケットの固定穴は長穴になっており、左右に位置が調整できるので、ギヤの噛み合わせの調整に役立ちます。

何か楽しいですね。大方説明書のとおりに進めているだけなのに、作ってる感があります。

後輪シャフト取り付け

ギヤボックス内にスパーギヤを入れ、後輪シャフトを通し、ギヤに付いている押しネジで固定します。

タイヤとホイール

豪華な中空ラバータイヤとホイールです。先に「レーシングタイヤセット(1/18)」として、300円で発売されていたものです。
このセット中、かなり値の張るパーツだったと思います。

ゴムタイヤの弾力性はまったく失われていませんでした。

ホイールの取り付け

ホイールは表裏から、四角形の板ナットで締め付けます。ホイール中心に、ちょうど板ナットがはまり込む凹みがあるので、割と簡単に取り付けられます。

前輪シャフト取り付け

前輪シャフトはただ軸受けに通すだけなので、左右に動いてしまいますから、付属のゴムチューブを短く切って抜け止めにします。

私が買った商品も35年くらい経っていると思いますが、ゴムチューブの弾力性も失われておらず、そのまま使えました。

なお軸受けは中央の1本の木ネジだけで留めて、多少は舵が切れるようにしました。

完成

シャーシ完成

タイヤをはめて完成です。ピカピカのホイールで、各部の色取りもよくて嬉しいです。

これは「基本セット」ですから、本来はボディを自作するなどして、ちゃんと自動車にするのが目的でしょうが、そこまで完成させた例は実はあまりないのではないかと思います(単なる印象です)。
これだけでも十分楽しいですし、何だか達成感もあります。

旧C62と

こんな、無駄な比較は要らないと思いますけど…。
旧C62よりも少し長いくらいです。遊ぶにはちょうどいい感じです。

走らせましょう

走行中

パチッとスイッチを入れると期待通りのダッシュ!

おーい、どこに行く(笑)

壁にぶつかって停止

「ガツン」

こんな感じですよね。自動車の工作の遊び方って…。

発売当時

1974年 田宮模型広告より

「自動車工作基本セット」発売当時の、タミヤ(当時、田宮模型)の広告です。

レーシングカーのボディを作った作例が挙げられています。使われている素材は何とタバコの箱です。
当時の値段は忘れていましたが、550円ということはKATOのコキフ10000と同じでしたね。

「自動車工作基本セット」には「高速ギヤーボックスセット(200円)」「単3電池ボックスセット(150円)」「レーシングタイヤセット(300円)」が含まれているようなものですから、それらをばらばらに買い集めるのに比べればお得だったのですね。

初期の「楽しい工作シリーズ」に使われていた個々の部品は、未だに生き残っていて売られていたりするのですから、すごいものです。

記憶があいまいになっているところもあり、昔の記述に間違いがありましたらごめんなさい。タミヤ製品はメジャーなので、詳しい方は大勢いらっしゃると思います。


「Nゲージ蒸気機関車」トップページに戻る